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【AZアーカイブ】復活・使い魔くん千年王国 第七章 メフィスト

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おれは常に否定する霊だ。それも当然のことで、なぜなら一切の生じ来るものは、滅びるだけの値打ちがあるからな。それならいっそ、生じてこない方がよいわけだ。そこでお前たちが罪だとか破壊だとか、要するに悪と呼んでおるものは、すべておれの本来の領分なのだ。
ゲーテ作『ファウスト』第一部・書斎より 悪魔メフィストの台詞

地獄の底の楽園で、長身痩躯の老いた悪魔は優雅に挨拶した。
「おれは地獄の大公、その名も高い悪魔、メフィストフェレスだ。うっほん、諸君よろしく」

松下は、流石にちょっと驚いた顔をする。因縁深いヤモリビトと同じ顔でもあるし。
「ほほう、きみがかのメフィストか。何度もきみを呼び出そうとしたものだが、どうもうまくいかなかったな。お初にお目にかかる」
「ゆ、有名な悪魔なの?」
「ああ、とてもな。ぼくの師匠ともいうべき大魔術師、ヨハン・ファウスト博士が召喚した悪魔だ。博士は今から400年以上前、この悪魔の力で、現世に千年王国を築こうとした人物なのだよ」

「―――いやあ、そんなご大層な人物じゃあなかったがね。灰色の現世に絶望して、とことんまで快楽と栄耀栄華を極めようとした俗物だったさ。小娘を孕ませ殺人を犯し、皇帝を騙し土地を強奪するってな有様で、えらく苦労させられたものなぁ。ま、それはいい。お前さんがたの事情は、おれのマゴット、地獄の蛆虫どもを使って聞き出してある。自己紹介はこのぐらいでいいだろう……ところで」

そう言うと、つかつかとメフィストは硬直している佐藤の方へ歩み寄り、彼の頬の皮を掴んだ。
「!? な、なんです、いきなり?」
「ふん、このマスクぁ古代の魔法使い『ヤモリビト』のものだな。そういや何千年か前にあのへんを散歩したとき、姿を見かけたっけ。おい、おれの顔と紛らわしいから剥いでしまうぜ。いいだろ」
「は、はい。どうぞ、お願いします」
ベリッと佐藤の仮面は剥がされ、若い頃は美男だったのだろう、白髪の老人の素顔があらわにされた。仮面はそのまま投げ捨てられ、空中で塵に帰る。

「……と、ともかく、ここで私の『虚無』の魔法を使えば現世に帰れるのね? ああ~~、随分長く感じたわ! 生きた心地がしなかったわ!」
ルイズはその場の緊張感をほぐそうと、笑いながら背伸びをした。

メフィストはフフン、と鼻で笑いながら、彼女の方へ振り返る。
「そういうわけなんだが、ちょいとおれにはヤボ用があってな」
「あによ。急いでいるから手短にお願いするわね」
「ああーと、お嬢さんはいいとして、そこのメシヤのジャリ。松下一郎ぼっちゃんに話がある」
「またぁ? こいつの顔が広いのはいいけど、毎度私が話題の外に置かれるのも考えものだわ」

ルイズは渋い顔をして厭味を吐くが、松下は気にせず、悪魔の前に進み出た。
「なんだね? ぼくの理想に協力してくれるのなら歓迎するが……」
「そういうこっちゃねえよ。ものは相談だが……お前さん、ここに残ってくれねえか?」
「「??」」

悪魔は、近くに伸びている世界樹、善悪を知る木、の太い根に腰掛ける。
さらに、ぱちんと指を鳴らして空中から刻みタバコの入ったパイプを取り出し、火をつけて一服する。
「ふーーーっ……お前さんはなんちゅうか、危険すぎるってこった。地球でも地獄でも、ハルケギニアとかいう並行世界でも、放っておけば大騒動を巻き起こす。といってずっと天界に置いておきゃあ、天使どもでも唆すかも知れねえ。そんならいっそ、ここが相応しかろうってな。おれぁ時々天界にも遊びに行くから、そんなお達しを預かってきたってわけよ」

「―――――神、からかね」

「そうなるね。いいじゃあねえか、ここは静かで平和だし自然は豊かだし、アダムになったつもりでさ。面倒なら、そこに湧いている『忘却の水』を飲めばいい。霊魂は記憶も力も失い、正常な子供に戻って、どこかの世界へちゃんと生まれ変われるだろう」

メフィストの意外な提案に、メシヤを狂信するシエスタが噛み付いた。
「悪魔のいうことはウソばっかりですわ! 神様がメシヤの妨害などなさいますか!」
「外野は黙ってろい!」
ぶん! とメフィストが杖を振ると、地面から木の根が伸びて彼女の口を塞ぎ、四肢を拘束してしまう。何もしていないが、ついでに隣にいた佐藤も拘束された。

「……おれだって何万年、何十万年と生きているから、今までメシヤも何人か見てきたぜ。敵対したことも、手下というか使徒にされて戦ったこともあらぁ。偽メシヤなんか数え切れないぐれぇいたが、お前さんはたぶん本物の方だろ。だがねぇぼっちゃん、この世界ってのは、そうそう好き勝手に変えちゃあいけない代物だよ。富める者と貧しい者の運命、死と生の区別、星の動きから地球の回転、全て決められたように動いている。その秩序をお前さんが乱そうと企んでいるので、あの大旦那がおれにちょっと注意せよと言われたのだ」

メフィストはギラリと目玉を光らせ、ヤクザのように松下を睨みつける。

悪魔の眼光を浴びても、松下は眉一つ動かさない。この程度の脅しに屈していては、メシヤなど務まるものではない。
「ぼくが作り治めるべき地上天国とは、こんな箱庭のようなものではない。こんなところでゆっくりはしておれんし、だいたい悪魔にそう言われて、おいそれと従うわけにもいかんのだが」
「そうだろうねぇ、悪魔ってのはあんまり信用がねえからな。……じゃあ、お嬢さんはどうかな?」
「ひっ」

ハラハラしながら離れて傍観していたルイズへ、急に立ち上がったメフィストがずいっと近寄った。常人にとって、悪魔はドラゴンかエルフのように恐ろしい。今更ながら怯えて後じさるルイズの肩を正面から捉まえ、悪魔は冷たく笑いながら猫なで声で語りかける。

「ま、ま、そう怯えないでさ。なぁお嬢さん、ミ・レイディ、麗わしのミス・ヴァリエール。知ってのとおり、このいけ好かんジャリは超危険人物、フダ付きの悪童だ。自由とか人権とか平等とか、社会主義とか共産主義とか、果ては神の啓示とかを頼まれもしねぇのに並べ立てて、気に入らねぇ王侯貴族を断頭台に送り込もうというやつだ。悪魔を率いて現世をぶっ壊し、新世界の神になる、とかほざく手合いだよ。いつまでもこんなヤツを手もとに置いておけば、お嬢さんも取り返しのつかねぇことになるぜ」

「…………もうなっているわ、この通り、巻き添え食って死んでしまったもの」
「そいじゃアよく分かるだろ、こいつのせいで余計な死者は増え、戦乱と天災が世界を襲っているんだから。ここで別れて大人しくさせておけば、お嬢さんの人生は平穏無事のバラ色だ。な、お嬢さんをおじさんが生き返らせてあげるから、代わりに『使い魔』になってあげようか?おれはとっても役に立つよ、仰せのままになんでもするぜ。莫大な富、永遠の美貌、無敵の魔力が手に入るだろう。求めよ、さらば与えられん、てな。その程度の欲望なら、神様も大目に見てくれるのさ」
「う…………ううう……」

メフィストはルイズの背中に手を回し、白く細い首筋に、はぁーっとヤニ臭い息を吐き掛ける。賢明なる普段の彼女なら、こんな見え透いた詐欺師の誘惑に耳は貸さないのだろうが、なにしろ相手は強力な悪魔だ。彼は耳から言霊を、手から『霊電磁気』を送り込み、催眠術をかけている!

ルイズの顔がぼうっとなり、瞳から光が消え失せ、霊体が霞んで輪郭がぼやけてきた……。

搦め手から攻めてきたか。松下は占い杖を振り上げようとするが、すでに手足には木の根が絡み付いている!
「……くっ! ルイズ、悪魔に耳を貸すな! どうせデタラメだ!」
「うるせぇ、『悪魔くん』め!」

ずしん、と松下の背中が重くなり、膝がガクリと折れる。そのまま前のめりに倒れて地面にめり込む。メフィストの魔法、『魔力・重力落とし』だ。いよいよ実力行使に出たようだ。

「とどのつまり大旦那はなぁ、おれとお前さんを勝負させて、勝った方を正義とするってこった。お前さん、随分罪を犯してきたな? 侵略戦争に加担し、何万という兵隊を自分の都合で殺したな? 善悪を天秤にかけて計りゃあ、お前さんは『有罪』だ! 罪の重さをその身で受け止めやがれ!」
言うが早いか、ザワザワと木の葉が鳴り、上空から無数の木の実が降り注ぎ、巨大な人面の果実となって松下を押し潰す!

「逃げられはせんぞ」  「そうだ」  「あきらめろ」

「そうだ、そして認めるんだ」  「この世界を! 我等の存在を!!」

積み重なる果実の群れは、やかましく喚きながら腐汁を撒き散らし、次々と地面に根を下ろして松下を押さえつける。佐藤とシエスタも拘束する木の根に呑み込まれ、うめき声をあげながら血のように赤い樹木に変身していく!
「へへへへっ、賢いようでもまだ子供だね。年季が違うよ、年季がさ。おれにとっちゃあ、こんな餓鬼どもを誑かして始末するのは、赤子の手をひねるようなもんよ。なぁ、お嬢さん、かぐわしく可愛らしいレモンちゃん!」
鼻の下を伸ばし、にやけた助平顔でメフィストはルイズに擦り寄った。

どうせ使われるなら美少女の方がマシだし、洗脳してしまえば逆に『使い魔』にできる。面倒なお使いの手間賃は彼女の魂でいただくとしよう。潜在魔力もなかなか多そうだ。むっふふふふ、と勝利を確信した笑いが思わず漏れてしまう。

……だが、メフィストは彼女を見くびっている。彼女は《虚無の担い手》であり、あの『烈風』カリンの末娘であり、なにより誰あろう、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールなのだ。

突如、疾風のようにルイズの蹴りが、彼の股間にめり込んだ。
「ぐうっ!?!」

悪魔の手の力が緩んだ。ルイズは体を旋回させ、彼の肋骨に猛烈な肘鉄を打ち込む!
「あッ」
突然の攻撃に対応できず、ぐらりと倒れる悪魔から飛び退き、瞬時に杖を抜いて呪文を唱える。
「『錬金』ッ!!」
悪魔の蝶ネクタイに魔法がかけられるが、膨大な魔力を受け止めきれず、『錬金』は失敗して爆発を起こす!
「ぎゃふん」
哀れな悪魔は一声叫ぶや、その場できりきり舞いをしてぶっ倒れた。

……読者の中には、たかが小娘の蹴り一つで、悪魔が肩から手を放したことを不思議に思われる人もいるであろう。なるほど、普通の人間の蹴りなら命に別状はない。しかし霊体とはいえ、ルイズの金的蹴りということになれば、問題は別である。その強力な打撃は股間を紫色にし、これをまともに食らえば、心臓は一時停止しなければもたなくなるほどの苦痛なのだ。続いて胸元にロケットに近い威力の肘鉄まで放たれたのである。さらにストレスを溜め続けたルイズの『爆発』を首元の至近距離で受けたのだからたまらない。普通の人間なら即死だが、悪魔メフィストは持病の腰痛を再発させ、気を失っただけだった……。

松下たちを襲っていた植物は、悪魔が倒れると同時に煙のように消え去った。意識を取り戻したルイズは凛と瞳を輝かせ、憤然と鼻息を噴き出し、小さな胸を反らせて悪魔を踏みつける。
こンのエロ犬、変態犬! たかが悪魔の分際で、人間様の邪魔をするんじゃないわよッ!!」

起き上がってきた松下も佐藤もシエスタも、驚きを隠せない表情だ。
「……いやあ、きみは時々すごいことをやらかすな。相手は悪魔だぜ」
「ふん、悪魔がなによ、神がなによ! 私が人間である限り、誰にも私の意志を阻むことは出来ないわ! それに、あんまり見くびらないで欲しいわね。契約のルーンは外れていても、私はあんたのご主人様なのよ」

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
今まで彼女の小さな胸中を占めてきたのは、「他人に認められたい」という切実な思いだった。魔法が使えないという一事だけが彼女の自信を失わせ、空虚な誇りを肥大させ、心を歪め縮めていたのだ。だが伝説の《虚無の担い手》となった今、家族も級友も、女王陛下も枢機卿も、教皇聖下でも自分を認めてくれるだろう。できそこないではない、落ちこぼれではないと。立派な貴族だ、始祖の末裔たる素晴らしいメイジだと。

それでは、次に何を目指せばいいのだろう? さらに何を求めればいいのだろう? 目指すは母様のような強く立派な魔法騎士か、カトレア姉様のような淑やかな貴婦人か。いずれは結婚せねばならないのだろうが、今はその気も相手もない。ワルド子爵はあんなことになったし。富か、愛か、地位や爵位か、さらなる名誉か。いやいや、なにか足りない。

……そうだ、私はあの時、心の底から求め訴えたではないか。ただただ自分の『使い魔』が欲しい、と。

しかし、メイジを知るには使い魔を見よというなら、自分の使い魔であるマツシタは何者なのだ。この小さな子供はメシヤ、救世主であり、世界を征服して『千年王国』を築くと言っているではないか。全人類の見果てぬ夢を、異能を尽くして、現実世界に実現させようと執念深く奮闘しているではないか。地獄に落ちても這い上がり、悪魔を力づくで従えてまで。

ならば、ならば。それならば。

だん! と靴底を鳴らして松下に向き直り、ルイズは大声で叫ぶ。
「さあマツシタ、私の使い魔、さっさと私について来なさい! 共に天下を統一し、万人の求める理想郷ってやつを、現世に築き上げてやろうじゃないの! あんたも神も悪魔も世界も、このちっぽけな『虚無(ゼロ)』のルイズの器の中に呑み込んでやる!!」

おお、よぉく分かった。この、ひたむきで生意気で、自己中心的で傍若無人で傲岸不遜なメシヤ様は、つまるところ私の鏡写しの姿なのだ。ならば、このマツシタの狂おしい野望は、私の求め訴える願望でもある、ということではないか!!

不敵に顔を輝かせた、天下人の如きルイズの気迫。松下はあっけにとられたあと、腹の底から呵呵大笑した。死を体験し冥途を辿り、知恵の樹の下で悪魔を倒すことで、彼女は精神的に成長し、変貌を遂げたわけか!
「ぷふっ、くくっ、はっははははは!! よくも言ったり! それぐらいの気概がなければ、ぼくの主人とは言えないな!! ははははは……」

手を拍ってひとしきり笑ったのち、松下は泡を吹いてのびている悪魔を見やる。
「じゃあ、今のうちにこいつを封印しておこうか。ルイズ、きみの持っている『水のルビー』を貸してくれ」
「? どうするの?」

指輪を手にした松下は、ルビーを悪魔にかざして空中に円を描く。すると両者の間に虹色の光が生じ、悪魔は宝石の中に吸い込まれてしまった。
「……これでよし、と。こいつを強制的に縛り付けるような魔道具があれば、ここから召喚して使役もできるナ」
「始祖の秘宝に悪魔を封じるとはね。こんなの身につけたら、また洗脳されたり、悪魔憑きになったりしない?」
「さっきのような強い意志を持っていれば大丈夫さ。我が主人、革命の同志、『虚無』のルイズ」
ぽい、と投げられた指輪を受け取って握り締め、ルイズは力強く肯いた。シエスタも佐藤もにっこりと笑う。

「さてマツシタ、これからの予定は?」
「うむ、まずはかねてからの計画通り、アルビオンを取る。国盗りだ。ここでは三日ほどしか経っていなくても、現世では数週間は経過していよう。トリステイン軍も千年王国軍もアルビオン軍主力も殲滅され、あの大陸はゲルマニアの掌中に落ちているはずだ。そこで混乱に乗じてゲルマニア軍を一掃し、ぼくらの千年王国をアルビオンに打ち立てる。―――たぶん、我々を狙撃して殺した奴も、ゲルマニア軍の中にいるだろうがな」

ルイズがヒュウ! と口笛を鳴らす。
「今度は僅か数人で、十万近いゲルマニア軍を一掃するっていうの?」
「第七使徒マルトーらをアルビオンに潜ませてあるから、十数人かな。それとサウスゴータ占領時に、いくらかの在野・反政府勢力を密かに手なずけておいた。まぁ、勝算はあるさ」
「じゃ、トリステイン本土はどうなのかしらね。ガリアとゲルマニアに挟撃されているんでしょ?」
「ガリア方面には、第六使徒タバサを通じていろいろ根回しがしてある。相手がゲルマニアだけなら、女王と枢機卿がしっかりしていれば外交努力でも防げるだろう」

こいつはまぁ、なんと手回しのいい奴だろうか。まるで先々を見越していたようだ。いや、マツシタはきっと遥かな未来を、千年もの先を見越しているのだろうが。

そうこうするうち、明るかった空がスウッと暗くなってきた。周囲を見れば、樹木は歪み捩れて石化し、草花は塵灰となって崩れていく。地面はグラグラと揺れ動き、熔岩の固まったような素肌を剥き出し、亀裂があちこちに走り出す。そこからは硫黄臭のする煙が噴出し、見る見る楽園を覆っていくではないか……!

「きゃあ!? な、何事でしょうメシヤ?」
「この悪魔メフィストが、幻術かなにかで楽園を作り出し、維持していたのかも知れんな。やれやれ、地獄はやはり地獄らしくなっているわけだ。随分と寄り道したが、収穫はあった。長居は無用だぞ、ルイズ」
「よし! 戻りましょう、アルビオンへ!!」

轟音とともに楽園が崩壊していく。ルイズは世界樹に向き直ると、懐から『始祖の祈祷書』を取り出し、『水のルビー』を指にはめる。それからパラパラと祈祷書をめくり、すみやかにトランス状態に入って、虚無の呪文を紡ぎ出す。

Quod est inferius est sicut id quod est superius,
 下なるものは上なるもののごとく
et quod est superius est sicut id quod est inferius,
 上なるものは下なるもののごとし
ad perpetranda miracula rei unius.
 そは唯一なるものの奇跡の成就のためなり

「虚無の魔法の、中級の中の上。我等の前に未来を開け、《世界扉(ワールド・ドア)》!!」

呪文を唱えつつ、ひゅッひゅッと杖で前方の空間に魔法陣を描く。そこへ重力が集まり時空が歪み、何層もの次元を虫食い穴のように穿って、虹色に光り輝く球状のゲートが出現した! 一同が急いでゲートに飛び込むと、たちまち眩い光に飲み込まれ、まっすぐに現世へと上昇していった……。

求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、さらば見いださん。門をたたけ、さらば開かれん。すべて求める者は得、尋ぬる者は見いだし、門をたたく者は開かるるなり。
新約聖書『マタイによる福音書』第七章より

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