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#C 「付き合う」って何?

様々な人がお互いに「スキ」な関係になった時、その関係のしるしに「付き合う」という関係性がつけられる。可視化するときは、よく"↔"や"♡"がつけられる場合もある。周りの人たちは、その関係性を好き好んでちやほやしたり逆に妬ましく思うこともある。

ここで、1つ不思議に思うことがある。それは「付き合う」という関係性になった時に、何ができるようになるのか?という話である。別に、付き合わなくてもお互いが好きな関係であることはできるし、別に付き合わなくてもデートもできるしLINEなどの文通もできるし、なんなら同居やセックスだってできるわけなのである。(もちろん、私だったらそんなことしないわ!とかいう人もいると思うけど…)最近は、「結婚」という関係性を持たずとも、事実婚という形でお互いの関係を規定している人もいるくらいなのだから。

付き合うというのは一体何だろうか、1つの視点として「契約」から考えてみよう。契約と言うと何を思い浮かべるだろうか、雇用契約?売買契約?そんなことではない。人間同士の関係を規定する契約である。例えば、ヴァンパイアのイケメンとモブ女の「血を吸う/吸われる」という契約とかである。

ちょっと偏りすぎているな。

閑話休題。「付き合う」の関係に似ている例としては、「俺の女になれよ」みたいなやつである。この一言は決して結婚という契約を結ばずに、男が付き合おうという言葉をかっこよく言ったのがその言葉なのである(本当か?)。そんな感じで、付き合うのは1つの契約として結ばれると解釈することができる。じゃあどんな契約なのか?「お互い好きな関係でいる(いようとする)」という契約である。

その契約関係を作るとどんなメリットがあるのか。まず、一番は「お互いに信頼関係が構築されやすい」という点である。お互いが好きである(あろうとする)というのは、精神衛生上絶対に良い。お堅いことを言うと、自己肯定感は確実に上がるし、自己承認欲求というマズローの表(なんか最近は否定されてるとかどーとかの話はあるけど、まぁ一応)で言う一番高次的な欲求を満たせるのである。一部界隈では"結婚こそが真の幸せだ!"というくらいなのだからさぞ心身に良い影響を得ることができるのだろうなとは思う。

また、契約を解消されない限り、「スキである(あろうとしてくれる)」ことが確定されるのである。例えばデートに行くことだって今付き合ってるから、スキだと思ってくれるから安心していくことができるんだな、とかちょっとえぐい話をしてしまうと「本当に私のことが好きなのかな…」と不安になったとしてもあの人と付き合ってるから、という理由で自分を鼓舞することもできるのである。このように、様々な行為を行いやすくしたり、精神的な安定を生むためにも付き合うということは十分メリットがある。

ただ、もちろんデメリットも存在する。まず、契約を結んでいることから、ある程度の義務が生じてくるという点である。例えば、不倫、浮気というのは付き合っているからこそ起きる問題である。「なぜお互い好きである関係であるのに、他の女の人と好きになってしまう(なろうとしてしまう)の!」という言葉とかその問題があるからこそ起きることであろう。逆に付き合ってなかったら「なに人の生活に干渉をしているんだ」と逆切れしても致し方ない。そう考えると、付き合う関係は私生活を結構制限する契約だとはいえる(てか私生活を共に過ごすという契約と思うこともできなくもない)。

また、この関係は非常に不安定な点もある。先ほどは、安心材料として付き合うという関係が良いと述べたが、付き合う関係はこのように不安な材料ともなり得る。結婚という関係は、婚姻届を市役所に出すという公に認められる関係となるのに対して、付き合うというのは非常に不安定な契約である。普通は契約書とか、血を使ったりするまともな(?)契約ではなく、基本的には口頭での契約となり言った/言ってない、契約を解消した/解消していないというあやふやさを常に孕んでいる。また、周りの人から見ても非常にめんどくさい。この人たちが付き合っているのかどうかを確かめるすべがないのである。なんとなくそうなんだろうけど、実質付き合っているようなものなんだけど、という感じで分からないのである。結婚しているなら、結婚しているで既婚者にアプローチなどしない。ただ、付き合っているか付き合っていないかよくわからないけど、好きな人に対してその関係を聞くことは基本的にはできないので、なんとなく人間関係を推察してアプローチをしなければならない、という非常に危険な橋を渡らざるを得ないのである。こんな感じで、他人から見ても付き合うという関係は非常にもどかしく、めんどくさい関係だと思うのである。

さて、以上の点を述べたが付き合うという関係は皆様にとってどんな感じだと思うだろうか。私は、結構付き合うというちょっと特殊な人間関係にあこがれを持っている。けど、今は付き合うとかどーとか、結婚とかどーとかそんなの関係なく、お互いの関係が通じ合ってるから、そういう契約すると厄介なことになるからやらない、と思っている人が多分増えているような気もする。お互いの意見もなんとかわかるけど、果たしてどっちの方がいいのかなぁと秋の夜長に書き連ねているのである。