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抑うつ的な帰属スタイルに気をつける「批判的思考」+22

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+21

前回は、原因帰属を行うときの4つの視点をご紹介しました。この4つの視点を行き来できると建設的な原因帰属が行なえます。

今回はこの4つの視点の使い方次第で、抑うつ状態になったり、逆にレジリエンス状態(逆境に打ち勝つ)になったりする理由をご紹介します。

いつ、どんなときも、アホな自分?

前回の復習からいきましょう。原因帰属を行うときの視点は以下の4つです。

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結果が起こったとき、この4つを使って原因を帰属すればよかったですね。

そして、この4つの視点を手に入れると、いつもマイナスに考えて落ち込みやすい人の特徴もわかってきます。たとえば、Aくんがテストで赤点を取ったとしましょう。その結果を見てAくんは、こう思いました。

ぼくのテストの点数が低いのは、自分がアホで無能だからだ。いつもぼくはダメダメで、なにをやってもうまくいかない

こういう原因帰属をする友人、学校に1人はいましたよね。この原因帰属を4つの視点で整理します。

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ネガティブに考える傾向にある人は、内的で安定的、それでいて全体的に考えてコントロール感を失う思考を習慣的に行ってしまいます。言い換えると、原因を自分のせいにし、それがいつも起こると思っていて、なにをやってもダメなのだと考えるのです。

こんな風に考えていたら、誰だって抑うつになりますよね…

自分の習慣的な帰属スタイルに気づく

抑うつを発生させやすい決まったパターンを「帰属スタイル」と言います。専門的な説明がなくても、Aくんの帰属スタイルが抑うつを発生させる理由はわかるでしょう。

要するに、帰属スタイルは精神状態と密接に関わっているのです。

たとえば、落ち込みやすいAくんと同じようにBくんも赤点を取ったとしましょう。Aくんと同じ帰属スタイルであれば、Bくんも落ち込むはずです。しかしBくんはいつもどおり元気で、失敗からの回復も早かったとします。その理由は、帰属スタイルに関係しているのです。

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Bくんはまず、原因の帰属を内的と外的の両方で行いました。自分を責めずに、いろんな可能性を考えているのです。そのためコントロール可能な原因も発見できています。

今回は勉強時間が少なかったとわかったので、次回は勉強時間を増やすでしょう。他の科目もすべてが赤点なわけではありませんから、安定的に赤点が起こるとは考えていません。ちなみに他のテストがすべて赤点だったとしても、不安定的に考えることはできます。

全テストが0点でなければ「○」をもらった数を数えるなど、たまたまだと思えるプラス要素はいくつもあります。

そして赤点をとりがちなのと他のこともダメダメだと思うのは、合っているようで論理的に破綻しています。しかし実際に原因帰属をするときは、その事実を見落としてしまいがち。ですからBくんは、自分が得意とする分野を思い出して全体的な視点で見ないようにしているのです。

帰属スタイルを改善する

自分の習慣的な帰属スタイルがわかると、自分が落ち込むやすいパターンがわかるのと、どこを改善すれば逆境に打ち勝ちやすいかがわかってきます。つまり、傷ついた自分を回復する方法を学べるのです。

たとえテストの成績が悪かったのが完全に自分の実力不足だったとしても、勉強量を増やせば盛り返せるかもしれません。コントールできる原意だと分かれば、現状はダメでも未来に希望が持てます。

この希望があれば失敗から学べますし、踏ん張りの原動力になりえるでしょう。人によって原動力は違いますが、原因をしっかり帰属すれば必ず改善できるポイントがわかります。

上手に帰属を操って、ときには「自己奉仕バイアス」を使いまくってでも、前に進む努力をしていけばいいのだと思います。

まとめ

抑うつ的な帰属スタイルは、個人的には学生時代によく使ってた印象がありました。仲間が近くにいたんでどうしても比較して考えちゃうんですよね。最終的に自分の無力さに落ち込む的な。あるある。

メンタルを清潔に保つためにも、間違った帰属には気をつけたいですね。

【考えてみよう】
あなたが大事な約束に寝坊して遅刻したとします。この結果を引き起こした原因を4つの視点を使って洗い出してみましょう。同じ失敗をしない方法も同時に考えられるとGOOD。


読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。