男心を知りたくて... ~JUJU ホールツアー2021 静岡公演を観て~
2021年4月になりました。
毎度おなじみの
#Shiba的ライブレポ でございます!
新年度もスタートしましたが、
今年度もこのnoteを贔屓に宜しくお願いします!
さてさて、このレポ、約7,500字記載しております。いつもよりは、ちょっと短いレコメンドになるのですが、その分濃いものが仕上がったのかな、と思っています。よかったら、最後まで覗いてみてください!!
⚠️⚠️⚠️今回はセトリを含めた記述をしております。これからライブを観に行かれる方で「ネタバレしたくない!」という人がいらっしゃれば、ここで引き返しておくことをお勧めいたします⚠️⚠️⚠️
遅くなりましたが、noteを開いてくださり、ありがとうございます!これから始まる新たな音楽の旅に、少しだけお付き合い願えたらと思います。
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前説
2021年4月6日 (火)
社会人生活6日目となるこの日、ど平日ながら私はライブに行った。
有難いことに人に恵まれ、生活の中に大きなストレスがあるわけじゃないのだが、働いてみて少し気付いたのは、仕事の内容以上に満員電車に乗って移動することの面倒臭さというものだった。朝7時半過ぎのJR線が億劫で仕方ない。まぁ、今のところ仕事で語ることがあるのなら、そんなところか。
さてさて、この日は定時で研修が終わり、普段の2倍くらいの歩幅で、慣れた場所のひとつへ。18時近くの静岡市民文化会館は賑わっていた。
この人を私は一度観てみたかった。
と言うのは、長いこと彼女の歌を耳にしていたというのもあるけれど、それ以上に"いま"彼女の歌を目の当たりにしてみたいという思いが強かったというのがあった。
何より、この日の軸となるアルバムが、とても素敵だった。だから、普段歩く以上の歩幅で歩いてまで、この日は生きてみたのだ。
というか、この季節にホールツアーを大々的にやるということ自体、きっと2021年のエンタメシーンにおいてとても大きな出来事な気がする。
2021年4月最初のライブは、JUJUとの初遭遇であった。
『俺のリクエスト』
今年デビュー18年目を迎えたシンガー・JUJU。彼女と言えば、「やさしさで溢れるように」や「奇跡を望むなら...」といったバラードが有名だったり、彼女自身のボーカリストとしての技量と高さに定評があったりと、日本を代表するシンガーのひとりであるが、そんなJUJUには定番となっている企画がひとつある。
それは「ジュジュ苑」というイベントだ。
これは、2008年から開催しているカバー曲だけを披露するライブのこと。毎回、このイベントでは観客からリクエストを募ったり、観客の中から一人とデュエットをしてライブを盛り上げたりと、本人やファンにとっても大切なイベントとして知られている。
そんな「ジュジュ苑」でのカバー曲の人気から、2010年には自身初のカバーアルバム『Request』をリリースし、このアルバムでJUJUは自身初のアルバムチャート1位・第57回日本レコード大賞企画賞を受賞した。この後も、カバーアルバムを4枚リリースし、「ジュジュ苑」の人気と共に、彼女の歌の凄さが多くの場で広まっていった。
そんなJUJUにとって、5枚目のカバーアルバムとして2020年10月にリリースされた1枚が『俺のRequest』である。このアルバムは、今までのカバーアルバムと違い、男性アーティストの名曲だけをセレクトし、作られた1枚だ。その楽曲は、オフコース、Mr.Children、GLAY、久保田利伸、スキマスイッチなど、幅広い選曲が目立つ結果となった。どれもが日本を代表する名曲の数々、とても内容の濃い1枚となった。
そして、このアルバムを引提げ、2021年3月から始まった全国ツアーが、この日静岡市民文化会館で行われた『JUJU HALL TOUR 2021 ジュジュ苑「俺のRequest」』なのだ。
どうやら「ジュジュ苑」は昨年10月に行われた配信ライブ以来で、全国ツアーでは少し久々なものなのだそう。JUJUがこの静岡市民文化会館でライブをやるのも2019年のツアー以来3年ぶりとのこと。
今回、どうして行こうかと思ったのかというのは、その『俺のRequest』がいいアルバムだったから、というのが大きい。JUJUがカバーする曲って、原曲にある良さに加えて、彼女の声の持つ良さというものが混じって、新たな発見がある瞬間がとても多い。だから、その歌を生で出会ってみたくなった。というのが、すべての理由だ。
急ぎ足で向かった18時頃の静岡市民文化会館は、入場列が長いこと出来ていた。この日は、私の母親もいたので、会場で合流し、地下駐車場で軽い軽食とスーツから私服に着替え(ついでに少しメイクアップもして)、いざ会場入り。
一般販売直前のSUNDAY FORKの抽選でとれたのだが、この日の1階27列目の席は、ちょうど通路側でゆっくり観れそうな席だった。下手側の席は、この会場だったら久々かもしれないかな。そんなことを思い、ライブの開場時間を待ったのでした。
例年と違う「ジュジュ苑」
開演 18:39 終演 20:54
定刻から約10分過ぎたあたりで、ゆっくりと会場の照明が暗転。バンドメンバーがステージに登場した。ピアノを中心としたセッションが繰り広げる中、下手側からJUJUが登場し、ステージ中央についた。
「終わるはずのない愛が途絶えた」というフレーズから歌いだしたのは、1982年にオフコースが発表した名曲「言葉にできない」。このフレーズだけで、ホールは静かに彼女の歌に耳を研ぎ澄ます。アレンジは、小田和正のソロバージョンに寄った形で、ストリングスが染み渡っている。そもそもの「ジュジュ苑」自体、こんなシックでムードのある時間だ。そんな一夜が、この曲から始まった。
聴き慣れたギターのフレーズがちりばめられたアレンジで続いたのは、サザンオールスターズの名曲「Ya Ya (あの時代を忘れない)」。彼女のボーカルが光るセンチメンタルな色をした1曲は、序盤の大きなワンシーンであった。
ここで最初のMCに入るのだが、ここで思ったことをひとつ。客席全員座ってる、ということ。初めて観に行くから尚更そのことを思うのかもしれないが、この日のことを先に説明するが、終盤の盛り上がる2曲とアンコール最後の1曲以外、観客が立って楽しむことはなかった。それは、この日のライブの構成がそうさせた、可能性は高い。振り返れば、聴き入るシーンが多いライブだったような感じがある。もしかしたら、このご時世ということが意図的にあったのかもしれないし、曲のアレンジが元からこうだったから、そんな形になったというのもあり得る。
とにかく、個人的には久々のほぼ座りっぱなしのライブだった。だからか、なんかこういう感覚が久々だった、というのがこの日の感覚だった。
さて、「こんばんは、JUJUです」と小声気味で始まった最初のMCは、このご時世だから観客が声を出すことができないことを触れていた。「普段はお客さんとの会話を楽しむのは私のライブなんですけど、今日はそれができないので。でも、皆さん手を振ることはできるので」ということで、両手で手を振りあるタイミングで一気にその肩を下に落とすということをやることになった(どうやらリラックス効果もあるのだとか)。
「2階席!」といい、手を振りバサッと腕を落とす音だけが静かに聞こえるホール内。なかなかのシュール感、こういうライブだったのか...?それは1階席でやっても、全員でやっても同じ。多分、これで緊張感はきっとなくなったはず。
先ほどうたった2曲の紹介を終えて、次に歌う曲の紹介へ。「この曲は私が歌いたくてセレクトしました」と話したのは、2019年にフジファブリックが発表した楽曲「手紙」。「普段手紙書きますか?電話やメールもいいけど、大切な人を思って書く手紙もよくて...」となんか話が長くなるJUJU。そのことも触れ「私、喋ると長くなるので、長くなったら(腕時計を見せるように)『JUJU、長いよ!』とか伝えてくださいね」と話し、曲へ突入。
あぁ、この人結構喋る人なのか。最初のMCの一言と、MC終わりの本人のテンションが違ってたので、そんな意外性を感じた序盤戦だった。
「手紙」に続いたのは、山崎まさよしの名ラブソング「One more time, One more chance」。同郷の友達を思って書く手紙の歌から、いなくなってしまった大切な人を探す歌へ。どこか、この部分には共通するものを感じたのは私だけだろうか? 誰かを思うという部分の共通項はあるにせよ。
リクエストと挑戦
2回目のMCに入ると、次の曲のパートに関する話題へ。
「次の曲はサイトでリクエストを募って選んだ曲なんですけど、投票した人います?」と訊くJUJUに、パラパラと上がる客席の手。それに驚くJUJU。
「はぁ~、なんかこのリクエスト投票が来るのはいいんですけど、会場によっては誰も投票していないことがあって。じゃあ、だれが投票して、そして歌っているんだろうと思って」と、この企画に対する本心を吐露するJUJU。その流れで「今日初めてJUJU観に来たという人どれだけいます?」と訊くと(1階席後方から見る感じだと)、3割くらい上がる客席の手。それにまた声が高くなり「はぁ~、そうなの?!」というテンション。結構、高ぶってきてるみたい。
話題はリクエスト投票に戻り、「今回、洋楽邦楽3曲ずつ、計6曲用意して、それを会場ごとに3曲ずつやるのですが。で、今日はこの3曲をやるんですが... どの3曲だよ?って感じですよね。でも、皆さん必ず聞いたことのあるような曲ですので」といい、続く「チャレンジリクエスト」のコーナーへ。
リクエスト1曲目は邦楽より、玉置浩二「メロディ」。抱擁感のある声と歌詞が染み渡った後は、ピアノのイントロが有名なThe Beatles「Let It Be」へ。間奏のギターソロを含め、原曲に忠実なアレンジの2曲に続いては、ファンキーでサイケデリックな音が。R&Bの名曲で、1978年に発表されたTOTOの「Georgy Porgy」で、今までの空気とは一変し、手拍子と共に踊るフロアに化した。この曲の中盤では、ツアーのサポートメンバーの紹介も行われていた。
チャレンジリクエストのあと、再び『俺のRequest』からの選曲より、キリンジ「エイリアンズ」に。先ほどの「Georgy Porgy」のように、R&Bのような独特な空気間でライブが続いた。
雨が降った先には...?
4曲歌い終えた後、再びMCへ。
ここでJUJUは次は「今月のユーミンのコーナー」に入ると告げた。
あれ??これ、男性アーティストの曲のカバーよな...?
そんなクエスチョンに答えるように、JUJUは「私にとって、ユーミンは教科書のようなものなんです。そこから生き方だったり都会だったりを学んで。だから、このツアーでどうしてもユーミンを歌いたくて」とその理由を語った。
「今月の~」とあるように、先月からスタートしたツアーでは、月ごとに歌う曲を変えているそうで、3月は「ダンテライオン~遅咲きのたんぽぽ」を歌い(この流れでその曲のサビだけアカペラで披露)、4月のユーミンをここで初披露するということに。
ホールツアー4月編初日となった静岡で披露されたのは、1981年に発表された「手のひらの東京タワー」。4月ということで上京とか都会の景色を学んだ曲という思いで、この曲を選んだそうだ。
ここから、ライブはより深いゾーンに突入。
続いたのは、中西保志の名曲「最後の雨」。曲が終わると、雨が降る音だけがホールの中に残る。そうして歌ったのは、先日リリースされたトリビュートアルバム『筒美京平 SONG BOOK』に収録された稲垣潤一の名曲「ドラマティック・レイン」、2曲とも恋愛の熱量を止まない雨に例えた名ナンバーだ。そんな雨の名曲の後、ここ静岡が地元である久保田利伸の名曲「LA•LA•LA LOVE SONG」で、ライブは盛り上がりどころに。観客は立ちながら、そのグルーヴ・R&Bを踊った。そのまま続く、山下達郎の名曲「RIDE ON TIME」で雨は一気に止んで、より開けた景色に。
そんな4曲を、JUJU本人は「ドシャ降りゾーン」と銘打っていた。「強く抱きしめるほどの最後の雨」や「もっと強く降り注ぐ雨」から「ドシャ降りのの午後を待って 街を飛び出して」、「青い水平線を いま駆け抜けていく」ような開けた空へ。「そんなパーッと開けていく感じで、これからがよくなっていくといいな、と願って」と、JUJU本人はこのパートを振り返るのだった。
「ドシャ降りゾーン」後のMCで、JUJUは残り2曲であることを告げ、ライブが終わることを名残惜しそうにする。
ここで、彼女はこの日のライブに向けた思い、そしてアルバム『俺のRequest』に対する思いを話した。
「このアルバムで、男心を学ぼうと思いました。私が女だからこそ、男心というものがどういうものなのか知りたくて、このようなことに挑戦してみました。で、気付いたのは、男性は思い出をメモリーカードみたいに記録しているんだなと。女性だと、記憶を上書き保存しているようなものなんですけど、男性は事細かいことまで鮮明に覚えていて。だからこそ、気付くものが男性にはあるんだなと、ここから学んだ気がします。」
少し日がたってうろ覚えな部分があるんだけど、こんなことを彼女は話したのだった。これを聴いていると、この日のセットリストはこの思いに沿ったような曲目が多く並んでいたことに気づいた。序盤の「手紙」や「Ya Ya (あの時代を忘れない)」のように、その時の思いを歌うようなことには、きっとそんな男心があるのではないか。男ながら、そんなことに気付く。
そうして、本編はそんな思いが鮮明に映ったラブソング... Mr.Childrenの「くるみ」、スキマスイッチの「奏」を披露し、JUJUとサポートバンドはステージを降りて行った。
次に会うためのラブレター
本編が終わってから、客席からはアンコールを求める手拍子が鳴り始めた。それは、時間が経つにつれ強いものとなり、その歌声を求める思いになっていった。
それに応えるように、サポートバンドがステージに登場。和のテイストが漂う「あざみ」を演奏し始め、JUJUは再びステージに戻ってくる。本編で来ていた黒を基調としたドレスから、白を基調としたドレスに衣装チェンジし、登場したときは客席から驚きの声が上がるのだった。
曲を歌い終えた後、彼女は「本編であんなに歌わせてもらったのに、アンコールまで読んでもらえるとは」と嬉しさを伝えた。それに続き「この日のことはきっと忘れません。これからの活動の中でしんどくなった時には、静岡の皆さんのことを思い出して、頑張っていきます」と話した。
そうして、アンコール最後の曲へ。
JUJUはこの日のライブのことを振り返り、「次に静岡でお会いするときには、元通りになって、皆さんとお話ししたり、デュエットしたりできればいいなと思います。そんな日のために、皆さんにラブレターを。受け取ってもらえませんか?今日はありがとうございました」といい、JUJUを代表する名曲「やさしさで溢れるように」を届けた。
この曲を歌い終え、JUJUは客席に深くお辞儀をし、サポートメンバーと共に前に出て挨拶。普段ならバンドメンバーと手をつなぎ挨拶するものを「Distance!!」といい距離をとって挨拶。一人一人のメンバーを紹介したのち、「心の中のコーラス・静岡の皆さん!」といい、この日集まった約1,000人の客席に向かって拍手をした。バンドメンバーがステージを後にしたのち、JUJUはステージの上手下手へ客席に向かって拍手をし、カーテンコールを迎えた。また会える日を願い、JUJUはステージを後にした。
本編はアルバム『俺のRequest』を中心に、カバー曲を軸とした「ジュジュ苑」を展開したが、アンコールでは彼女自身の持ち歌を披露し、約2時間半のライブの幕は閉じた。
カバー自体とても素敵なものだったが、何よりも最後の1曲で全てを持っていったJUJU本人の歌の強さに、感動で震えるのでした。この曲自体、一回は生で聴いてみたい曲だったので、「ジュジュ苑」で聴けたことに驚きとともに、この日観れてよかったなぁ、というのを噛み締める1日だったのです。
次にJUJUのコンサートを観る日が来たら、今度はアルバムのツアーで観れたらいいな。彼女の曲って、バラードもいいけど、アップテンポの曲やジャズも素敵なので、次はそれを生で聴けたらいいな。また会うその日まで、受けとったラブレターは、その記憶の中の景色と歌と共に、私の中に刻み込まれるのでした。
この日のセットリスト
JUJU HALL TOUR 2021
ジュジュ苑「俺のRequest」
2021.04.06 静岡市民文化会館 大ホール
01, 言葉にできない (オフコース)
02, Ya Ya (あの時代を忘れない) (サザンオールスターズ)
03, 手紙 (フジファブリック)
04, One more time, One more chance (山崎まさよし)
05, メロディ (玉置浩二)
06, Let It Be (The Beatles)
07, Georgy Porgy (TOTO)
08, エイリアンズ (キリンジ)
09, 手のひらの東京タワー (松任谷由実)
10, 最後の雨 (中西保志)
11, ドラマティック・レイン (稲垣潤一)
12, LA•LA•LA LOVE SONG (久保田利伸)
13, RIDE ON TIME (山下達郎)
14, くるみ (Mr.Children)
15, 奏 (スキマスイッチ)
((アンコール))
16, あざみ
17, やさしさで溢れるように
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noteを最後まで読んでいただき、
ありがとうございました!
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