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誰も興味なさそうな文学感想文「大尉の娘」

ロシア文学。書いたのはプーシキン。

ロマンの教科書だった。全体を通した物語の起伏と登場人物の(感情的な)スピード感が見事に一致していて、映画や小説のプロットとしてお手本になるような王道のストーリー。

このような作家がいたおかげでドストエフスキーやトルストイが生まれたのだと実感する。やはりああいう偉い人物の登場には歴史の入念な下準備(語弊ありそう)が必要なんだな。

内容は18世紀ロシアで実際に勃発した「プガチョフの乱」がベースになっている。反乱者プガチョフと関わり、また敵対することになる主人公ピョートル・アンドレーイチ・グリニョフという青年貴族による恋と友情と忠誠の冒険を描いている。

青年貴族のお話なんだけど、中世フランス文学みたいな貴族譚と違って貴族の中で生活が完結してなくて、下々の者との交流がちゃんとある。そういう一般市民が貴族をどのように迎えているかまでしっかり捉えているのがとってもえらい。なかなか難しいのよ。

理屈に裏打ちされたよいお話だった。

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