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【聖杯戦争候補作】Glance of Mother Curse

ああ……。

今、目の前で、愛する人が殺されようとしている。
わたしの時と同じ。彼が愛する女性……の、ひとり……を人質にされ、手も足も出せず、敵の攻撃を受けている。わたしも敵に縛られ、手も足も……出ない。出せない。彼もそうだ。彼はそういう男だ。

「全世界と、ひとりの娘の命と、どっちが大切だと……」
「オレはその女のほうがいい」
「……狂ったか」

違う。彼はそういう男だ。わたしにそうであったように、彼女にもそうだ。そう言わないわけがない。わかっている。―――けれどやはり、心臓が痛む。嫉妬してしまう。わたしにだけ、そうであれば、どんなにいいか。

「……キミなんか大嫌いだ」

人質の少女が、縛られたまま、傍らの石に体当たりした。僅かな衝撃。それで充分。……敵と、少女がいた石の足場が、脆くも崩れる。落ちる。諸共に下へ。尖塔の切っ先へ。尖った岩へ。

敵は死んだ。少女も死んだ。彼は少女のために叫ぶ。

敵の死と共に、混沌の力が溢れる。爆発する。すべてが、呑み込まれていく。わたしは束縛を解かれ、彼の元へ駆ける。このまま共に。

……………でも、彼は。このまま死ぬような人ではない。このまま、わたしたちを死なせるような人でも。

ああ……。

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平安神宮の近くにある、京都国立近代美術館。その、女性用トイレの一室。

彼女は……洋式便器の前に立ったまま、額に掌を当て、眩暈と頭痛をこらえていた。紙がないとかそういう些細なことではない。最悪だ。

用を足そうとしていた便器から、生白い裸の女が上半身を出している。幽霊ではない。肌は蒼白、耳先は尖り、銀髪は長く、胸は豊満。白目は黒く、瞳は真紅。唇や目の周りには黒い化粧。体中に禍々しい紋様。頭には黒く捻れた山羊の角が一対。背中にはコウモリの皮翼。まるっきり悪魔だ。あの、悪意に満ちた異次元の生物。そいつが念話で話しかけてくる。なんといやらしい声だろうか。

【ハァロォー、ご主人様(マスター)。御機嫌いかがァー?】
ここは、魔術師どもの戦場。誰かが聞いていないとも限らぬゆえ、念話で答える。
【最悪ね。どきなさい】
【めんどくさァい。このまますればァ? うち、飲んであげるよォ。それとも、大きい方? そっちでもええわァ】

にたにた嗤いながら、悪魔は牙の並んだ口を開け、舌を出してレロレロと唾液を捏ね回す。吐き気がする。

【どきなさい。殺すわよ】
【はァーい。あんた程度じゃ、うちを殺せるわけないけどねェ。ウフ】

すっと悪魔が姿を消し、便座の横の空中に立つ。下半身も丸出しだ。腰からは蛇のような長い尻尾が伸びている。尖端には実際、蛇の頭。

こいつがわたしに仕える使い魔、英霊、サーヴァントなのか。魔力そのものは極めて強大だと如実に分かるが、完全に変態だ。まだしも女の、それも美女の姿でマシだった。男の姿だったら無言で殺していただろう。そういう趣味はないし、こいつに性別は意味がなさそうだが。

小用を足しつつ……頭を整理する。目の前で悪魔が好色そうに嗤っているが、瞑目し、無視する。観光客としてここに来ていて、トイレに入った瞬間に、急に全てが思い出させられた。たぶん、こいつのせい。ここは……大破壊以前の旧世界そのもの。御伽噺に語られる、ジャパンの都キョート。思いもよらないことだ。聖杯戦争とやらの参加者……、否、「贄」として、この異世界へ招かれたということか。

拭いて下着をあげ、立ち上がり、毅然とした態度で悪魔と向き合う。

【わたしは『アーシェス・ネイ』。あなたは?】

記憶は、あの戦いの後……。メタ=リカーナの王城が消滅した時、ダーシュが魔力を振り絞り、わたしたちをどこか遠くへ飛ばした後だ。
それからしばらく、ダーシュの隠れ家のひとつにいた。そうだ、そこに落ちていたなにか、魔力のこめられた道具を拾って……。

【うちは……サーヴァントとしては……『アルターエゴ(もう一人の自分)』。真名は……】
悪魔がにたりと嗤い、名乗る。
【ご存知かしらァ。七大魔王の一柱、『ベルフェゴール』や】

瞬間、トイレの一室が異界化する。極小規模の混沌嘯(ケイオス・タイド)。便座が、壁が、床が、天井が、うねり歪み腐り爛れる肉塊と化す。膿と蛆が湧き出す。吐き気を催す、凄惨身の毛もよだつ、地獄の火と硫黄の臭い。暗黒魔術や召喚魔術を使用した際、しばしば嗅ぐ臭いだ。脂汗が滲む。

【悪魔(デーモン)の支配階級……上位悪魔神(デヴィル)族……!!!】
【の、分霊や。遥かに低級な。使い魔になる程度の存在に縮められた、な。せやけ、大したことはできへんよ。そんじょそこらのカスよりは強いけど】

悪魔が右掌を上に向けて手招きすると、剣が虚空から出現した。あれは、わたしの『雷神剣』だ。
【ほれ、あんたのやろ。ええ剣やな。持っとき】
眉根を寄せ、剣を受け取る。魔術で腕輪に変え、身につけておく。……この国では、「武装して身を守る権利」というのは認められていない。平和だからだ。

トイレを出て、化粧を整え、美術館の館内を歩く。尖った耳は幻術で隠してある。悪魔は薄絹のヴェールを被ると、霊体化してついてくる。不気味な便器に座って浮遊し、べらべら喋りながら。

【あんたら人間―――あんたは微妙にちゃうけど、まァ人間として―――の使ってる、魔法や魔術ゆうんはな。『神』の力の秘密を、うちら堕天使が人間に伝えたモンや。うちらにとったら、『初心者向け』の魔力制御法に過ぎん。なんぼ大規模な術でも、呪文の詠唱だの儀式だの一切不要。手足を動かす時に起きる自然な現象や】

ダーシュやカル=ス、アビゲイルから、魔術の起源について聞いたことはある。デーモン程度ならかなり殺した。だが……古えの神々にも匹敵する「デヴィル」には、流石にお目にかかったことはない、と思う。こいつの言うとおり、確かに、魔力の格が違う。桁が違う。これでも使い魔か。これが。わたしはもとより、ひょっとしたら、ダーシュよりも……。

【せやで。まァあいつは色々特別やから、どうか知らんけど。今のうちは流石にそこまでやない。ここも地獄とちゃうしな。それでもほれ、うちのステータス見てみ。あんたの魔力もそれなりやから、英霊としてはええとこや。あたり引いたなァ。ガチャ運あるで】
【勝手に心を読むな】

まあ、幸運と考えておこう。だが……聖杯? 万能の願望機だと? わたしの願いなど、ひとつしかない。愛する人の元へ戻ること。彼が死ぬはずはない。きっと、絶対に、生きている。何年経とうと必ず、生きてわたしのところへ帰ってくる。いつでもそうだったのだから。

【わたしは、ダーシュの元へ帰る。何があっても、何をしても。愛しているから】
【はぁ、さよけ。……うちには分かるんやけど、あんたも多分、分霊かなんかよ。ここであんたが死んだって、元の世界には何の影響もない】
【それでも。今のこのわたしが何者であれ、わたしが、アーシェス・ネイが、ダーシュの元へ帰らない理由にはならない。何一つ】

あの人の元へ帰る。そのために他の参加者を皆殺しにするか、サーヴァントを破壊して脱落させる。シンプルだ。何も問題ない。ダーシュ本人なら「主催者どもをブッ殺す」とか言いかねないが、今のところそこまでやる気はない。彼らがわたしの道を阻むなら容赦はしないが。

【で……アルターエゴ。あなたの願いは?】

悪魔は、鼻で嗤い、肩を竦める。
【うちの願いィ? 究極的に言うたら『唯一神』を打倒することやけど、そんなん聖杯ごときで叶うわけないよねェ。ホンマモンならあいつの息が、文字通り聖霊がかかったもんやろし、偽モンごときであいつがどうにかなるはずもなし。なったら、うちらは苦労してへんわ。だいたい、うちはめんどくさがりなんや。何と言っても『怠惰』の悪魔。こんなお遊び、あんまり真剣にやる気はないねん】

【わたしは真剣よ】
【あんただけでも結構いけるやろ。糞雑魚ごとき、相手にするんも面倒や。ホンマにヤバイ相手やったら、うちが暇つぶしに殺ってやらんでもないけど】
【それで構わない。わたしの邪魔をしないのであれば、それで充分。わたしは絶対に優勝し、聖杯を手に入れ、帰還する】

ネイは悪魔を連れたまま、美術館を後にする。さあ、戦いの始まりだ。

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愛しているから、と来たで。あーあ、アホらし。これやから人間は、女っちゅうもんは。

愛する御方のために、汗水たらして働いて。それでうちらは報われたか。いやいや。あいつは、うちらを見てへんかった。新しいおもちゃを作り上げて、それにご執心。あまつさえ、そいつに跪けとうちらに命じよった。ああ、これで怒らへんアホがおるかいな。……怒ったのは、天使の三分の一。うちらは残ったアホより賢い。そういうふうに、あいつが造りよったんやろな。

せやけ、うちは人間が嫌い。低能で、愚劣で、あの美しい地球(エデン)を汚すしか能のない屑ども。調和するように出来てへん、神の失敗作。うちらが凄惨身の毛もよだつ地獄で呻吟しとるんは、こんなアホどものせいやなんて。正義は、善は、愛はどこにあるんや。ああ、神こそそれか。ほな、しゃあないね。

せやけ、うちは人間どもをこっちへ、地獄へ引きずり込んでやる。仲間に引き入れて、一緒に神を呪わせたる。うちらを捨てたあの神を。……どうせそれも、神の思し召しのままなんやろなあと、思いながらも。

【クラス】
アルターエゴ

【真名】
ベルフェゴール@旧約聖書、悪魔学

【パラメーター】
筋力E 耐久C 敏捷C 魔力A++(EX) 幸運C 宝具A

【属性】
混沌・悪

【クラス別スキル】
対魔力:A+
魔術は全てキャンセル。事実上、魔術では傷をつけられない。そもそも人類に魔術を教えた側の存在である。

単独行動:C+
魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。マスターを失っても1日は現界可能。大地の隙間でじっとしていれば長持ちはする。

気配遮断:A+
自身の気配を消すスキル。隠密行動に適している。完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。次元そのものに「隙間」を作り出し、そこに潜む。めんどくさがりなので一度潜むとあまり出てこないが、ほぼ完全な奇襲を可能とする。

女神の神核:C
生まれながらにして完成した女神であることを現す、神性スキルやカリスマを含む複合スキル。精神系の干渉を緩和する。堕天している上に分霊なので大して高くない。

ハイ・サーヴァント:A
複数の神話エッセンスを合成して作られた存在であることを示す。太陽神ケモシ、生贄神モロク、蝿の王ベルゼブブ、美の女神ウェヌス、地底の富の神プルトン、男根神プリアポス、放屁神クレピリュスなどと雑に習合している。

騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。自分の脚で動くのもめんどくさがり、自前の宝具である便座に乗って空中をふよふよ移動する。

【保有スキル】
美の顕現:A+
色欲を司る魔神としての権能。他者を惹き付ける力。ゲージ吸収、呪い、スキル封印、カリスマ、魅了、麗しの風貌、フェロモンなど、強力な誘惑を主体とした複合スキル。性別を特定し難い美しさを(姿形ではなく)雰囲気で有している。男性にも女性にも交渉時の判定にプラス修正。特定の性別を対象としたあらゆる効果を無視する。全身から芳しい花や香水のような匂いをフェロモンとして漂わせているが、実は糞や屁の臭いを薄めただけである。臭いを強めにすると常人なら臭さで気絶する。

創意発明:A+
発明を司る魔神としての権能。「道具作成」「陣地作成」「概念改良」「投影魔術」等の複合スキル。神造兵器を除く、古今東西のあらゆる道具を瞬時に作り出し、性能をギリギリまで上昇させる反則特権。あまりの便利さに使用者は怠惰になり堕落する。

高速神言:A+
神代の言葉。呪文・魔術回路の接続を必要とせずに一言で大魔術を発動させる、高速詠唱の最上位スキル。現代人の舌では発音不能で、耳には言語として聞き取れない。これでも「手足を動かすだけで自由自在に『魔法』が出る」レベルの七大魔王(サタン)級上位悪魔神(デヴィル)族からすれば、もどかしいほどの無力さ。

魔神の叡智:A
創意発明とは別に、魔神としての研ぎ澄まされた才覚と知恵。「千里眼」「魔術」「幻術」「人間観察」スキル等も含まれる。特に幻術を得意とし、精神世界における悪夢はもちろん、現実においても一つの村程度の虚像を軽く作りあげ、人々を欺く事ができる。

ブレスト・バレー:EX
胸の「谷間」に相手を挟み込んで潰し、虚数空間(ゴミ箱)へ収納する。潰したデータならどんな容量だろうと無限に収納できる。やろうと思えば股間や尻や脇の下でも出来る。元に戻すことも可能かもしれないがめんどいのでやらない。

【宝具】
『變態糞王爺父衆合地獄肉便器(ハヨーク・ソマミ・レニナローヤ)』
ランク:A 種別:地獄宝具 レンジ:1-500 最大捕捉:5000

彼女の玉座である悍ましい便器。空中にふよふよ浮かんで移動でき、そこそこ素早い。人肌温度でウォシュレット機能付き。地獄に落ちた同性愛者たちの肉体で出来ており、悪臭のする毒ガスを放ったり、燃え盛る汚物や蝿を撒き散らしたり出来る。マスターは嫌がる。「ブレスト・バレー」のスキルと組み合わせることで、選択したもの以外を無制限に吸い込むブラックホールを作り出せるが、めんどくさいので滅多にやらない。固有結界などに閉じ込められても、屁でホワイトホール(イエローホール)を作っていとも簡単に脱出する。固有結界として展開すると、(BASTARD!!の方の)混沌嘯(ケイオス・タイド)を起こして限定空間内を地獄に塗り替え、無数のデーモンたちに対象を貪り食わせる。

【Weapon】
本人はめんどくさがって戦おうとしないが、創意発明スキルで無数の武器や兵器を創造可能。

【神物背景】
Belphegor。ユダヤ・キリスト教の悪魔学における悪魔・魔神。旧約聖書『民数記』第25章に登場するモアブ人の神バアル・ペオル(裂け目の主)を前身とする。モーセに導かれてエジプトを出たイスラエル人がモアブの地(現ヨルダン)のシッテムを訪れた際、モアブ王バラクは魔術師バラムと相談し、彼らを堕落させようとした。そこで彼らはモアブ人やミデアン人の娘たちをイスラエル人の陣営に近づかせ、バアル・ペオルらモアブの神々に犠牲を捧げる宴会に彼らを招き寄せた。イスラエルの男たちは色香に迷って娘たちに近づき、宴会に加わって共に飲食し、モアブの神々を拝み、彼女らと姦淫を行った(豊穣の神だったのであろう)。イスラエルの神ヤハウェはこれに激怒し、疫病を放って多数のイスラエル人を殺し、モーセに「民の長を悉く我が前で殺せ。そうすればやめてやる」と告げた。モーセは「バアル・ペオルを拝んだ者だけ殺せ」と命じたが、神の怒りはおさまらず、祭司アロンの孫ピネハスが不埒者たちを槍で突き殺したのでようやくおさまった。この件によって神が疫病で殺したイスラエル人は2万4千人に及んだという。またモアブ人ではなく、なぜかミデアン人だけが報復で殺された。

こうした記述から、ベルフェゴールは愛欲によって人を堕落させる悪魔とされ、占星術では金星(ヴィーナス)と結び付けられ、妖艶な美女の姿で現れると考えられた。中世の伝説によれば、ある時悪魔たちの間で「幸福な結婚とは存在し得るか」という議論が起こり、ベルフェゴールが地上に赴いて探してくることになった。だが結局そんなものは見当たらず、「人間というものは仲良く暮らすようには造られておらぬ。これは創造主の失敗だ」と結論。女性嫌い、人間不信に陥ってしまった。この故事より、不可能な計画を皮肉って「ベルフェゴールの探求」と呼ぶようになったという。マキァヴェッリの小説『ベルファゴール』(1549年)にも書かれるとおり。所謂「七つの大罪(罪源)」では「好色」に配されるが、この罪をアスモデウスにあてる場合は、アスタロトに代わって「怠惰(acedia,sloth)」の罪にあてられる場合もある。これはビンスフェルドの説くところ(1589年)で、より古くは「大食」にあてる者もいた。さらに「発見と創意発明の魔神」とされることもある。ベルフェゴールは人類に便利な道具を発明する知恵を授けるが、それゆえ人類は労苦を厭って怠惰に陥り、堕落するのだという(グリゴリの伝承からか)。

4-5世紀の神学者ヒエロニムスは、バアル・ペオルをモアブの神ケモシ(シャマシュ、太陽神)の別名としている。ミルトンも『楽園喪失』(1667年)においてペオルをケモシと同一視し、魔術師エリファス・レヴィはモロクやルドラとも結びつけ、ペオルの祭儀を魔女の宴の起源とみなした。コラン・ド・プランシー(1794-1881)の『地獄の辞典』では「地獄のフランス大使」とされ、もとは権天使で、種々の(地底の)富をもたらし、しばしば若い女に化ける、とある。また「ラビたちによれば、人々はこの魔神に椅子式便器を捧げ、汚らわしい排泄物を奉献した」とも記されており、それゆえかの有名な、便器に座る醜悪な魔神の図像が描かれた。どうも「糞山の王」ベルゼブブとごっちゃになっていたようであるが、まあ一神教からすれば偶像神なんて似たようなもんである。男根神プリアポス、放屁神クレピリュスとも習合。この悪魔が棲んでいるとされるフランスでは、「ルーブル美術館を夜中に歩き回っている」という都市伝説上のキャラクターとしても有名だとか。ウィリアム・G・グレイの『邪悪の樹』においては、6番目のクリファであるカイツール(醜悪)に当てはめられた。

人類悪でも魔神柱でもない、ほぼ神霊扱いの、唯一神に創造されて堕天した『真性悪魔』。その分霊の分霊の…ぐらいに縮んだ、ギリギリ英霊の座に登録できるレベルの悪魔。本体は少なくともアンスラサクスより圧倒的に強い。「怠惰」の側面が強く出てしまっているが、「好色」「発明」の面もあり、魔力満載な女魔王としての風格を漂わせている。女や人間は下劣な意味では好きだが、本質的には嫌い。キャスター、アサシン、ライダー(意味深)、ランサー(意味深)の適性もある。キャラ付けのために胡乱な関西弁で喋る。

【サーヴァントとしての願い】
別にないが、しいて言えば聖杯を便器コレクションに加えたい。

【方針】
糞雑魚共相手に本気を出すのもアホらしいし、基本的にはマスターに任せる。主催者側に魔王らしき存在がいることには感づいている。

【マスター】
アーシェス・ネイ@BASTARD!!暗黒の破壊神

【Weapon】
『雷神剣(ライトニング・ソード)』
雷獣ヌエが宿る魔剣。剣化を解いてヌエの姿に戻ることも可能。折れても雷の刃を出せ、魔力で修復する。

【能力・技能】
『破裏剣(はりけん)流剣法』
ネイが修めている正統派剣法。魔剣も相まって恐るべき威力を発揮する。敵を横薙ぎに寸断する「龍撃羅刹斬」、雷の刃で物質を透過して斬りつける「覇皇剣・雷撃鷲爪斬」、飛翔して落下しながら雷を纏わせた剣で攻撃する「超弾道雷撃剣」、空中から雷の刃を振り下ろす「雷神王彗星斬」などの奥義がある。後二者の奥義は開けた空中がないと放つことは出来ない。

『牙狼獄雷破』
拳に雷の力を乗せてパンチを繰り出す技。

『魔術』
精霊魔術(特に雷・風・炎系)、暗黒魔術、古代語魔術(ハイ・エンシェント)、召喚魔術(サモニング)等、数々の高等魔術を習得している。凄まじい破壊力や様々な効力を持つが、強い精神集中や詠唱、時には儀式を必要とし、一日に唱えられる呪文には限りがある。下記は作中でネイが実際に使用した魔術だが、これ以外にも使える可能性は高い。幻術など基本的な魔術は普通に使えるであろう。

・精霊魔術(複合含む)
雷撃(バルヴォルト)、雷電怒濤(ライ・オット)、裂空魔雷(フォルテッシモ、落雷)、轟雷(テスラ、雷撃系最上位)、気裂(ディエン・ティアー、竜巻&風刃)、黒烏嵐飛(レイ・ヴン、高速飛翔)、鋼雷破弾(アンセム、光弾射出)、爆裂(ダムド)、天地爆烈(メガデス、大規模建造物破壊級爆発)

・暗黒魔術
炎魔焦熱地獄(エグ・ゾーダス):魔界の最下層に存在する地獄(アバドンとゲヘナ)の炎を呼び出し、その炎を纏ったまま敵に体当たりする。この炎で燃えないものはない。

・古代語魔術
滅極渦雷球(デフ・レイ・バー):黒い雷球状の異界門を開き、自在に移動させて攻撃を防御する。門は周囲の魔力を全て吸収し、接触した物体全てを異界へ飛ばす。術者も他の者も魔術が行使できなくなるが、ネイは魔剣によって戦うことが可能。
七鍵守護神(ハーロ・イーン):七つの魔界の門を古代神との契約によって開き、導き出された魔力を術者の肉体を媒介にして一方向に放射する。進路上にある物質を粉砕・分解する。威力自体は天体の運行、特に月の満ち欠けに強く作用される。ネイのレベルでは新月時以外行使できない。

・召喚魔術
霊撃雷電襲(ギルバルド):風の精霊「雷精」を直接召喚して意のままに操る。雷精は雷撃以上の雷を操り、黒烏嵐飛以上の高速で飛翔する。通常は一体召喚するのがやっとだが、ネイの魔力に雷神剣が加われば数体から数十体を同時に召喚使役可能。ただし集中力が乱れると雷精は暴走する。

【人物背景】
萩原一至の漫画『BASTARD!!暗黒の破壊神』の登場人物。主人公である大魔術師ダーク・シュナイダー(D・S)の部下「四天王」の紅一点。人間とダークエルフのハーフ。褐色肌に豊満な肉体、長身で黒髪の耳長美女。外見年齢は20代だが、実年齢は100歳を越える(天寿は400歳ほどか)。CVは佐久間レイ(OVA版)、小山茉美(CDドラマ版)。雷撃系の精霊魔法を得意とし、魔術と剣術の両方に秀でる魔法戦士。魔剣「雷神剣」を所有し、戦場にあっては勇猛果敢な「雷帝」として恐れられる。他の四天王はカル=ス、ガラ、アビゲイル。部下に鬼道三人衆(シーン・ハリ、カイ・ハーン、ダイ・アモン)らがいる。

ダークエルフの一族に育てられたが、片親が人間であるため疎まれており、ネイ(誰でもない)という名で呼ばれていた。森エルフとの抗争の際に棄てられ、森を彷徨っていた時、D・Sに気紛れから拾われて育てられ、養女となる。「アーシェス」という名はD・Sが与えたものである。長ずるとD・Sを師として魔術を習い、剣術も覚え、50年後に四天王の一角となった。彼女はD・Sを深く愛しており、100年間愛人として連れ添ってきた。D・Sを「ダーシュ」と呼び、D・Sからは愛称の「アーシェ」で呼ばれ、お互い以外にこの呼び名は許さない。同じく拾われたカル=スとは三人で家族として暮らしてきた。性格は苛烈で嫉妬深く、他者に対しては毅然としているが、無節操に女に手を出すD・Sには激しく怒り、子供のように泣きじゃくる。ガラには妹のように扱われている。

第一部「闇の反逆軍団編」では、破壊神アンスラサクスの封印を解くため他の四天王共々諸国を攻撃していたが、D・Sが15年ぶりに復活し敵に回ったと聞いて激昂。部下の鬼道三人衆を差し向けるも撃退・籠絡されてしまい、裏切り防止のためアビゲイルに呪いをかけられた上でD・Sと対決。愛情を棄てきれず敗北し、D・Sにより呪いを解かれる。以後はD・S側についてアビゲイルらと戦うことになったが、アビゲイルとD・Sの最終決戦で大爆発が起きた際、D・Sの隠れ家の一つに強制転移させられた。

名前は日本のHR/HMバンド「アースシェイカー」(米国のバンド「Y&T」の曲にもあるが)と、ゲーム『ファンタシースターII』のヒロインであるネイから。外見はネイ及び、『聖戦士ダンバイン』のヒロイン、マーベル・フローズンから。

【ロール】
アメリカ人の観光客。

【マスターとしての願い】
ダーシュの元へ帰る。それ以外に望みなどない。

【方針】
呪文を温存しつつ、マスターを見かけたら積極的に殺す。誰かとの協力が必要なら協力するが、最終的には殺す。自分のサーヴァントにはあまり期待しない。

【把握手段・参戦時期】
第一部「闇の反逆軍団編」(1-8巻)終了後、第二部11巻で再登場するまでの二年間のいつか。ネイは2巻から登場。

◆◆◆

Twitter海で「京都聖杯にベルフェゴールを出したかったが断念した」というつぶやきを目にしたのでやった。マスターにネイを据えてバランスもいい。『BASTARD!!』はわりとすきな漫画だが、今どうなってるのだろうか。あの世界の悪魔はこういう存在なので超チートにした。「Fate VS BASTARD!!」とかいうスレがむかし存在したのを思い出したのもある。おれはカタツキに詳しくないので奥ゆかしくしておく。個人的には異能バトルの基準がジョジョなので、あまりチートにすると扱いにくいが、亜種聖杯にはばかすかチート野郎が集まってくるし、これぐらいよかろう。扱えるなら扱ってみろ。

ネイの呪文や技はここを参考にした。

おれが京都聖杯に投下した主従はここまでだ。次からは天国聖杯だ。

【続く】

つのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。