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生きてりゃUNFADED

ポルノグラフィティの16回目のツアー、UNFADEDに行った。

20周年に突入する記念の年に行うツアーのタイトルを本当は"FADED?"にしたかったと晴一さんが言っていた。「あなたにとってこの曲たちは色褪せましたか?」という問いかけにしたかったと。でも発音的にクエスチョンマークで終わると格好が付かないし、かと言って"FADED"にすると深読みされるだろうということで"UNFADED"にしたとのこと。

なんとなくわかるんだけど、よく考えたときに音楽が色褪せるってどういうことだろうと思ったので辞書を引いてみた。

1.色がさめる。色が薄くなる。
2.美しさやみずみずしさなどがなくなる。新鮮みがなくなる。衰える。

とのこと。たぶん2の新鮮みが無くなることが音楽において色褪せることを指すんだろう。
アポロが世に出て約20年。個人的にちゃんと聞き始めてから約15年。随分聞き慣れた。ウォークマンの音は変わらない。そういう意味では新鮮みは段々と薄れていく。それは本当だし、仕方ないし、彼らが悪いわけではない。同じ音を同じように聞いてるだけなら褪せていく。

それでも音楽って不思議で、何年か聴いた曲でも、聴く環境の違いや、どの音に集中するかで新しく聴こえる音があったりする。
成長に連れて歌詞の意味が理解できるようになったりすることもあったし、それとは別に今まで気が付かなかった音が新しく聴こえてくることもあった。ピアノの伴奏、ベースの動き、コーラスの重なりなど、音の中に潜って耳をすますと宝探しのような気持ちになる。作り手の残した思いが月日に負けず海の底で輝いていた、みたいなことがこの15年でたくさんあった。
だから音源で聴いていてもポルノは完全に色褪せたことは無いなと思う。

もちろん、ライブとなると歌い方、アレンジ、楽器の増減、セトリの組み方、舞台演出という武器がある。毎回どう見せるかをよく考えてくれていることが伝わるから色褪せたなんて思うことは無いし、行く度に曲に対して新たな思いが塗り重なっていく。(「新たな思いの塗り重ね」っていうのは、今まで聞いてたのと全然違う印象に聞こえたって体験だけじゃなくて、前から思っていた印象がさらに強く感じたっていうのも含めての話)
そういう繰り返しをずっと享受できることは当たり前じゃないよなと思う。音楽を作り、演奏してくれることはありがたいこと。

なんかまとまらなくなってきたけども。
色褪せない音楽って、結局聞く側が新しい発見をし続けたり新しい記憶の塗り重ねがあって可能なのかもしれないと思った。ポルノの場合は良い曲、良いライブを作ってくれていることで色褪せないための機会を作ってくれているけど、聞き手である自分の成長が止まったときに色褪せるのかもしれない。逆を言えば少しでも成長があれば色褪せないというか。
圧倒的成長🔥を常に目指せとかそういう話じゃなくて、毎日生きてりゃ大なり小なり考えることがあるし、その一つ一つは音楽を楽しむ上で決して無駄にはならないと思った。
もしかしたら自分の成長とともに、新しい音の発見も、詞への共感もできなくなって色褪せる曲もこの世には存在するかもしれないけど、とりあえずポルノはそんなことは無いかなと思う。

やっとライブ本編の話。
12月、1月、3月と三回行ったのに正直あまり記憶がない。ネタバレ解禁になってからいろんな人の感想を見て知ったことがたくさんあった。なんでだろうと考えたときに、元々記憶力が低いのに加えて、12月と1月がだいぶステージに近い席で、二人の表情と動きがはっきり見えすぎてキャパを超えてしまったのかもしれないと思った。興奮と引き換えに記憶を失ってしまった残念な人間…。哀れ…。

なんとか覚えていることを棚卸ししてみるけど、大体Twitterで書いたことしか覚えてなくて、1と2はTwitterに書いたまんまです。3.4が新しく思ったこと。

1.光と映像

光と映像がすごく綺麗だった。光だけでライブハウスみたいになったり、モニターがステージに最大5枚現れるのでその映像メインでホールみたいになったり、映像+動きのある光でまさしくアリーナの良さを全開にしていたり、曲によって雰囲気が変わって素敵だったなと思う。規模感を光と映像で作り直しているようで面白かった。
特にカメレオン・レンズの上下に動く光と光の柱が大迫力だった。前の方にいた12月と1月は光がきれい〜としか思っていなかったのに、割と引きで見た横浜は、思った以上に立体的で大きな光の空間が出来上がっててびっくりした。
映像無しでいくと後ろの席がステージと距離感があるように感じてしまったり、演出で彩るとなるとどうしても意識がいろいろなところを向いてしまったり、一長一短だと思うけど試行錯誤が見えて楽しかった。

2.大阪のMCと歌

今回しまなみを除いて初めて遠征をした。それも止むを得ず一人。5回ぐらいチケットの抽選に落ちたけどどうしても行きたくてなんとか機材解放席を取った。
結果、新鮮な体験がいろいろ出来たので行けて本当に良かった。
機材解放席が思いがけずめちゃくちゃ近かったのも理由だけど、何より大阪への思い入れがすごく伝わってきた。MCでもバンドの始まりの地であることや、大阪城公園でやっていた思い出が聞けたし、その後の東京ランドスケープで「そうここを出て随分時は経った」って聞いたらなんかじんときてしまった。応援してる人たちが夢を叶えてくれて、一緒に喜びを分かち合えることがどんなに嬉しいか!
その反面、彼らの住まいが今は東京にあろうと、関東はやっぱり戦いの地というか勝負の場所なんだろうなと思った。 いつも関東圏ばかり参戦するからちょっと寂しいけどこればっかりは仕方ない。

3.日の目を見た曲、見ない曲

ビタスイとかSwingとか見つめているなどを今のポルノがやってくれて嬉しかった。幕張で見つめているをやったとき、拍手の圧があまりにもすごくて「嬉しいけどごめんね、もう少し小さくして…」と仕切り直しさせてしまったぐらい、みんな前のめりに期待してて笑ってしまった。(昭仁さんごめんね)
最近の曲も海月や前夜は聞けるのをずっと待ってたので嬉しかったな。

驚いたのは今回のライブですっぽり抜けてるゾーンがあるのがあったこと。21stのWinding Roadから45thのキング&クイーン/Montageまで表題、カップリングともに入ってないはず。最近の曲たちは最近披露してたのはわかるけど、このゾーンの最初あたりにあるカップリングは割と披露されてない曲も多かったから何かしら来ると思ってた。ざっくりデータで申し訳無いけど、ゴールドディスク認定(出荷枚数10万枚以上)に達していないシングルが出てくるのがこのあたりからになっている。(音のない森だけ唯一例外でこれ以前に達していていない)本当は市場規模と配信の推移とかも見たいけどめんどいので割愛します。単純にポルノだけ売上が減ったのか、市場自体が縮小したのか、その代わり配信売上が急激に伸びたのかを知りたい。誰か〜!(他力本願)
選んだ基準として、本人たちが今やりたいかどうかの他に、今やるべきかどうかを考えなくてはならなくて、その一つの基準としてもしかしたらCDが行き渡った絶対数を用いたのかもしれないのかなと思った。データが無いからなんの説得力もないけど。
まあこのあたりもまたいつかやってくれるでしょう。きっと何事にもベストなタイミングがある。 きっと。

4.メンバーが変わるということ

長くサポートでついてくれていたメンバーが変わったので、音の面で何かが変わったように感じたかというと、ほんのりなんとなくやっぱり違ってて、でもうまく言語化できないって感じ。長いことポルノのライブを見ているうちの母は結構ばっさり「上手い人たちが集まっているのにまとまってない」と言っていた。これもなんとなくわかるような、わからないようなという気持ち。自分の意見でもないのに書くか迷ったけどそういう意見もあるということで書きました。すいません。
なんとなく、こちらが新しいメンバーを受け入れているよとレスポンスを返していった方がいいのかなと思った。ポルノの二人が何度か新しいメンバーの名前を呼んであげてね!ってやってたのが印象的だったので。
もう少し時間が経ったら馴染んでもっと良くなる気がする。自分が感じたことが何かもわかってないのに上から目線ですいませんって感じけど…。ドームのサポートさん、どうなるだろうね…。

語彙力が無いせいで最後暗くなってしまったけど、楽しかったし行ってよかった。たくさん曲を知っている人は曲を聞いたその時々の思い出にも浸ったり、原曲との違いも味わえるし、ライブで曲を初めて知った人も昔の名曲も新鮮な気持ちで味わえてとても良いツアーだったと思う。辛いことも大変なことも、ポルノを鮮やかに味わうための糧になると思えば頑張れるかな…。

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