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なぜ僕たちは自分を過大評価するのか「批判的思考」+19

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+11,+12,+13,+14,+15,+16,+17,+18

前回までで原因帰属の説明をしました。今回からは、原因帰属を使って省察する方法について説明していきます。

わたしは平均より優れている?

100人の学生が国語のテストを受けたとします。その学生をランダムに選び、「あなたは国語の点数が何点だと思いますか?」と聞いたとしましょう。するとほとんどの人は、「平均よりは上だと思う」と答えるという話はどこかで聞いたことがあるでしょう。

このように、人は自分の能力を平均より上だと思う傾向にあります。テストの成績に自信があったのに平均点以下を取った経験は誰にでもありますよね。

つまり人は自分自身の行動を解釈するとき、強い思い込みを挟んでしまうのです。自分の成功は内的な要因に、時分の失敗は外的な要因に帰属すると考え、自分の都合のよい解釈になります。この現象を「自己奉仕バイアス」と言います。

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以前お話した「平均方向への回帰」の原則を考えると、人は良い結果を出し続けることはできないにもかかわらず、「自分ならできるんじゃない?」とうぬぼれてしまうんですね。

汝自分を知れ!≠汝自分を欺け!

「自分の都合の良い解釈をしてしまう」という自己奉仕バイアスは、こんなシチュエーションでも使われています。

たとえば、Aくんはほとんど勉強せずに挑んだテストが高得点だったとしましょう。するとAくんは、「ぼくって頭いいんじゃん\(^o^)/」とまず考える傾向にあるのです。

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外的要因ではなく内的要因のみで帰属するので、自分の実力を過大評価するのです。また一方で、悪い結果が起きたときは、外的要因にしてしまう傾向にあるのです。「テストの成績が悪いのは先生の教え方が下手だからだ!」など、ありがちですね。

つまりぼくたちは、自分を客観的に理解するのではなく、強い思い込み(主観)を通して自分を理解しようとします。「汝自分を知れ!」は言うは易く行うは難し。自分をちゃんと知るよりも、自分を気持ちよく欺くほうが楽チンなのでしょう。

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プラスの面もマイナスの面も自分の都合よく解釈する例をもう1つご紹介します。ぼくは彼らを見るといつも、「自分を欺く才能があるよなぁ」と感心します。

それは、喫煙者です。彼らのタバコを吸う理由がどれもおもしろい。

「タバコはリラックス効果あるから!」や「タバコ吸わないと逆にストレスになるんよ!」など、ステキな自己奉仕が聞けますね。人は自分のためなら、どんな事実でも捻じ曲げて都合よく解釈してしまうのです。

ここで伝えたいのは、喫煙者をディスりたいだけでなく、この現象が自分にもあると自覚する必要があることです。

ここまでの話を聞いて、「そういう人いるよなぁー」と思っているなら、それはすでに自己奉仕バイアスに引っかかっています。つまりそれは深層心理で、自分は例外だ!と考えているからです。

大事なのは、自分を客観的に知ることなのです。

まとめ

自己奉仕バイアスは頻繁に起こります。微笑ましい解釈もあるんですけど、大事な場面で自己都合を優先するのはまちがっています。自分を欺くのではなく、自分を的確に知る努力を続けていきたいですね。

【考えてみよう】
「犯罪を犯す人はおかしい人である」という主張が、おかしい理由を自己奉仕バイアスを使って説明してみよう。

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クリティカルシンキング「自己奉仕バイアス」+19


読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。