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タブーにしない、性犯罪のこと。

こんにちは。性依存症当事者のShiroです。

この記事はすべて無料で読めます。

先日、性被害者の方々とお話しさせていただく機会に恵まれ、その際に「性被害者に対して加害者のことを話すのは配慮が足りない」とご指摘を受けました。これについては、私の配慮が欠如しておりましたことを、心から謝罪させていただきます。申し訳ありませんでした。

私がお伝えしたかった事。それは

「加害者への厳罰化と社会的地位の剥奪は、性犯罪の抑止力にはならない」

ということです。

アダルトコンテンツの刷り込みと背徳感が、性犯罪を引き起こす

痴漢や強制わいせつ、盗撮、覗き、露出など、あらゆる性犯罪が、必ずしも「性依存症である」と断定するのは早計すぎると思います。ですが、こうした性犯罪は「やってはいけないもの」であるという認識をもっていない人はほとんどいないと思います。それではなぜ、やってしまうのか。その鍵になるのは、「アダルトコンテンツによる刷り込み」と、「背徳感」にあります。不適切な発達段階で、性犯罪が関係するアダルトコンテンツを目にしてしまうことで、性犯罪的コンテンツで性的興奮を覚えてしまいます。しかし、当事者はこうした性犯罪の違法性を認識しています。ここで意味を持つのが、「背徳感」です。「悪いことなのに、興奮してしまう」という事態が起きてしまうのです。脳が混乱し、「こんなことしちゃいけないのはわかっている」と「興奮する」が何度も反芻して当事者は苦悩します。

もちろん、当事者は即座に行動に移すわけではありません。様々な理由で自分の理性を保とうとします。

社会的地位を失ってしまうかもしれない。家族に対して合わせる顔がない。そんなことをして何になるんだ。AVで我慢すればいいじゃないか。

苦悩に苦悩を重ねた結果、「性犯罪」が起きてしまうのです。

すべての性犯罪者がこのようなプロセスをたどるわけではありません。

しかし、性犯罪者の中でも、快楽に犯罪の背徳感が結びついてしまって苦しんでいる人たちがいるのも事実です。これは、快楽を感じたときに放出される脳内物質PEAを、犯罪の背徳感から出るドキドキ感、ドーパミンやアドレナリンが強化してしまうことによっておこると考えられています。

このように、性犯罪に手を染めるようになってしまった当事者の脳内では、性的快楽と犯罪の背徳感が結びつき、快楽を強化してしまっているのです。そして、より強い刺激を求めて犯罪を繰り返してしまいます。

厳罰化や社会的地位の剥奪より、被害者の心のケアを

以上のように、一度性犯罪に手を染めてしまうと、「またあの快感を味わいたい」という強い性的渇望(衝動)にかられてしまいます。こうなってくると、以前は犯罪の抑止力になっていた社会的地位や家族の存在や逮捕のリスクなどが、徐々に薄れていきます。

つまり、厳罰化したり、社会的地位を剥奪したとしても、性的快楽と背徳感が結びついている以上、性犯罪が止まることはないのです。

性犯罪の抑止としては脳のメカニズムを当事者が理解し、犯罪のトリガー(引き金)を引かないように日常的に訓練していく必要があります。様々な治療法がありますが、認知行動療法や条件反射制御法などで改善していくことができるというデータもあります。

また、厳罰化や社会的地位の剥奪は、被害者の深刻な心身の傷に対する賠償的な意味合いが大きいのでないかと感じています。
中には、性犯罪者にはGPSチップを埋め込むなどの取り組みなどもあったようですが、残念ながら再犯抑止にはつながっていません。

何よりも優先するべきことは、性犯罪への厳罰化や社会的地位の剥奪以上に
被害者が一刻も早く、心身のケアを受けられる環境の整備ではないかと私は考えています。
現在では、性被害や性暴力にに遭った時に様々な対応が可能なワンストップ支援センターが設置されています。
https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html

これでもまだ対応は不十分であり、長期的にカウンセリングなどを経済的負担が少なく利用できるような制度などもできればいいなと個人的には思っています。
性被害に遭ったら、すぐにワンストップ支援センターへ連絡してください。
そこにはあなたの味方になってくれる人が必ずいるはずです。

私が伝えたかった事を大急ぎでまとめてみました。

私は痴漢被害から、性依存症が悪化した経験があります。
今でもたまに、顔の見えない犯人の手の感触の気持ち悪さを思い出して苦しくなります。

だからこそ、性犯罪を減らすには、正しい認識を広めることが重要だと思っています。被害者心理からすれば、厳罰化や社会的地位の剥奪で性犯罪者が表に出てこないでほしいという思いは痛いほど伝わります。

ですが、性犯罪者も、自分の行動をどうにもできない苦悩を抱えて、誰にも相談できずに苦しんでいることも、知っておいてほしいと思います。
私自身も、そんな性犯罪当事者に向き合える、性依存症当事者でありたいと思っています。

Shiro

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