ブルネット・ヴァーサス・エイリアン
どこまでも青く乾いた空。太陽に熱く灼けた赤い岩山。埃っぽい大地に深々と広大な谷をえぐり、流れる大河はコロラド川。ここはアメリカ、大西部、アリゾナ州はグランド・キャニオンだ!
「クソ野郎が! タマ置いてけェ!」BRATATATATATATATATATATA!
「タマ置いてくぞ! クソビッチ!」BRATATATATATATATATATATA!
「AAAARGH!」通りすがりのプテラノドンが流れ弾を食らって即死!
ブルネットの美女が、モヒカンの男を追っている! ブルネットは円盤型飛行銃座に仁王立ちで乗り、ハンドルを掴んで機銃を操作、モヒカンの飛行銃座を撃ち落とさんとする! モヒカンは後方に銃弾をばらまき逃走中だ!
「空中警察(エアマッポ)呼んだぞクソ野郎! 脳ミソファックされろ!」
「マッポが怖くて空賊(ゾク)がやれっかァ! 全員ぶっ殺したらァー!」
「AARGH!」通りすがりのケツァルコアトルスが流れ弾を食らって即死!
ブルネットの美女・ブルネットは、執拗にモヒカンを追う。彼女は暗黒都市ラスベガスの賞金稼ぎだ。当然エアマッポは呼んでいない。分け前を取られる。ただのブラフだ。
「鬼さんこちら!」モヒカンが岩陰へと誘う! だがその時!
KRAAASH!二人の飛行銃座が岩に引っかかり、乗り手を振り落とす!「「え」」両者は空中に数秒とどまったのち、重力に負けて落下!
「「アーーーーーーーーッ!?」」
乗り手なき飛行銃座が崖に激突!
KA-BOOOOOOOOOOM!
「痛つ……ファック!」ブルネットは赤い砂の中から身を乗り出した。
やられた。このまま洞窟に巣食うアホどもに捕まって、かわりばんこにファックか? ふざけんな。さいわい腰には銃がある。モヒカン野郎はどこか別の場所に墜ちたか。
ブルネットは砂を払って立ち上がり、目を丸くする。
「……なンだァ、こりゃ」
彼女の目の前には、古代エジプト風の巨像が柱めいて立ち並んでいた。
【続く/800字】
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