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2020年・日本最大のポップアイコンの現在地点 ~嵐『This is 嵐』より~

本日、2020年12月31日・大晦日。
このブログを載せたのは、ちょうど12時だ。

2020年は想像したことのない未曽有の1年だった。そんな1年だったけど、今年も無事大晦日を迎えることができた。これを読んでる皆さんも、そうであってほしいと思います。

一部地域は、大雪が心配なところだが、無事でしょうか?今、このブログを書いているとき(2020年12月30日23時頃)、私が住んでる街では相当な量の雪が降っています。少し足が冷える気がします。皆さん、お身体には気を付けてくださいね。

そんな2020年の大晦日を、「今年も無事終わった...」と胸を撫で下ろして迎える人が居る中で、「2020年が終わってほしくない...」と願って迎える人も多い気がする。少なくとも、ここ1,2週間、そんな声をちらほら目にする。

その理由は、言うまでもない。
それは、例のニュースだ。

2019年1月にこの話を聞いたとき、私も一瞬耳を疑った。多くの人がそうだったことだろう。特に、彼らのファンほどそれはショッキングなものだったはず。友達にも、そんな顔をする人は多かった。でも、そのときは「そのカウントダウンはまだ2年もあるなぁ」程度にしか思わなかった。

しかし、このブログを書いている12月30日、それは本当に起こることなのかと、疑う私がいる。テレビが、様々な瞬間が、そのカウントダウンを助長することとともに、それはきっと本当のことなのだと理解する私がいる。

そして、今日・12月31日を迎えた。

12時間後、アイドルグループ「嵐」は活動休止を迎える。

日本最大級のポップアイコン・嵐

いまや、名実共に日本を代表するアイドルグループとなった嵐。そのメンバーの紹介はもはや必要ない気がする。櫻井翔、二宮和也、松本潤、大野智、相葉雅紀の5人組だ(下の写真より、左から順に)。

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日本人なら、一度は彼らの顔をテレビや何かで見たことがあるはずだ。もし仮に「嵐って何かわからない」と言われたとしても、あなたはきっとどこかで知らない間に彼らを見たことがあると思う。バラエティ番組や映画、音楽番組、ドラマ、報道番組、雑誌、企業CMなど、はたまた彼らの曲がアレンジされたスーパーマーケットのBGMとか... そんな場所で気付かないうちに彼らが作り出したものに遭遇している。つまり、日本人の生活の中で、嵐というグループはひとつのブランドとして成立していて、その存在は至る方向で大きな存在感を発揮している。

2020年の日本において、ここまで多方面で活躍している人なんて、どれだけいることだろう? 嵐とは、日本を代表するアイドルであるとともに、日本を代表する顔そのものと言えるだろう。

いわば、日本最大級のポップアイコンが、嵐であるわけだ。

2019年から2年間の活動を振り返る

そんな嵐だが、2019年1月に行われた記者会見で、2020年いっぱいでの活動休止を発表した。その理由に記述に多くの時間を割こうとは思わないので省略するが、この発表をした彼らは、休止を迎えるまでの2年間を「応援してきてくれた方への感謝を伝える期間」として、様々な活動を行ってきた。2018年から翌19年にかけて、日本音楽史上最大規模となる237万5000人を動員した全国ツアー「ARASHI Anniversary Tour 5×20」を開催し、直接ファンに歌を届けていった。その思いは、自身のレギュラー番組でも多く述べられるほどだった。

そのアクションと共に、その期間は彼らにとって新たな挑戦をする時間でもあった。デビュー20周年を迎えた2019年11月3日、自身初となるSNSの一斉解禁、サブスクリプション配信への参入など、彼らが今まで行ってこなかったことに挑んだ期間でもあった。

そんな感謝や挑戦に満ちた2019年を得て、迎えたラストイヤーとなる2020年は、多くの機会が待っているはずだった。新国立競技場でのライブイベント「ARASHI アラフェス 2020 at NATIONAL STADIUM」は、そんな2020年の大きな目玉イベントとなるはずだった。しかし、昨今のウイルス拡大により、ライブは延期、無観客での配信ライブとして開催が決まった。

ここで「もしも...」って言葉を使うのは、意味が違うと思うので避けたいけれど、もし仮に予定していたことが全て行われたとしたら、これはどんな位置付けとなるのだろう?一旦のラスト作となるアルバムは、彼らにとってどんなものになるのだろうか。

今回は、アルバム『This is 嵐』のレコメンドを行います。

『This is 嵐』をまとめてみる話

2020年11月3日、デビュー21周年となる記念の日に17枚目となるオリジナルアルバム『This is 嵐』をリリースした。オリジナルアルバムとしては、2017年発表の『「untitled」』以来3年ぶりとなるアルバムは、2019年以降の嵐の音楽が存分に詰まった1枚となっている。

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そんな1枚を、実は私はリリースした日にCDショップに行って買っていた。2CD・DVD付きの初回盤だった。普段なら、買ったCDは必ず写真を撮って、インスタに「 #Shiba的音楽レコメンド 」と題して、考察や感想を載せているのだが、今回ばかりはそれをするのが筋違いに思えてしまって書くことが出来ずにいた。写真すら撮らずに、淡々と袋を開け、聴いて棚にしまってしまった。そうなってしまった核心的な理由は、時間があったら最後に書くこととして、その時のテンション的になんか気持ちがその方向に向かなかったのだ。故に、長らく聴いてお終いな状況であった。

しかし、、、時間が経つにつれ、これをまとめずにはいられなかった。この1枚には、2020年現在の嵐の見ている景色が、音楽が、明確に記されている。それを、私はいち”音楽リスナー”としてまとめたくなった。

そもそも、こういうレコメンドや感想は、ファンの思うようなことや長年彼らを知っているような人がまとめるものには敵わないと思っている。私がこのアルバムのレコメンドを書こうと思えなかった理由のひとつには、「アイドルだから少し色眼鏡をつけてしまいそう」という偏見があった。ジャニーズ系のファンには色んな人たちがいると聞いたことがあるのだが、普段ポップス系やロック系を多く扱う私からしたら、そういうジャンルに慣れていないこと、そして堂々と書けないかもしれないこと(「これ違う」という声にビビってしまう等)に躊躇って、決心がつかなかったのだ。

私は言ってしまえば、アウトサイダーだ。
そもそも、ファンの定義が何なのかさっぱりわからないから、敢えて断言するのだが、私は嵐の”ファン”ではない。FCにも入っていないし、ライブを観たこともない。テレビやアルバムを少し嗜んだ程度のレベルだ。言えば、私は”音楽リスナー”として、嵐を聴いたことがある人間だと思っている。だから、熱心なファンみたいに色々と語ることは難しいし、知識量もそんな多いわけじゃない。故に、ジャニーズ系とかアイドルのアルバムをまとめることには難があると考えていた。

しかし、こんな私だからこそ、このアルバム『This is 嵐』をしっかりまとめる必要があると感じた。それは、買ってアルバムを聴いたときに、直感的に感じたことだった。それは、「普段、嵐の音楽・アルバムを聴かない人にこそ、このアルバムは手に取って聴いた方がいい」と思ったから。今だったら、スマホを指先ひとつで再生することもできる。今までにないほど、彼らの音楽が身近な時代になっている。だからこそ、このアルバムをレコメンドしたくなったのだ。

聴いていて思ったのは、「確かに嵐ってこういうことなんだよな」ということとか、「ポップスってこういうものかもな」という思考回路。それを紐解いていって思ったのは、彼らの背中にあるその歴史と未来像だった。

そして思う結論。

「だから、『This is 嵐』なのか!」と。

何故、そのような思いに至ったのか?

そして、このアルバムで嵐は何を提示したのか?

今回は、その2つについてを少しまとめられたら、と思います。

ジャニーズ事務所の歴史が生んだモノローグ

このアルバムを聴いたときに、率直に思ったことを話すのなら、まず「嵐はどの方向を見ているのだろう?」ということがある。それは、マイナス的な意味ではないことを先に述べておこう。その感覚には、一種の懐古的なもの、言い換えれば過去を見たような側面があると同時に、最新系の音楽・2020年のポップスという音像に全てがフォーカスされているという、2つの側面を同時に感じずにはいられないと思ったのだ。

まず、その「過去を見たような側面」という話から触れていきたい。それは、ジャニーズが持ちうるトラディショナルな音や歴史の匂いを覚えるというものだ。このチャプターでは一回、嵐以前のジャニーズの話からその過程を見ていきたい。

そもそも、ジャニーズとは今は亡きジャニー喜多川(通称・ジャニーさん)の生い立ちが関係してくる。若き日を過ごしたアメリカ・ロサンゼルスの空気感、エンターテイメントに触れて育ったジャニーさんは、1952年に来日する。そこで組んだ野球チームがジャニーズの始まりといわれている。

ある日、チームで観ていた映画『ウエスト・サイド・ストーリー』に感化され、ジャニーさんはダンスの指導を始める。その後の1962年、最初のグループ・ジャニーズ(初代ジャニーズ)が結成された。のちに、フォーリーブスがデビューし、ジャニーズは芸能事務所として発展していく。のちに郷ひろみや田原俊彦、近藤真彦などのデビューで、ジャニーズはアイドル色が強い芸能事務所となった。

そんな彼等だが、元々やっていた音楽は1950年代に流行っていたGS(グループサウンド)だったが、そのジャンルの人気の下火に伴い、方向性は大きな転換が求められた。そんな彼らが突き進んだのは、アメリカのソウルミュージックだった。そこには、当時あった日本の音楽の系統樹の問題が存在する。GS出身やその音楽を嗜んでいた人たちは、のちにフォークと呼ばれるジャンルに突き進んでいく。今でいう吉田拓郎や井上陽水がその筆頭だ。フォーク系には、政治的な情勢を切り取った歌が多く、その音楽は時代を写し取るものであった。

しかし、ジャニーさんはそれの方向に進もうとしなかった。そこには、彼の中に、前述の映画『ウエスト・サイド・ストーリー』に関連するエンターテイメントにこだわること、そしてポップなものを提示することに、スタンスを見出していたからだと考えられている。これにより、ジャニーズは70年代から流行ったジャクソン5に通ずるソウルミュージックに転換していく。

そんな歴史を鑑みると、ジャニーズの音楽には、ソウルミュージックの匂いを感じる曲は多いように思う。のちに活躍する少年隊やシブがき隊、光GENJIは、何かと歌謡曲的な側面で語られることが多いのだが、全体のグルーヴ感にはソウルミュージックに通ずる音像が秘められているように思える。少年隊「stripe blue」はその代表的な音であるように思える。

90年代以降のジャニーズの進化は、もう言うまでもない。SMAP、TOKIO、Kinki Kidsなどのデビューを得て、嵐は1999年にデビューを果たす。2000年代以降も多くのグループを生み出した。

話を2020年に戻そう。
ジャニーズが持つ音の中には、その血筋の中には、ソウルミュージックという側面が必然と表れてくる。事実、90年代以降は「J-pop」という言葉が生まれたと同時に、彼らの音楽の中には、ポップスやヒップホップ、ロック、EDMなど様々なジャンルが入り混じった音楽が多くなっていく。そして、それらがヒットチャートを席捲していく。彼らの持ちうるグルーヴ感の中には、ソウルミュージックが持つリズム感やノリというものが伝統的に、感覚的に引き継がれている。継ぎ足しで醸造された醤油のようなもので、その音楽に秘められているものが、リズムや音には表れてくるわけだ。

また、ジャニーズの根幹にはアメリカ志向のスタンスがあると言われている。それは、ダンスを始めた起源がアメリカ映画だったこと、アメリカの音楽にインスピレーションを得て、その方向へと舵を切っていったこと、そして何よりもジャニーさんの中にあるルーツが、アイドルをその方向へと向かわせたのだった。

全体的なアメリカ的ポップスの志向性

アルバムの1曲目を飾る「SHOW TIME」から、ギターのカッティングから始まる音、R&Bを彷彿させるグルーヴ感は、まさにミュージカルの幕が上がったよう。全体に漂う曲のタイトルのように派手な、華やかな音がアルバムの幕を開かせる。

続く「Turning Up」は、昨年リリースの配信シングルだ。この曲で、サブスク配信やSNS解禁など、新たな1歩を踏み出した印象を覚えた人は多いことだろう。ゴスペル風のアレンジが施された「I Can't Wait For Christmas」、ブルーノマーズが手掛けたミディアムバラード「Whenever You Call」など、序盤から彼らのポップスは一気に加速していく。

アルバムの前半戦は、全体のグルーヴ感が際立った曲が多いように思える。ここには、楽曲の制作陣の影響が強いかと思える。続く「いつか秒針のあう頃」と「IN THE SUMMER」の作曲には、レディー・ガガやONE DIRECTIONなどに楽曲を提供したスウェーデン出身の作曲家・ラミ・ヤコブが製作に関わっている。全体的な音は、洋楽志向であると言えるだろう。そこには、SNS解禁でより意識することが強かった海外展開があるはずだ。

近年のポップスは、洋楽的なエッセンスを持たせるものが多くなった。2020年のヒット曲を例に出せば、BTS「Dynamite」はその最たる例だろう。K-popというひとつ完成したジャンルであっても、海外に目を向けるとなるとそこの音を施して勝負をするのだ。日本だったら、ONE OK ROCK「Stand Out Fit In」がわかりやすいかもしれない。ロックというジャンルでも、打ち込みの要素を含ませポップさを提示する。ある種、こういう音は今の洋楽市場における最先端であり、必須条件なのかもしれない。

ここで、再び嵐の音楽にフォーカスを戻していくのだが、今作を聴いていると、今までと比べると日本的なポップスの匂いが序盤は少ないことを意識させられる。アルバム『Are You Happy?』や『「untitled」』のように、序盤に耳なじみのあるシングルを配置することはあれど、その音には今までにないようなリズム感や敢えて均一化したボーカルエフェクトが施されていることを、このアルバムでは感じることだろう。

J-popという枠組みから、洋楽的アプローチを試みる。ここに、嵐が今作で挑んだ作風の面がある。その理由には、確かに序盤で話した世界進出やSNS解禁を意識した面があるのは事実だと思えるが、どこか彼らの持つジャニーズの歴史に続いた物語を秘めているように思えてままならない。

そもそも、洋楽市場と言われる舞台の軸は、アメリカにある。多くのヒット曲が並ぶランキング「Billboard Hot 100」で上位に食い込んだ音楽は、ゴールデングローブ賞やグラミー賞に続くアメリカンドリームが秘められている。そんなアメリカは、様々な音楽の発信点だった。かつて流行したジャズも、フォークも、ロックも、ソウルも、そこから世界に拡がり、それぞれの地で発展していった。

今年から配信されているNetflexの番組『ARASHI’s Diary -Voyage-』で、メンバーが「予定だったらアメリカ公演を行うはずだった」と話したそうだ。このアメリカ公演というものには、彼らの思い、そして今は亡きジャニーさんが抱いていたアメリカ進出の夢のためということがあった。恐らく、この音を引っ提げ、現地で勝負するというのが、元々あった打算だったのだろう。

この洋楽的なアプローチ、アメリカ志向のサウンドには、現代的な最新の側面と、地続きに進んでいった伝統的な物語の2つを感じ取ることができる。それを踏まえたうえで、感じたものが、聴いてて感じた「嵐はどの方向を見ているのだろう?」というものだった。

相反的なJ-pop性の提示

シングルとしてリリースされた「カイト」と「BRAVE」もこのアルバムを聴くうえで欠かせないピースとなっている。もし、この2曲が入ってないと、このアルバムの印象は全く違うものになっていたのではないかと考える。というのも、この2曲が中盤に入ることで、アルバムの方向性や意味合いが変わるような印象を覚えるからだ。

NHKの東京オリンピックに向けた2020テーマソングとして、米津玄師が手掛けた「カイト」と、2019年のラグビーW杯のテーマソングとして話題となった「BRAVE」は、音のアプローチを切り取れば、いかにもJ-pop的と言って過言ではない。オーケストラをフィーチャーした「カイト」と、三味線や琴の音を取り入れたロックチューン「BRAVE」は、J-popの持つ力強さやメロディアスな側面を提示している。

ここで、どうして「この2曲がないとアルバムの印象が変わる」と話したのか、その理由を紐解いていきたいと思う。その理由は、主に2つある。1つ目には、音像の問題がある。全体的に、洋楽志向の音が続く中で、中盤にあるこの2曲はいかにもJ-pop的と言えるポップチューンに仕立てられている。洋楽的な側面だけでなく、敢えて今までに持ち続けたJ-pop的な音を提示することで、音の振り幅は圧倒的に広いものになっていく。

2つ目に、その曲の中身にある。全体の曲を聴いていくと、パーティーチューンと言えるような陽気な曲やメッセージ性を帯びた曲が割合として多いような印象を覚えた。序盤にある「SHOW TIME」や「Turning Up」、後半戦に来る「Party Starters」や「Do you...?」のような陽気なパーティーチューン、「Whenever You Call」、アルバム最後の「The Music Never Ends」のようなメッセージ性や思いを強く入れた曲と、大まかな比重を見ていくと、楽しむ系といえるものやしっとり系と言えるようなものがはっきりした1枚になっているイメージを覚える。

その中に配置される中盤の2曲は、言えば楽しむ系やしっとり系に配置できるけど、応援ソング的な側面がある曲じゃないかと思えてくる。陽気さやメッセージ性のある曲は、確かに嵐も持つ音楽の良さでもあるが、応援ソングも嵐の曲での真骨頂と言えるはずだ。「サクラ咲ケ」や「GUTS!!」にあるような応援ソングも、嵐の醍醐味なはずだ。それを切り取っての、何が『This is 嵐』という提示なのだろう、と思えるわけだ。

よくよく考えたら、洋楽的な進化だけを提示した"嵐"というものと、今までの音と新しい音の2つを提示して、自らの様々な良さを提示した"嵐"というものでは、全然印象は変わってくる気がする。『This is 嵐』というタイトルには、きっと「どんな音になっても嵐は嵐なのだ」という確固たるものがあるように思える。

5人が”嵐”である理由

アルバムは終盤戦へと駆け抜けていく。
掛け声が印象的な「Party Starters」は、きっとライブ映えする1曲に違いない。ファンク調のノリや全曲から続くパーティー的なノリが続く「Do you...?」は振付のカッコよさが光る1曲だ。そして、アルバムは最後の1曲「The Music Never Ends」へ突入する。

活動休止前最後のアルバム、そんな作品の最後の曲。つまり、一旦のラストソングという立ち位置を担ったこの曲は、静かに始まり、気持ちの高ぶりと共にその歌と言葉は確かなものとなっていく。

Sing our love かけがえない 触れては温かくて
あなたの胸の奥で今日も 歌い続ける
(嵐「The Music Never Ends」より)

パーティーチューン、応援ソング、バラードと続いて、最後に届けたのは、ファンへの感謝そのものだった。そして、これからもそばで歌い続けていくという存在証明である。この曲は、最後はこんな歌詞で締めくくられる。

僕らを繋ぐ真心(こ)の場所で 歌い続ける
そして旅立とう 眩さ包む Ray of light
We must go on 次の景色へ
The music never ends

The music never ends
(嵐「The Music Never Ends」より)

思えば、1曲目の「SHOW TIME」の歌詞には、こんなフレーズがあった。

誰にも邪魔されたくないから
焦らさないで 最高潮で抜け出そう
今夜はもう キミだけに キミだけとSHOW TIME
(嵐「SHOW TIME」より)

全ては、キミ=ファンとともにある音楽の旅、まさにSHOWだった。嵐は常にファンとともにあった。そんな21年だった。それは、これからもそう。そんな思いを提示した。ファンとともにこれからも在り続ける。一旦の不在が訪れるけど、嵐の音楽はこれからもファンとともに居続ける。その思いが、この曲には、いやこのアルバム全体に包まれている。

先ほどの章で「何をもって『This is 嵐』なのか」ということについて触れたのだが、全体を聴いていて間違いなく言えることがひとつあって。先ほどの音に関する話は私の考察に過ぎないが、ここでいう「ファンとともに在り続ける音楽」って側面は、間違いなく『This is 嵐』というタイトルには込められている。このスタンスは、アルバム全体に散りばめられていた。

ファンとともにあったから、紡がれた21年間。その21年は長いのか短いのか、それは人によって様々かもしれないが、間違いなく言えることは、その21年を超えて新たな時間がこれからやってくる。そんな時間の中で、メンバー5人が"嵐"である理由や思いを詰め込んだものが、この1枚だったわけだ。

5人が"嵐"である理由。それは、ファンが傍に居てくれたから。だから、歌を、ライブを、エンターテイメントを届け続けてきた。そんな思いとともに、このアルバムのターンテーブルは静かに止まった。

最後に...

このアルバムのレコメンドを始めたときに、「普段、嵐の音楽・アルバムを聴かない人にこそ、このアルバムは手に取って聴いた方がいい」と思ったというものを私は語った。最後の締め括り方は、「ファンの人の傍にあった」というものであり、なんかそうでない人が阻害されるような印象を持つ人もいるかもしれないが、聴いていて感じたのはそういうものではなかった。

ジャニーズのアイドルの中でも、嵐の曲って、ここ数年は挑戦に満ち溢れたサウンドが多いような印象を覚えていた。アルバム『LOVE』や『THE DIGITALIAN』以降、ポップスという概念を問い直し、自らのオリジナリティや表現の幅を追及する音楽が、その年のアルバムごとに刻み込まれている。言えば、嵐のアルバムってその時代ごとの音の模索の過程であったわけだ。ポップスの最先端にいる彼等だからこそできたアプローチもあったはずだし、その追及の先にある音楽で、嵐というグループの凄さというものがあるといえるわけだ。

この『This is 嵐』は、そんな嵐が続けてきたポップスへの挑戦の最新型であり、最先端である。2020年という時代の全ポップスシーンに刻み込む1枚ということ。そこに、このアルバムの面白さを、私は最初感じたのでした。

まぁ、、、今回もなかなかな量書きましたね。一晩で9,600文字。ここまでよく読んでくださいました。年の瀬の貴重な時間を、ここに費やしていただきありがとうございました!!

これを投稿した8時間後、配信ライブ「This is 嵐 LIVE 2020.12.31」が幕を開けます。休止前ラストライブとなるこの公演で、5人は一体何を語るのか?そして、どんなライブを魅せてくれるのか?全ては、20時の幕開けまでのお楽しみ、ってこと。

このライブのチケットは、どうやら本日19:30まで買えるそう。この瞬間をぜひ、生で味わう年の瀬も、間違いなく面白いと思います!

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

もし読んでいて「面白いな」とか思ってもらえたら、TwitterやらInstagramやらなんかで記事の拡散なんかしてくれたら嬉しいな、なんて思います。よかったら、noteのいいね&フォローよろしくお願いします!

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エピローグ

なんか、まだ続くっぽいなぁ... と思ってスクロールしてくださった方、ここまでお付き合いさせてもらって申し訳ありません。このレコメンドは、先ほどの「最後に...」というチャプターで完結していますので、ここで記載する内容はアルバムのレコメンドとは関係ない話になります。

なので、ここでクローズしてもらって十分です。

どうもありがとうございました!!



ただ、ここまでして何か書こうとしてのは、ひとつ理由があります。それは、「『This is 嵐』をまとめてみる話」という章に書いた「核心的な理由」というものにあります。それを、なるべく本編と切り離しておきたかったという思いがあるからです。

というのも、レコメンドはなるべく私が思った感覚を、アルバムに対して感じた思いに従って、レコメンドをまとめています。なので、なるべく個人的なエピソードや買ってはなるべく避けてまとめるように心がけています。故に、作品ファースト。その1枚の面白さに則って、このブログは構成されるべきと考えています。

ただ、序盤に少し触れた「このブログを書く核心的な理由」というのは、どうしてもそんな個人的なエピソードに、音楽とは関係ない私的な話をしてしまうことになります。なるべく、この話は書かない方が、本当は正しいはずです。

しかし、この思いによってここまで原稿を進めてきたように思います。そもそも、私の音楽的な嗜好をご存じの方は、このレコメンド自体に違和感を覚える人もいるような気がします。「普段アイドル系をほとんど聴かないShibaが、なんで嵐をまとめたのだろう?」と。

私的なエピソードですが、その「核心的な理由」の種明かしをさせてください。ただ、、、ファンの人がこれを読むとなんか意見が、レコメンドが意図せぬ方向に流れてしまいそうな予感がします。だから、こういう胸の内を開かずのは難しいのですが...

でも、ここまで読んで、これからスクロールしようと思ったってことは、多分それを把握して読まれるということでしょう。感謝いたします。

じゃあ、ここからは「音楽リスナ―」としての私の話ではなく、「一個人」としての私の話にお付き合いください。

嵐を聴くようになった理由

そもそも、私がここまでしっかりと嵐の音楽を聴くようになったのには、ひとつのエピソードがあります。それは、現在大学4年の私にとって、大学生活において最大の影響を受けたとある人が関係してきます。その女性を、ここではAさんと仮定しましょう。

私は、地元から遠く離れた街で、様々なことを学ぶようになりました。市は離れているものの、生まれたときからそこに住んでいるAさんには、大変お世話になっていました。

元々、Aさんとは、趣味が高じて繋がった人でした。別のアーティストで共通の好きな人がいて、その人のファンという縁が元々ありました。そして、同じ県に住んでいるということで、より仲良くなりました。

そのAさんが、私に嵐の音楽を聴くきっかけを与えてくれました。10年くらい嵐が好きだと言っていたその人は、相葉さんが好きで(この界隈では自担と呼ぶそう)、FCにも入っていて、アルバムもしっかりと予約して買うほどの、まさに"ファン"といえる人でした。

対して私は、当時そこまで嵐が好きだったかというと、そういうわけではありませんでした。どちらかと言えば、バラエティでの嵐は好きだけど、音楽的な嵐は大して... みたいな感覚。Mステとかテレビ観ても、なんか違うって感覚がありました。

そんな中で、Aさんに会って、色んな話をするわけです。次第に、少しずつ興味を持っていくわけでした。そんな会話をする中で、一緒に遊ぶ機会も増えていきました。そうしていく中で、私はその人のことを意識するようになっていました。私にとっての、最大の恋とやらでした。

結果、私はAさんと付き合うことになりました。

互いに色んなことを知ったような気がします。他の音楽のことや、互いの価値観とかその他諸々。確かに、私はAさんに恋していました。

そんな中で、2019年7月、嵐はベストアルバム『5×20 All the BEST!! 1999-2019』をリリースしました。彼女は、3種まとめて予約していました。そんな私だが、「この際しっかりと聴いてみるか」と思い、ライブDVD付きの初回盤を予約し、買うことにしました。それを機に、私は嵐をしっかりと聴くようになりました。

元々、テレビとかでちらほらと聴いていた音楽でしたが、しっかりとCDで聴くのは、相当久々なことでした。WALKMANを持つ前に、家のMDにダビングして再生したりみたいな。そんな時代に聴いた以来の経験でした(多分、10周年のベスト盤がそれだった気がする)。

大きな転機

なんか、こういう書き出し方をしたので、展開が見えている気がします。結論から話せば、私は今年Aさんとの関係を終わらせることにしました。

「別れた」というんじゃなくて「終わらせた」と書くのには、少し訳があります。それは、私の中で収集がつかなくなってしまったからです。

当時、私は色々とストレスを抱えていました。就活のことや自分自身のこと、家庭のこととか様々な苦境に立たされていた中で、相談相手が一人もいませんでした。もしこの言葉を読んだとき、「誰もいないなんておかしくない?」みたいに言う人は、多分健全かもしれません。友達や付き合ってる人に相談するのも手じゃないかと。確かにそれをしたのだが、いい方向には向かう兆しは一切見えませんでした。

当時、会話した中で覚えているのは、「こういうトラブルで多大に共倒れするのは違うと思うから」という理由で、あまり相談に深入りしなかったというAさんの思いです。今となれば、その感覚はわかる気がします。ただ、当時はそれがとても突き放した態度に見えて、私は苦しかったです。

一方のAさんも、きつい状況にあることは十分に分かっていました。大学を1年留年してしまって、必要な単位を取ることに必死だったこと、国家試験に向けて対策に臨んでいたこと、ウイルス対策に関する大学の指示によってバイトが出来なくて金銭的にきつかったこととか、あっちのストレスは私もわかっていたつもりでした。

そんな中での、私とAさんの状況。構う暇もなく、互いに大変だった気がします。どうすれば、いいのかと。

ここで「なんでここからレコメンドへ?」という話に移ります。それは、私がAさんと交わした最後の会話が、アラフェス開催のニュースだったからです。私は、それで喜んでいるAさんを見て嬉しかった。そんな中、アルバムの情報も同時に出ていて、私は「俺も聞きたいな、買おうかな」という言葉を言っていました。それが、全ての火種でした。

Aさんは、好きなものに対しては全力で好きなのだが、どこかで「新規が嫌だ」みたいな思いがあったように思えます。それと、その一言が「最後だから買うんでしょ?」というニュアンスに捉えられ、嫌がられていたように思います。そもそも、それを言ったのが、ベスト盤を買った程度の人ですから、Aさんがそう思うのも、無理もない気がします。

今思えば、私の言い方も悪かったのかなと思います。アルバム聴きたいとまでで留めておけばよかったものの、少し言い過ぎたのかなと思うのです。私が曲やアルバムに興味があるって点だけを強調しすぎたことが、グループ全体が好きというAさんにとっては、嫌悪感の始まりだったんだと思います。

その火種が、今までの些細なすれ違いや喧嘩の種にまで燃え移ってしまいました。一回は、距離を置いておこうと思ったのですが、それでも解決しないような気がして、面と向かって話し合っておくべきだと思いました。ただ、それを提案したときには、面と向かう気力も互いにないほどの満身創痍でした。その結果、私は、対処の仕方がわからなくなってしまいました。

その結果、自分は「終わりにしないか」と言ってしまった。2年間の関係、、友達からなら3年半の縁はそこで終焉してしまいました。

しばらくは、その傷が癒えなくて苦しかったです。その時は、終活も他のトラブルも一旦は片付いていたとはいえ、その苦しみの連鎖を自分で広げてしまったような気がして、2か月くらい鬱状態が続いていました。今、これを書いているときは、もう脱して元気なんですけども。

書く動機

この話が、なんでアルバムのレコメンドに繋がるかというと、終わりの原因の火種にこのアルバムの情報があったからです。ここから苦しんでしまったものを、どう見つめればいいのか、わからなくなっていました。

本当だったら、聴いて「面白かった!」ってことを一緒に分かち合えていたはずだけど、それが叶わなくなった。というか、この言葉にはまだ相手に未練がありように思えてしまいますが、完全に吹っ切れています。歩いた道を引き返す気は、今のところ無いくらいに。

で、なんで書こうと思ったのか?

それは、自分がその音楽にワクワクしているということを確信したかったからです。終わらせたときには、自分はその音楽にワクワクしていました。その思いに素直になっていた。楽しかった。どこで掛け違えたか、そのボタンは燃え広がってしまったけど、見ていたFUNに間違いはなかったように思える。それだけは、断言して言えることで。

相手は、新規を嫌った。それを見ていると、私はなんか違和感を覚えてしまうのです。それは、その音楽に出会った人は、誰もが”新規”だ。初めましてが縁を結んで好きだとか"ファン"を実らせていくのではないか?それを考えたら、初めましてを嫌うことは、過去の自らを否定するような気がして、疑問符が止まらないのだ。

事実、私はこのレコメンドを書いているが、それは決して趣味のために書いているだけでなく、それを通してその音楽の面白さを伝染させたいという思いがあるからだ。書いていく中で、誰かにそれを伝播させたり繋がることで、音楽がより音楽として広く強くなっていきます。それが、面白い。そう思っているのです。

少なくとも、このレコメンドが、そこまで詳しくない人や気になってたけどどうかなと思ってた人に、一歩踏み出させるものになったのなら、これ以上を望む気はありません。未練とか嫌気があるなら、絶対に書くことはないと思うし、むしろ私はそういう経緯であれど、その音楽に出会えたことを素晴らしいことと思うからです。

少なくとも、こんなことを書いてる時点で、私はその音楽に魅せられている。きっと、"ファン"だったりするのでしょうか?

なんか、、、見苦しい文章が続いてしまいましたが、要約すると、「自分が感じた”面白い”に素直になりたかった」というのが、核心的な理由なのです。そう至った要因が、嵐好きな大切な人との関係性だった。
それだけの話です。

きっと、もしAさんがこれを読んでる... ことはない気がします。あの人、長文嫌いだったから。だから、届かないところでその人も好きだった、今私にある好きを書こうと思ったのです。

これで、なんか胸の奥にあるつっかえが取れた気がします。2020年最後に、どうしてもすっきりさせたかった。それを紐解くには、この1枚のワクワクに素直になりたかった。

これを聴くか悩んでいた時、ある友達が「興味があるなら聴けばいいじゃん?」と言ってくれた。些細な一言だったけど、私はその一言に救われた。その日とも、なかなかの嵐ファンなんですが。

ひとつの好きが、ひとつの終わりを告げ、
ひとつの好きが、また新たな始まりを告げた。

そんな気がします。
不思議なものです。
それが、私の今の全てなのです。

めっちゃ長くなってしまいました。
なんか、エピローグだけで10時間かけてしまったような疲労感でいっぱいです。本編はスラスラとまとめられたのに。なんか、出し切ったな。これで、2020年は悔いなく終えれるのかな。わかんないや。

でも、ここまで私の散文に付き合ってくれた方には感謝しかありません。ありがとうございました!!!!!!

どうか、2021年、皆さんにいいことがありますように。そのことを、強く願わせていただきます。どうか、身体は健康で...

長いこと付き合わせてすみませんでした!!
約15,000文字... すごいですね 笑

こんなところで。
2020年もありがとうございました!
2021年も、どうかよろしくお願いします!

最大の感謝を込めて。

2020.12.31 Y(uppy). Shiba

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改めてですが、最後まで私のブログを読んでいただき、ありがとうございました!

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