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ムーンライト鑑賞と自己分析

原作: タレル・アルヴィン・マクレイニー; "In Moonlight Black Boys Look Blue"
監督: バリー・ジェンキンス


ムーンライトを勧められて鑑賞したのはいつの日か。日記に映画鑑賞書いてた時の方が文字に興してた気がする。鑑賞したものの感想ばっかり日記に書いてるから、そうだ、noteに分けたらいいんだって考えたはいいものの、いざ始めると謎の使命感によって書けなくなる奴。
嫌なとこ、出てるねぇと思いながら、先輩がnote書いてるの見たら書きたくなったから久しぶりに書きました。


そんなことはさておき、ムーンライト。
観たきっかけはさっきも言ったように、映画好き同盟から「君だけにオススメするならこれ」とそれだけ言われて、何それ気になるってなったから。
今思えばその文句ずるいね。そんな言い方されたら観たくなる。
私が勧めるものは、いつもうんうんってあしらわれるから(とはいいつつ、私の性癖にぶっ刺さったものを勧めるから、相手のことを思って勧められている訳では無い)ホントに観て欲しいものは、「君だけに送るよ」的に勧めていこう。

で、勧められた通り、私好みの作風であったことは確か。始終絶妙に暗くて、主人公の心を中心に描かれた作品。
物凄く薄く、簡潔に述べるといわゆるBL物と呼ばれる作品。LGBTがテーマの作品だから、あまり観られないのかもしれないけど、その感情が生まれた小さい頃から、大人になってもずっと純粋に彼を思い続ける気持ちが本当に綺麗で美しかったから、私もみんなにオススメしたい。


主人公のゲイで黒人のシャロンが少年期、青年期、大人の3つの年代に分けて、彼がどのような人生を送ったのか丁寧に描かれている作品。

シャロンは体が細く、背が小さい、引っ込み思案、黒人ということから学校でいじめられる。が、唯一そんな彼をバカにせず、対等に話してくれたのが同級生のケヴィン。そんな彼に、友情とは違う、大きい気持ちを抱くようになるけれど、それがどういう気持ちなのかも子供のシャロンには分からない。
そんな時に出会ったのが、ドラックディーラーのフアン。シャロンの親が麻薬中毒で、子供の彼に与えるべきはずの愛を与えられていない所をみて、フアンはシャロンの父親のように気にかけるようになる。
ケヴィンに対する大きな気持ちもしっかりと聞いてくれたのはフアンだった……

あらすじって難しい。パンフレットとかに載ってるよりはもう少し詳しく書きたいけど、書きすぎたらそれはなんかあらすじじゃなくなるし、いい塩梅ってどのラインなんだろう。
で、私の推しポイントを語りたいけれど、ネタバレを含むので注意です。でももしこのnoteを読んだ人がムーンライト観ようと思ってくれるなら、私の推しポイントを踏まえた上で、注目して観てもらっても楽しめるような気がする。







まず役者さん。
当たり前だけど主人公のシャロンの役者さん全員違うんですね。いくら少年時代細くて小さくても、やっぱり男の子で、大人になったらしっかりした体つきになって、正直面影なんて姿には全くないんだけど、3人(少年期、青年期、大人)の共通点が目。
バスカヴィル家の犬(日本版)の鑑賞記録もまたするつもりだけど、それでも言ってた。目だけは子供も大人もずっと変わらないものだって。
まあ医学的には眼球も17mmくらいから24mmくらいになるらしいけど、3人の目、瞳の奥が同じで、大人になってもシャロンはシャロンだなと思った。彼はどんな環境でも、純粋な少年期の気持ちが廃れることがなかった。もうここに1ギュンポイント。

2ギュンポイントは、シャロンがフアンにドラックディーラーであるのかと問い詰めた時の、フアンの表情。
実はシャロンの両親にもドラックを売ってる訳で、シャロンを裏切ることをしてるのは分かっているけれど、そんなこと抜きにして、フアンはほんとにシャロンを気にかけていたから、この時のフアンの切ない表情はなんとも言えない。デカくてイカついおじさんのしゅんとした表情、こっちまで泣きそうになった。

3ギュンポイントはセリフなんだけど、薬物治療施設で療養している母とシャロンが話すシーン。
ただの「うん」って相槌を打つセリフが「hey,mam…」って言われていて、ホロリときた。
彼にとっては、愛されたい時期に愛を注いでもらえず、親の役目も全く果たしてもらえていないのに、それでもやっぱり母は母なんだなって思った瞬間。
血縁とか嫌でも付き纏うもので、事実として変わらないものだから、苦しめられることもあれば、安心することもある。
そういう理屈ではなく、言葉に表せない繋がりって、私は苦手だなと思う反面、無条件にそれを受け入れられるような繋がりに憧れはある。それは血縁であろうが、友達であろうが、彼氏、旦那さんであろうが。そんな関係になれたらいいのだろうけど、深くなりすぎる事に恐怖が勝ってしまうだろうな思った。


こんな感じでどうだろう。
ムーンライトっていう題名、凄く合ってるなって思った。月みたいな作品。陽の光を浴びること無ければ輝かないけど、浴びたら本当に美しい。
浴びてない月を私は醜いとは思わないけど、この微妙なところも題材とマッチするんだろうなって思う。


とりあえずこれは普通に好きな作品。
溜まった下書き、どうにか処理したい。

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