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うつしよ(JR最長片道切符の旅2022夏第1日-2)

 前回は最長片道切符のスタート地点である稚内駅にたどり着きました。ここから最長片道切符の旅がはじまります。


 稚内へ到達した前回はこちらから本シリーズの一覧はこちらからどうぞ。

最長片道切符の旅

 昼1時少し前。改札が始まりました。まだ真っさらな最長片道切符に最初のハンコである日付印が押されます。きっと旅が終わったときには下車印で埋め尽くされていることでしょう。

 今日はこれから特急サロベツで旭川、旭川からすぐの接続で特急大雪に乗り網走を目指します。

オホーツク海沿岸の路線はすべて滅び、背骨だけが残りました。

 改札を抜けてホームに出ると日本最北端の駅の表示と主要駅までの距離が掲示されていました。さて、特急サロベツのキハ261系に乗車して出発です。

ここが日本最北端の駅です

宗谷本線6064D サロベツ4号旭川行き 稚内(1301発)→旭川(1649着)

北海道ではすっかりおなじみのキハ261系

 この旅一本目の列車はサロベツ4号。この時期の宗谷本線の特急は同じキハ261系でも設備の豪華なハマナス編成が運用されているのですが、これは普通のキハ261系です。この前日のサロベツ4号はハマナス編成であったようですが普通のキハ261系の指定席でも十分快適です。しかし、あまり席が埋まっていないようです。今日は夏休みの真っ只中のはずなのですが…

  高性能の特急形気動車とはいえ、かつては夜行列車も運転されたほどの区間ですから時間がかかり4時間近く乗車します。しかし、乗車中には車内販売はもちろんのこと車内に自動販売機もなく、さらには途中駅で買い出しに行くチャンスすらありません。そのため乗車前に買い物を済ませておく必要がありました。

このボリュームで500円切りとはさすがの一言

 水すら手に入らないので準備は万全に済ませておきます。電車での旅の最大の欠点は移動時間がまるまるロスになることです。これは醍醐味でもあるのですが、真夜中のように景色に期待できないときはただただ退屈です。宗谷本線はあまり景色も変わりませんしこの辺りでは携帯も圏外です。ここでは食事とゲームに勤しむことにしました。

 そうこうしているうちに音威子府に到着しました。旭川までは残り半分です。音威子府駅は麺の黒い駅そばでおなじみでしたが、店主の方が亡くなり閉店してしまったことで姿を消してしまいました。現在は東京の四ツ谷に音威子府のそばを提供しているお店があるそうなので、いつか行ってみたいですね。

かつては天北線も分岐した拠点駅です。

 音威子府村は人口682人(令和4年住民基本台帳人口)と、全国で最も人口の少ない市町村です。もっとも、宗谷本線は稚内を出て130km進みましたがここまで稚内市(人口32,280人)以外の市を通っていませんのでこのあたりはどこも少ないようです。次に到達する市はさらに50km進んだところにある名寄市(人口26,633人)になります。このように沿線人口があまりに少ないため宗谷本線を取り巻く環境は極めて厳しいものです。

 一方で宗谷本線は乗車時間こそ長いのですが第三セクターの北海道高速鉄道開発が線路設備や車両に投資をしているおかげか乗り心地はよく、音威子府から名寄、名寄から旭川まではスムーズに進みました。

一度目の旭川

 列車は最長片道切符の経路では石北本線にへの乗換駅となる新旭川を通過し終着の旭川に着きました。特急列車で新旭川を通過してしまったので特例を適用してルートの外に出ました。旭川にはまた明日戻ってきます。途中下車はできませんが、どうせすぐに特急大雪に乗り換えるので問題はないはずです。ですが食べ物がもう少し欲しいので駅の中で何か探しましょう。

この車両は車両基地で体勢を整えたあと、宗谷本線の最終の特急サロベツ3号として稚内を目指すことになります。

 問題はありました。駅構内に売店がないのです。運賃を精算すれば途中下車もできるのですが正直外に出ている時間はありません。全国的にキヨスクは数を減らしていますが、1時間に1往復特急が来る旭川ですらこの状況とはかなり厳しい実態のようです。売店を諦めてホームに上がると、セブンイレブンの商品を販売している自販機がありました。サンドイッチなどが買えそうです。もしかすると駅の外にあるセブンイレブンが管理しているサテライト店舗のようなものなのかもしれません。

石北本線6083D 大雪3号網走行き 旭川(1705発)→網走(2049着)

これがキハ183系にとっては現役最後の夏でした

 ここからは石北本線の特急大雪で東に向かいます。かつてはオホーツクが一日に5往復も走っていましたが、変遷を経て現在はオホーツクと大雪の合計で4往復の運行となっています。

 ところでこの旅を始める直前の7月13日にJR北海道から今年度をもってキハ183系が引退することが発表されました。JR北海道のキハ183系への乗車はこれが最初で最後ということになりました。

 引退発表からそれほど時間が経っていなかったためなのか指定席はガラガラです。今回は運転室の真うしろで前面展望が楽しめる1号車17番A席を取ることができました。C席とD席には旅行中の家族連れがいました。どうせなら前面展望ということだったのでしょうがC席・D席からはあまり前を見ることができません。なんと勿体ない。

味のあるフォント

 石北本線は宗谷本線とは打って変わって深い深い山の中を列車は進みます。山肌にへばりつくような線路、たびたび現れるロックシェード…と鉄道路線というよりは遊園地のアトラクションに乗っているような気分になります。こんな山奥を切り開いてしかも昭和初期に線路を通したとは到底信じることができません。誇れるやり方だけで建設されたわけではないことは重々承知していますがこれはとてもすごいことです。やがて夜の闇が視界を覆い始め前面展望が楽しめなくなるとちょうど遠軽に着きました。

首都圏色

 遠軽で列車は進行方向を変えます。今は石北本線しか来ない遠軽ですが、そもそも遠軽に最初に到達した路線が名寄からの名寄本線であったのであとからやってきた石北本線のほうがスイッチバックになる構造になったようです。その後名寄本線は廃線になり結果的に遠軽は謎にスイッチバックする駅になってしまいました。

 遠軽が時間的にも物理的にも折り返し地点になるのでここから後半戦です。遠軽で折り返している間にすっかり夜になってしまいましたからもう外は何も見えません。北海道の日没の早さ(この日は18:40ごろ)には驚かされます。

北海道に残るホーロー看板

1日のおわり

 列車はついに網走に到着。この後知床斜里までの終電がありますが、知床斜里からの始電は網走始発ですから無理に進んでも結局同じこと。今日はここでおしまいです。

 網走は駅前に東横インがあるので今日はここに泊まります。駅の本当に目の前にあるので寝ようとしたときに警笛が聞こえました。23:00についたオホーツク3号のものでしょう。遅くまでお疲れ様です。

 明日は太平洋沿いを進み、苫小牧を目指します。ノロッコにも乗車する予定です。

最長片道切符を使った移動距離:489.7km/10792.4km

次回(リンク追加2023年9月19日)

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