紀伊國屋書店

「note始めろよ」
唐突に言われた。
高校時代、InstagramやYouTube、noteをやっている人を馬鹿にしていたような連中にそう言われたのでなお驚いた。

コトは後輩の一人がnoteを始めたことに端を発する。彼もまた、斜に構えて世を憂いている隠遁者のような男なので驚いた。

「お前らもやれよ?」
後ろ指を指されないように予防線を張り、僕は恥ずかしながらnoteを始めた。厳密に言えば恥ずかしいとは思っていないけど。

名前は何にしよう。そういえば中学生の頃、深夜ラジオにネタメールを送るときにどんなラジオネームにしようか考えたな。
そう思い出し、プロフィール欄に「堕天狗」と打ち込んだ。
当時住んでいた東京都八王子市には秀峰・高尾山が聳え立っている。そして、成田山新勝寺、川崎大師平間寺と並んで真言宗智山派の三大本山のひとつとして知られる高尾山薬王院には、天狗伝説が伝承されている。だから『天狗』の二文字を拝借した。
それだけだと捻りがないので堕天使の“堕”を拝借して堕天狗と命名した。
ちなみに、一説によると堕天使は、『俺は神をも凌ぐ力を持っているんじゃね?』と考えて神に反乱を起こし、敗北した時にその高慢さの罰として『堕』とされたとある。
傲慢で不遜な中学生にはぴったりだろう。
「ラジオネーム・堕天狗」
響きとしても悪くない。中学生のセンスの割に悪くない。
最初に読まれた番組は「大島麻衣のListen? 月曜日(文化放送)」だった。7年前のことだ。懐かしい。

そういえば、このnoteを始めるにあたって、ひとつのルールを決めた。
自分の黒歴史も全て正史として肯定すること。
敬愛するCreepy Nutsも

また新たに書き足す1ページ 現在進行形の黒歴史
お前は間違ってる
間違ってるが、それで合ってる
(『だがそれでいい』より抜粋)

と謳っている。
人は誰しも消したい過去や恥ずかしい事件がある、でも「それでいい」のだ。

話は変わるが、先日、先輩が同期の誕生日プレゼントを買うと言うので、一緒に新宿の紀伊國屋書店に行った。
“あの”時、乃木坂46の松村沙友理も来た場所がここか、と少し感慨に浸っていると、先輩はエレベーターへ向かった。
「このエレベーターは3Fと6Fに止まります。他に行き先のある方はいらっしゃいますでしょうか?」
一介の本屋にエレベーターガールがいるのか。新宿は恐ろしいところだな、と再確認する。

3Fでエレベーターを下りると、先輩は心理学関連の本が陳列されている棚に向かった。
後ろを着いていき、平積みされた本をざっと眺める。

『生きるのが楽になる方法論』
『人生の意味の心理学 変われない? 変わりたくない?』
『心の休ませ方 〔つらい時〕をやり過ごす心理学』
『夢をかなえる口ぐせの心理学』
『才能が見つからないまま大人になってしまった君へ』
『成功ではなく、幸福について語ろう』etc

ぞっとした。
これだけたくさんの本が並んでいるということは、それだけお客さんに需要があるのだろう。世の中にはこんなに辛気くさい本を読む大人がたくさんいるのか?そういえば本屋に来るのはいつぶりだろう。本屋ってこんなに人生の負の側面を感じる場所だっただろうか。
周りを見渡してみると、辛気くさい本に呼応するように、くたびれた大人が心理学の本に目を落としていた。
ここは富士の樹海か東尋坊か。もしくは新小岩駅だろうか。それならここに陳列されている本は、自殺志願者を救ういのちの電話といったところか。いっそのこと周りでヒーリング映像を流して、青いライトで書棚を照らせばいいんじゃないか。

自己肯定感が無くなった大人たちは救いを求めて本屋にたどり着く。あいつらは斜に構えて大人になって、何も主体性を持たずに生きた結果、自分の価値が分からなくなってしまった「冷笑系」の成れの果てだ。

だから僕は忌避していたInstagramもやる。
YouTubeの代わりにツイキャスも年1でやる。
そしてnoteも始める。

「黒歴史上等だよ」
聞き馴染みのある言葉が頭に響く。

ちなみに、先輩の名誉のために言っておくと、プレゼントは、男子には『男心がよくわかる!』、女子には『女心がよくわかる!』の2冊。
「いや何でだよ!!」待ちのボケであり、決してガチで心理学の本を買った訳ではないことを最後に記しておく。

#エッセイ #コラム

ありがとうございます!!😂😂