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あなたが他人を見るときに犯しやすい思い込みがこちら「批判的思考」+14

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+11,+12,+13

前回は、原因を帰属するときに起こりがちな割引と割増の原理について説明しました。今回は、原因を帰属をする際にやりがちな錯覚、「行為者-観察者効果」について説明します。

よく転ぶ人はドジな人?

たとえば、「クレヨンしんちゃん」のマサオくんを例に出して考えてみましょう。マサオくんはしんちゃんの友達の中でもドジで頼りない存在です。そんなマサオくんが、みんなで遊んでいるときに何度も転んだとします。周りの友人達は、ドジだから何度も転んだと考えるでしょう。

しかしこのとき、マサオくんは左足にケガをしていてうまく歩けない状態だったらどうでしょう。①ドジだから→②転んだとは考えにくいはずです。

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ほとんどの人は、「ドジだから」を優先的に原因の帰属として使います。この現象を「基本的帰属錯誤」と呼ぶのです。

要するに、他人の行動を考えるときは、相手の内面に注目し、環境や状況の重要度は低くなります。マサオくんの例で見ても、外的要因ではなく、内的要因を大きく考えていますね。

よくある例でも考えてみましょう。

視聴率30%超えのドラマに悪役として登場した俳優Aさんがいたとします。Aさんは俳優ですから、台本通りに演技を行っているだけです。しかし実際は、現実でのAさんも①悪役をやっている→②じっさいの性格も悪い!!と考えられるのです。まったく不合理な思考ですが、このように原因の帰属を間違えるケースは多々あります。

行為者-観察者効果に気をつける

たとえば、Aさんが料理をしているときにBさんも手伝おうと声をかけてくれたとします。しかし声をかけたタイミングがマズくて、Aさんは包丁で指を切ってしまいました。このときAさんは、Bさんをどう思うでしょうか。

「気がつかえない」や「不器用」のような内面を指摘するはずです。

では逆に、今度はBさんが大工をしているときにAさんが手伝おうと声をかけ、その弾みでBさんが手をケガしたとしましょう。興味深いのが、このときのAさんの思考です。

包丁で手を切ったときと同じシチュエーションですから、AさんがBさんに感じたように「わたしって気がつかえないんだな」「不器用だから黙っていよう」と考えるはずなのです。

しかしそんな思考はせずに「タイミングなんてわからないよ」「そんなダメなこと?」のような気持ちになるのです。この現象を「行為者-観察者効果」と呼びます。

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要するに、自分が行為者である場合は相手の内的原因を帰属に使い、自分が観察者である場合は自分の外的要因を帰属に使う傾向にあるのです。

なぜこんな現象が起こるのか?

この現象が起きる理由は大きく分けると2つあり、立場の違いから起こる情報格差と両者の注意の向け方の違いで説明できます。

行為者、つまりよく転んでしまうカザマくんは、なぜ転びやすいのかいろんな要因を観察者よりも知っています。逆に観察者は、彼がなぜ転びやすいと思っているのか、外からではわからないのです。

そして行為者は、まずはじめに内的要因ではなく外的要因に重きを置く傾向があります。まさに原因帰属の錯覚です。自分の問題は、外的要因のせいにしがちなのはだれでも心当たりがあるでしょう。

しかし観察者は相手の感情まではわかりませんから、その外的な要因を考慮に入れません。なので自然と相手の内面に注目してしまうのです。

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まとめ

行為者-観察者効果は、知っていてもやりがちになる厄介なクセです。この現象を減らすには、日頃からクリティカルシンキングを鍛えるしかないんでしょうね。

やはり日々の思考の積み重ねが、良質な思考を生むのでしょう。

【考えてみよう】
友人が約束の時間に15分遅れて来たとする。このとき、もしあなたが行為者(遅刻した人)であればどんな原因を帰属するだろう。逆にあなたが観察者(遅刻された人)であれば相手はどんな原因を帰属すると思うだろうか。両方の立場をどう帰属するか考えてみよう。

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クリティカルシンキング「原因帰属の錯覚:行為者-観察者効果」+14の解説


読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。