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人と音楽を再び結んだ日 〜3バンド競演「結びの夢番地」@ 広島グリーンアリーナ 完全レポ〜

2020年12月12日 22:30
広島市内のホテルより。

夕飯を済まして、携帯からこの文字を打っている。頭の中には1時間ほど前のあの景色が蘇る。それをもう一回、自分の手で結び直そうとしている。まるで、何かでほつれた靴の紐を結び直すように…

多分、投稿しているのは翌日の朝か昼頃でしょう。なるべく、この日の熱気を忘れぬうちに真空パックしたい。というか、この瞬間を日本のライブシーンのひとつの記録として残したい。
そんな思いが、今私を動かしている。

2020年12月12日(土)
広島グリーンアリーナでのライブの時計が、
再び動き出した。

結びの夢番地

中国・四国を中心に、数多くのライブを企画・運営を行うプロモーター・夢番地。近年だったら、山口県で開催されているロックフェス「WILD BUNCH FEST.」がわかりやすい例だろう。このフェスも、夢番地が主催・運営に携わっている。

彼らが扱うライブが多く行われる最大の都市こそ、広島だ。中国地方最大の都市は、交通網にも恵まれ、年間数多くの公演が行われている。そんな広島でも、最大規模の会場のひとつとして有名な場所こそ、今回のライブの会場・広島グリーンアリーナだ。

2020年、今年もたくさんのライブがそこで開催される予定だった。しかし、3月以降のほとんどの公演は、昨今のウイルス感染拡大とイベント開催制限により、延期・中止となってしまった。

このグリアリも、2月23日に行われた米津玄師のライブ以降、ライブは一度も行われることはなかった。全国的、いや世界中で起きている音楽文化・ライブカルチャーの火が、消えかかっていた。

そんな中、この日、約10ヶ月ぶりにこのグリアリでライブが開催された。その名も、「結びの夢番地」。年末の広島で、3バンドが集まって、大規模なライブイベントが開催されることとなった。

このライブのポスターには、
こんな言葉が記されていた。

人と人、人と音楽、
音楽とコンサート会場を結び直す。

たくさんのアーティストと会場を結び、多くのライブを行ってきた夢番地だからこそ、プロモーターという立場だからこそ、今一度ライブの火をもう一度灯しに行く。

そして、観客とアーティストを、観客と音楽を、観客とコンサート会場を再び繋ぎ直す。
そんな思いが、この言葉には記されていた。

そのライブに参加したバンドも、そんな思いを抱えて、ライブに挑んでいた。

THE ORAL CIGARETTES
sumika
SUPER BEAVER

2020年のロックシーンを担う彼らは、日本屈指のライブバンドばかりだ。ライブに拘る彼らだからこそ、生まれた熱いライブ。今回は、各バンドごと、しっかりとまとめていきたいと思います!!

THE ORAL CIGARETTES

開演 18:00  終演 18:46

この日のライブのトップバッターは、THE ORAL CIGARETTES。奈良県発の4人組バンドだ。

近年では、ロックバンドのメインステージを任されるほど、その人気は急上昇中。
今年リリースしたアルバム『SUCK MY WORLD』はランキング1位を記録するなど、勢いは止まることを知らない。

今回、私はこのライブに出る3バンドの中で、唯一ライブを観たことないバンドが、オーラルだった。今回のライブを誘ってくださった方に、彼らのライブの魅力を聞いてみたら、「とにかく盛り上がる、ブチ上がり方が半端じゃない」と話していた。

有名どころや最近の曲をチラホラと予習した程度の私だった。そして、定刻18時、ライブの幕が切って落とされた。

1曲目は今年発売のアルバムに収録されたナンバー『Dream In Drive』。ギターのソリッドな音と、フロントマン・山中拓也(Vo/Gt)の艶やかな歌声が、序盤から炸裂する1曲だ。

続く『リコリス』は、ライブでは滅多にやらない曲だそうで、SNSや周りの観客のリアクションをみると、そこに驚く人が多かった感じ。お初だったけど、カッコいい曲のひとつに残ってるかな。

序盤のMCで「今日のライブ、久々だよって人どれだけいる?」という質問に対し、多くの手が上がったグリアリの客席。
そんな反応に対して、「じゃあ、ライブの感覚忘れてない?」と山中が返すと、そこから怒涛のライブチューンのオンパレードが始まった。

ジャンプで客席が揺れた『容姿端麗な嘘』や、イントロのエロさ漂う鈴木重伸(Gt.)のギターリフが印象的な『カンタンナコト』と、この流れだけで客席を一気に温め、徐々にライブ特有の熱気でアリーナ全体が包まれ始める。

最新アルバムから『Naked』、ライブのキラーチューン『狂乱 Hey Kids!!』、「この瞬間はライブハウスになりましょう!」と叫びドロップした『BLACK MEMORY』で、後半戦が一気に雪崩れ込んでくる。この瞬間、アリーナの空気はオーラル一色に包まれ、アリーナは全席指定ながらもライブハウスさながらの盛り上がりを見せた。

この日のMCでは、3月に広島でのライブを予定していたこと、その日がボーカル山中拓也の誕生日だったこと、その日が楽しみだったがなくなってしまった悔しさが話された。そんな広島に対する思い出として、山中は最後にこんな話をした。

「6年前かな、7年前かな。広島とは元カノとイルミネーションを見にいきました。今は元カノは結婚してるんだけどね(笑) でも、帰りに事故に遭ってそれは最悪な思い出になってしまいました。広島は悪くないのに。でも、イルミネーションを見て、ほっこりとした気持ちになって。それは、7年間で広島のみんなと積み上げた思い出がこうしたのだと思ってます」

そして、最後に観客に対して、山中はこのように語りかけた。

「みんな楽に生きれたらと思います。気持ちまでマイナスにならないように。コロナ禍で広島は(感染者が)増えてるけど、それは頭で考えなきゃ行けないことですけど、みんなは楽に生活して欲しいです。仕事場で嫌なことがあって、学校で友達と喧嘩したりして、辛いことがあるかもしれないけど、楽に生きてください」

この日、どのバンドもMCで触れていた話題として、ライブに行ってもいいのかという葛藤と、そんな中で来てくれたことに対する自身の考えだった。音楽がもたらすことと、それを今享受していいのかというもがく感情。それに対する、オーラルの意見は、そっと願うものであった。

ラストナンバーは『Slowly but surely I go on』。オーラル流のバラードでしっとりと、尚且つ艶っぽく締め括り、4人はステージから降りていった。

この日のライブを観ていると、今振り返って思うのは、バンドの順番や立ち位置ってのが、ものすごく明確であったということだ。オーラルならオーラルにしかできないこと、各々のバンドだから成せることをその瞬間に爆破させる。そんなことが、続けて見てると感じるのでした。

オーラルだったら、ライブの熱気を高めるという、起爆剤的な役割があったのだと思う。それは、このライブを誘ってくれた方が話してたように、「一気に盛り上がる」という、彼らのライブの特徴をしっかり捉えているからこその、配置だったのだろうと思う。

序盤に彼らがそこで鳴ったということは、夢番地なりの「音楽と人を結ぶ」というやり方だったのかもしれないし、オーラルなりの「音楽と人を結ぶ」ということだったのかもしれない。

それは、ライブという高揚感という名の糸だ。
この日、半数以上の観客が久々のライブだと反応していた。ライブという名のワクワク、それをもう一度、彼らなりのやり方で結ぼうとしていたのだ。

・セットリスト

01, Dream In Drive
02, リコリス
03, 容姿端麗な嘘
04, カンタンナコト
05, Naked
06, 狂乱 Hey Kids!!
07, BLACK MEMORY
08, Slowly but surely I go on

((写真はTHE ORAL CIGARETTES
 公式Twitter @oral_official より))

sumika

開演 19:10  終演 19:54

「今日1番の番狂せのハイライトを起こしに来ました。2番手、sumikaです!」

そう片岡健太(Vo/Gt)が話し、sumikaのライブがスタートした。1曲目の『ふっかつのじゅもん』から、観客の熱気は高まっていた。片岡と黒田隼之介(Gt/Cho)のギターソロの掛け合いは、いつもの数倍熱を帯びていたように感じた。

ライブ序盤の定番となっている『フィクション』は、ピアノの音が印象的なポップナンバー。sumikaの持つライブの多幸感がここからアリーナ中に広がり始める。

続く最初のMCで、片岡は今日のライブに対する意気込みをこのように続けていた。

「THE ORAL CIGARETTESとは、実は今回が初の対バンで。で、SUPER BEAVERとは12,3年来の仲で。対バンってバチバチにやっつけようと思う気でやろうと思ってたんですけど、ビーバーのリハを観て、オーラルの演奏観て思った。戦うのはやめようと。今日は、バンド関係なく、男女関係なく、年齢関係なく、夢番地関係なく、音楽を楽しんでいきましょう、と」

彼らが2番手にきた理由が、何となく見えた気がした。オーラルが起爆剤的な存在だとするのなら、sumikaはライブのワクワク感を増幅させる立場にいるということだ。


思えば、バンド編成としてキーボードが居るバンドは、この日はsumikaただ1組だけだ。バンド全体が織りなすハッピーな空気感をここで注入することで、全体がとても綺麗に残るような気がしたのだった。

「今日、ここまで怖い思いをしてきたかもしれません。だから、言わせてください。音楽へ、おかえりなさい!!」と、片岡が叫び、荒井智之(Dr)のドラムで始まったのは、7月にリリースされた最新ナンバー『絶叫セレナーデ』。今年、もしかしたらこの曲が全国のフェスで鳴り響き、サビのコール&レスポンスが全体を包んでたのかもしれない。観客の心の中での絶叫が、この曲では響いていた。

ギターのストロークから始まる『ファンファーレ』に続いて披露されたのは、ライブ初演奏となる3月リリースのEP盤収録の『ライラ』。
オレンジとグリーンの照明の中、片岡と小川貴之(Key/Cho)の掛け合いやタイトなビートが鳴るナンバー。シリアスで力強い覚悟を綴った1曲が、広島の地で響き渡った。

というか、この曲の手拍子が変拍子で鳴り響いているんだよね。もし、これから先ライブで聴く機会があれば、その予習はきっと必須かもしれないですね!

続く小川のキーボードソロから始まったのは、爽やかな色気が溢れる『Summer Vacation』だ。
今年8月に開催された配信ライブ「Little Crown 2020」で披露されたアレンジにあるように、序盤は片岡のボーカルとバンド全体のコーラスがアリーナ中に響き渡る。その静寂の中に響き渡る声は、どこか切なく少しだけ夏の涼しさを帯びていた。

昨年話題となったドラマの主題歌に起用された『願い』は、これまで流れていた夏のような空気から、一瞬で冬のロマンティックな切なさが広がり始めた。彼らの新たなウィンターアンセムは、温まったテンションを一旦落ち着かせてくれる。アップテンポな曲からバラードまでの振り幅の広さこそ、sumikaのライブの真骨頂。彼らのポップスで、広島は包み込まれていた。

最後のMCは肝心なところで噛んでしまったものの(笑)、「今日が最後のライブになっても良いくらいに、最後になっても後悔しないように。あなたに届けます」と宣言し、sumikaのライブ定番曲『Lovers』。

この日のハイライトはこの曲で間違いなかったはずだ。というのも、普段はアコースティックギターを鳴らす片岡が、この日はイントロが終わるとギターを置いてハンドマイクでステージ中を歩いて歌を届けていたのだ。恐らく、ギターのトラブルがあってこうなったのか、はたまた高まったからハンドマイクになったのか。私はその景色を眼に刻み込むことでいっぱいだったから、このくらいの言葉でしか表せないのだが、その曲がなった時点で広島はsumikaの持つ幸せ感に包まれていた。まさに、音楽の持つ幸せの独壇場。ライブの持つワクワク感とキラキラ感でこの時間は包まれていたのだった。

この日のsumikaのパフォーマンスは、8曲ながらもsumikaの持つポップス、ロック、そして幸せ感満載のセットリストだった。このライブで、sumikaが結び直したのは、音楽が持つ幸せ色をした糸だったのだ。

「この後は楽しみなビーバーが来ます。一緒に観ます。楽しみましょう!!」と片岡が観客に向けて話し、sumikaはステージを後にした。

・セットリスト

01, ふっかつのじゅもん
02, フィクション
03, 絶叫セレナーデ
04, ファンファーレ
05, ライラ
06, Summer Vacation
07, 願い
08, Lovers

((写真はsumika 公式Instagram
 @sumika_inc より))

SUPER BEAVER

開演 20:20  終演 21:21

この日最後のアクトは、SUPER BEAVER。
年間100公演以上のライブをこなす彼らは2020年、結成15周年を迎え、9年ぶりのメジャー再契約を果たした。

熱い演奏とストレートな歌詞・フロントマン渋谷龍太(Vo)のMCなど、彼らのそのパフォーマンスは、いまのロックシーンで最も熱いバンドとして支持されている。

実は、この日のライブの中で大きく楽しみにしていたバンドがSUPER BEAVERだった。
元々、sumikaが好きでここにきていたんだけど、その演奏やパフォーマンスが気になっていたのは、実はビーバーの方だった。

というのも、昨年彼らを初めて観た名古屋の「MERRY ROCK PARADE 2019」でのライブで、私は大きな衝撃を受けた。ステージからだけじゃなくて、観客席含む360度からの音に潰されたのだ。バンドの演奏に、観客の熱が応えてひとつの空気感を作る。ここまで、その言葉が相応しいバンドを観たことがなかった。故に、この日の目当て以上に印象深いアクトが彼らだったのだ。それ以来のビーバー。メジャー再契約などの話題の中、今最も気になるライブがここにはあった。

「Represent Japanese Pop Music 16年目の新人バンド、SUPER BEAVERです。どうぞよろしくお願いします」

柳沢亮太(Gt.)のギターとともに、渋谷が呟いたその言葉で始まったのは、『27』。生きることを肯定する強い言葉が、序盤から響き渡った。

「この瞬間が僕らのハイライト」と続くのは、メジャー再契約1発目のシングル曲『ハイライト』。続く『突破口』も、この時代に生きることの思いや前に進む覚悟を綴ったナンバーだった。

この日、SUPER BEAVERが結んでいたものは、音楽が持つ生きる為の力強さの糸だった。音楽は聴き終えた時に、一歩を踏み出せるような強さを持っている。彼らの持つ言葉・演奏は、その糸で紡がれたロックという名のマントだったわけだ。

ライブの定番曲のひとつ『青い春』に続いて、渋谷はバンドの今に対して、このような話をした。

「このバンド4人で成し遂げたことはひとつもありません。あなたと一緒に積み上げてきたこと、それでできたことが数多くあったこの1年でした」

こう話して、彼のボーカルから始まった曲は「ひとりで生きていたならば」。誰かと生きていく思いや意志を綴ったこの曲こそ、SUPER BEAVERというバンドのスタンスそのものだった。誰かと生きていく、そうしてライブを作ってきた彼らなりの思いが込められた6分弱のバラードナンバーだった。

「残り3曲です!声が出せないことは100%分かってます。でも、手拍子や手を挙げたりして下さい。私たちは、100%を超えて、120%の力で行きます。だから、あなたも120%で返してきて下さい」

観客の力強い手拍子と共に始まったのは、『美しい日』。演奏のボルテージが高まるにつれ、その熱気は何百パーセントを超えるほど高まり、アリーナはどんどん熱くなっていった。

序盤のコール&レスポンスが印象的な『閃光』は、静かな言葉と言葉の間に、心の中の叫び声と歌声が聴こえるような気がした。声が出せない分、その思いを動きや手拍子で返すライブは、この2020年のライブシーンそのものであった。

この日の最後のMCで、渋谷はこの日のライブのことをこのように触れていた。

「大変な状況だから、一概にここで音楽聴いていることが正しいことか間違っていることかなんてことは誰にも判断できないけどさ、でも、やっぱりなんかしてたくなるよね。仕方ないよね、このために生きてるって思ってる。久しぶりにあなたの前に立てて嬉しいです」

オーラルがライブに対する今を肯定し、sumikaがその不安を蹴るように受け止めたのなら、ビーバーはどう踏み出すかを提示してきた。
3バンド、それぞれ違う思いではあるが、この日のライブに対する思いを愚直にしっかりと受け止め、最後の1曲へ。

「今日は僕たちだけでやってみます。でも、2番は歌わないかもしれません。皆さんを信頼しています」と続くラストナンバーは、ライブのキラーチューン『予感』。跳ねたり手を振ったりで応える観客と、その熱気に応えるように熱い演奏を倒れるほどにぶつけるビーバーの4人は、まさにライブバンドそのものであった。

8曲を演奏し、ステージを後にした4人。
しかし、観客はアンコールを求め、手拍子をする。すると、再びステージの照明がつき、SUPER BEAVERの4人はステージに戻ってきた。

「あなたがこれから直面する辛い日々に良いことがありますように! 」
マイクを通さずに客席にそう力強く話したあと、3バンドを代表してアンコール『ありがとう』を届け、ライブは終了。それぞれが手を振りながら、ステージを後にした。

2020年12月12日 21:21
広島のライブシーンを再び結び直すライブは、今までに類を見ない熱気とともに、幕を下ろした。

・セットリスト

01, 27
02, ハイライト
03, 突破口
04, 青い春
05, ひとりで生きていたならば
06, 美しい日
07, 閃光
08, 予感

((アンコール))
09, ありがとう

((写真はSUPER BEAVER
 公式Twitter @super_beaver より))

全てのライブを観終えて…

ここから、少しだけ…
私の個人的な話をさせて下さい。

この日のライブ、個人的な思いを述べてもいいのなら、広島のライブシーンに対する意味だけでなく、私にとっても物凄く重要で、深い意味合いのあるライブだなと思っていました。

というのも、イベント制限前に最後にグリアリで行われた2月23日の米津玄師のライブに、私は参戦していました。

その日のライブは、あまりに素敵な思い出でした。グリアリ8回の中で最もいい席だったこと、セトリが神ってたこと、(プライベートだけど)好きな人と行けたこと。自分の人生の中で、1番最高の1日がそのライブでした。

しかし、ウイルス感染拡大によって、ライブが街から消えてしまった。この12月までの10ヶ月で、自分の周りは大きく変化してしまった。好きな人は去ってしまった。
思えば、あの恋は友達として行ったグリアリのライブで始まって、恋人として行ったグリアリのライブで終わってしまったのだった。

それを思うと、個人的には広島という場所に罪はないのに、そこが大きな十字架となって、私にのしかかってしまったのです。

このライブが開催が発表されたとき、「行きたい!」という思いがあったのと同時に、「フラッシュバックするのではないか…」という不安もありました。この時期の感染拡大の恐怖もあったけれど、頭の中にまず浮かんだのは、あの日の煌びやか過ぎる過去の景色でした。思い出すくらいなら、蓋をした方が綺麗かもしれない。そんな予感の中で、12月を迎えました。

しかし… なんか疼くものがある。
この日のライブを観なければ、なんか片付かない自分が居るような気がした。グリアリで始まり終わった時計を、もう一度動かすのはその場所しかないような。制限前最後のグリアリを観ていた人間として、この「結びの夢番地」を観なければ、意味がないような、変な使命感に駆られてしまったのです。

広島でのライブシーンを結び直すという意味のあったライブは、自分の中では止まってしまった過去と新たな現在を結び直すという、そんな思いとともに、私はこの日、広島にやってました。

約3時間半に及ぶライブを観終えて、思うことは、「私はここに来れてよかった」ということ。過去の古傷は、知らぬ間に癒えていたようだった。

(↑これは、終演後、あまりの楽しさでハイになってる私の模様です。お見苦しいもの失礼します 笑)



改めて、ライブのことに話を戻すのだが、この日は三者三様と言えるような、ライブに対する思いでステージに臨んでいたように思えた。

THE ORAL CIGARETTESなら、
ライブの熱気を再び結ぶために。

sumikaなら、
ライブの持つ幸せを再び結ぶために。

SUPER BEAVERなら、
ライブが与える力強さを再び結ぶために。

この日、広島に集まった3組がこのバンドでよかったなと、なんか思うのだ。彼らのような、屈指のライブバンドだからなせるメッセージが、そこにはあったように思えたから。

そして、忘れてはいけないのは、この日の最大の功労者は、主催をした夢番地であるということ。夢番地のスタッフたちの熱意が、バンドを動かしたし、観客が応えて、この日の唯一無二の熱気が誕生したのだった。序盤でオーラルが「スタッフたちに拍手を」と話したように、見えないところで活躍する人たちの持つ、ライブに対する熱量がこの日の最大のエンジンだったわけで。

ここから、日本のライブシーンがどのように転がるのか、そして再び満員で声出して楽しめる日が来るのか。私にはうまいことは言えないけれど、この日がその祝祭への大きな一歩だったことは間違いないだろう。

ライブと、観客と、音楽と、バンドと、会場と、スタッフと、そして地域と。全てが新たな糸で結ばれた一夜が、この「結びの夢番地」だった。

#Shiba的ライブレポ 2020年12月号
広島での一夜の完全レポでした!

今回も、最初から最後まで、ここまで覗いてくれてありがとうございました。各バンドの熱気を知りたくて読んでくれた方も、ライブに参戦して振り返りたくて読んだ方も、皆さん、素敵です。

忘れたくないライブがひとつ刻まれた気がします。素敵な時間でした…!!

今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

もし読んでいて「面白いな」とか思ってもらえたら、TwitterやらInstagramやらなんかで記事の拡散なんかしてくれたら嬉しいな、なんて思います。よかったら、noteのいいね&フォローよろしくお願いします!

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