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忍殺TRPGリプレイ【スタンド・オア・ダイ】01

邦題:立ち向かうか、死ぬか(Stand or Die)

Origa - rise

 ドーモ、三宅つのです。これはネヤ=サンのシナリオ案「フォールス・ウインター#10-A:オペレイシヨン・グレイストーン」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。

by Bing Image Creator

 PCたちが「鷲のニンジャ」として、巨大な陰謀に巻き込まれていくキャンペイグンの第十話となります。上掲の記事はそのストーリーに関する重大なネタバレを含むため、読む場合はご注意ください。つの次元では三人のニンジャがこのキャンペイグンに挑んでいますが、前々回からチームが二つに分断されています。今回は彼女です。

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◆デッドリーパー(種別:ニンジャ)
カラテ      11    体力       14
ニューロン     6    精神力       7
ワザマエ     12    脚力        6/N
ジツ        3    万札        2
DKK       0    名声       10

攻撃/射撃/機先/電脳 12/16/ 7/ 6
回避/精密/側転/発動 13/13/14/ 9
即応ダイス:3 緊急回避ダイス:2

◇装備や所持品
▶「鷲の腕」LV1(テッコ):カラテ判定と回避+1
 ▷ブラック・ブースター:シナリオ中1回限り(現在使用不可?)
  体力1を消費し、その手番だけジツ値を+1する
   4以上になった場合は任意の★~★★★系のジツを一時的に獲得
  または ジツによって与えるダメージを最初の一発だけ+1
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定+1、射撃時さらに+1

◆チャカガン×2:二挺拳銃、射撃難易度H、連射2、マルチ・時間差可、側転難易度+1
 射撃スタイル:ダブルターゲット 最大2体までの敵を標的にできる
◆近代的タクティカルニンジャ装束一式:体力+3、緊急回避+2、射撃+2
 脚力ダメージ軽減1

◇ジツやスキル
☆ヘンゲヨーカイ・ジツLV3
◉◉タツジン:ミリタリーカラテ
 装備銃器が基本射撃難易度H以上であれば射撃難易度-1
 拳銃・二挺拳銃・ライフル装備を「素手状態」とし、装備ペナルティ無視
 隣接した敵にも射撃可能 所持銃器のカスタムパーツが武器スロットを消費しない
 ●移動スタイル:アサルト・タクティクス
  移動フェイズに通常移動しながらグレネードを1個まで瞬時使用可
 ●戦闘スタイル:オートマチック・ピストルカラテ
  カラテかワザマエで素手の近接攻撃を行う(ワザマエ使用時は殺伐なし)
  出目6で痛打+1 二挺拳銃装備時は攻撃難易度+1、連続攻撃+1
 ●ワザ:ロウレス・フロンティア ターン中1回まで
  回避出目65+で迎撃発生時、迎撃を2ダメージ(回避H)とする
 ●テイクカバー:状態異常を受けていない場合のみ使用可
  射撃回避判定直前に使用宣言し、射撃ダメージ軽減1をフェイズ終了まで獲得
  ターン終了まで不覚状態(敵からの攻撃・射撃難易度-1、能動的行動難易度+1)

◉ウィークポイント射撃:射撃出目66で痛打+1(モブなら即死)
◉電光石火:イニシアチブ+1、側転+2
 側転成功時に出目666なら回避ダイス3、6666なら4獲得
●連射2、連続攻撃2
○生い立ち:キラーマシーン教育
◉知識:セキュリティ、カチグミエリア 記憶
◉忠誠心:鷲のニンジャ 精神力+1

能力値合計:35

 前回の冒険でアシッドウルフから離反した形となり、ドラゴングラスによって瀕死に追い込まれますが、サークル・シマナガシに救出されました。部位損傷(頭部痛打)はシマナガシによる治療とニンジャ回復力により治したものとします。報酬や余暇はなく、成長もしていません。スシは消費しました。

 では、始めます。

◆◆◆


「う……!」デッドリーパーは誰かに背負われて揺られながら、朦朧とした意識を繋ぎ止めようとする。頭が割れるように痛い。『鷲の腕』からは苦痛を和らげるべくさらなる薬物が注入されるが、彼女はジツで肉体を変化させて、それを排出している。傭兵たちは倒したが、追手はまだ来るだろうか。

 そして、ドラゴングラス。あの腕を持つということは、アシッドウルフの部下の一人だ。ビクターは装着していたか定かでないが、彼も『鷲の腕』からの薬物などで洗脳されているはずだ。ならば自分がビクターを殺したアナイアレイターと行動を共にしていることは、彼からボスへ報告される。

 こうも重傷を負った以上、しばらくフィルギアたちの世話になり、ネオサイタマに潜伏するしかあるまい。その後に何をするべきか。フィルギアの言う事もどこまで本当か。全て嘘なのか。真実はどこに。まだ何も結論は出てこない。次はただ……自分が聞いた事を、他の誰かにぶつける番だ。

ダンゴウ

 数日後。ネオサイタマ最大級の繁華街ネオカブキチョの一角、特殊歓楽街ニチョーム・ストリート。フィルギアたち独立ニンジャ愚連隊「サークル・シマナガシ」は、反体制違法放送レディオ「キツネ・ムレ・チイサイ(KMC)」のクルーたちとともに、ここに身を潜めていた。

 セクシャルマイノリティのヘイヴン(安息の地)であるニチョームは、自治会を通じた強固な団結力、顔役にしてヨージンボであるネザークイーンの交渉力と武力によって、自由と独立、政治的中立が保たれている。ネオカブキチョにひしめくヤクザクランも、ソウカイヤさえも手出しは出来ない。

 お尋ね者が身を隠すには適した場所だ。だがここへ逃げ込んだ以上、表立ってアンタイセイ行為をすることも出来ない。ニチョームの中立と独立を脅かす者は、自治会とネザークイーンから丁重にお引取りを願われる。実際危ういバランスの上にある平穏なのだ。「……で、これからどうすンだ」

 アナイアレイターは、ベッドから身を起こしたデッドリーパーに問う。頭部に負った重傷は手当てされ、ニンジャ耐久力により急速に治癒していた。右腕の黒い特殊テッコ『鷲の腕』は残っているが、その周囲には肉や羽根が盛り上がり、猛禽類の脚部を思わせる姿となっていた。「わからない」

 デッドリーパーは髪をかきむしる。頭はまだ混乱している。自分はアシッドウルフを裏切ったのか?フィルギアたちを信じていいのか?答えはまだ出ない。フィルギアは窓辺に座り、無言で外の様子を伺っている。ルイナー、スーサイド、デリヴァラーは別の場所にあるKMCのアジトを警備中だ。

 その時。デッドリーパーのIRC端末が無音で振動し、着信を知らせる。通信が途絶していたアシッドウルフからのIRCコールだ。デッドリーパーは震える手で端末を掴み、コールに応じた。「……モシモシ」『指定する座標に来い。そして、乗れ』通話はそこで途切れ、座標情報が送られてきた。

 デッドリーパーはそれを数秒で記憶し、通信データは消滅した。逆探知を避けるため、アシッドウルフは常にこうする。「……どうする。誘き寄せて始末する気か、それとも」「……行くしかない」デッドリーパーは立ち上がった。彼と対峙し、話がしたい。自分にとっての真実を獲るために。

https://note.com/neyagawanyan/n/n4924f4bdebae

「一人では行かせたくないな」フィルギアは笑った。「俺もついていくよ。蛇とかに変身してさ」「俺も」アナイアレイターは立ち上がろうとする。「目立つから、ここにいたがいい。ヤバかったら連絡する」「どうせヤバくなるだろ」「たぶんな。ニチョームでは仕掛けて来ないだけマシだが」

 サイバネ腕やIRC端末を通じて、アシッドウルフにはデッドリーパーの位置はわかるはずだ。ドラゴングラスからの情報で、アナイアレイターたちと同行していることも伝わっているはず。もしこちらがアシッドウルフの立場なら……デッドリーパーを始末するだろう。それだけの戦力はあるはずだ。

 説得で改心させられるような相手ではない。カラテで敵うとも思えない。それでも……会って、話をしなければならない。

???

 指定された座標は、ネオサイタマ中心市街地の地下。複雑怪奇に張り巡らされた地下鉄の路線を駆け抜け、下水道やパイプやLANケーブルを伝って奥へ奥へと進むと、巧妙に偽装され隠蔽された古い輸送線路と駅舎が見つかった。『100年ぐらい前の隠し地下鉄だな』フィルギア蛇が背嚢で呟く。

イメージは元シナリオから。以下同じ。

 そこには無人の貨物列車が停車していた。『乗れ』というのは、これに乗れということだろう。デッドリーパーは頷き、しめやかに貨物列車へ忍び込んだ。内部に生命反応は……2つ。一方からはアシッドウルフのニンジャアトモスフィアを感じるが、もう一方は死にかけているように微弱だ。

 ごとん、ごとん、ごとん……貨物列車は動き出した。デッドリーパーは注意深く前方の車両へ、生命反応を感じる方へ動いていく。「来たか」不意に前方車両で影が動き、立ち上がった。「待っていたぞ。ドーモ、アシッドウルフです」「……ドーモ、デッドリーパーです」互いにアイサツを交わす。

???

 両者はしばし無言で対峙していた。「……他の二人は?」デッドリーパーが尋ねる。「無事だ。別の任務を遂行させている」アシッドウルフは淀みなく答えた。嘘はないようだ。「……私、は」デッドリーパーは言い淀んだ。「ビクター=サンを殺してはいない」「わかっている。既に伝え聞いた」

 アシッドウルフは頷いた。「ビクターはいずれ始末するつもりだった。手間が省けた。ゆえに咎めるつもりもない。ドラゴングラス=サンはやつの裏切りを知らなかったし、少々やり過ぎたようだ」「……」デッドリーパーは汗を垂らす。手強い。どこまで知られていて、どこまで話せばいいのか。

「だが……ビクターを殺したやつとつるんでいたな。何を吹き込まれた?」アシッドウルフは殺気を飛ばす。「その腕もどうした。俺を裏切る気か?」「……質問が、いくつか」「お前の心の乱れがそれで収まるなら、答えられる範囲で答えてやろう」アシッドウルフは促す。「この列車の目的地は?」

「答えられないが、あるものを運んでいる。必要なものを、必要な場所へ。付け加えると、積荷を狙う敵に襲撃される危険性がある。それを護衛させるためもあってお前を呼んだ」「敵は、オナタカミ?」「そうだ。ブラックサイトを襲撃したのも……正確には、オナタカミの背後で糸を引く連中だ」

 アシッドウルフは次々と情報を開示し、デッドリーパーの思考を、言葉を誘導していく。赤子の手をひねるように。「それが何者かは、いずれわかるだろう。俺の目的は変わらない。『鷲のニンジャ』として、この世界をあるべき姿に戻す。お前に与えた目的もそれだけだ。後は自由にするがいい」

 デッドリーパーは黙り込んだ。アシッドウルフは一方的に話し続ける。「俺を裏切って、どうする。オナタカミやソウカイヤに尻尾を振って、カネと別の首輪が欲しくなったか? それともストリートのヨタモノに惚れ込んで、反抗精神が芽生えたか? お前に目的とカラテを与えたのは、誰だ?」

 アシッドウルフは対話に結論を出す前に、胸ポケットから何かを取り出した。それを投げ渡され、デッドリーパーは思わず受け取った。彼女の掌の上にあったのは……黒い、小さな錠剤であった。

「使命を受け入れ、俺に着いてくるのであれば、それを飲め。裏切るのならば捨てろ。飲まずに懐にしまい込んでも構わんぞ」黒い錠剤の内部には蠱惑的な鋭い輝きがある。明らかに『鷲の腕』に仕込まれていた液体と同じ、洗脳のための薬剤だ。これを飲めば、デッドリーパーの自我は……その時!

???

 ニンジャ第六感が何らかの危機を伝えた。アシッドウルフは先頭車両のある進行方向へ飛び離れた。デッドリーパーは逆方向へ。二人の間の横の壁が歪み、外から突き破られる。それは……ロケットランチャーの弾頭だ!

 KABOOOOOOOM!

「ンアーッ!」『グワーッ!』車内で爆発!衝撃で走行中の車両が捻じれ、脱線!火花を散らしながら線路を引きずられ、それを錨として列車全体を停車させた!次の瞬間!カッ!カッ!カッ!線路の左右の闇からサーチライトが照射され、列車を照らし出す!『『『ザッケンナコラー市民!』』』

 ナムサン!オナタカミ・トルーパーことハイデッカー部隊だ!さらに奥からは複数のニンジャらしきアトモスフィアも!「先頭車両へ走れ!」アシッドウルフが指示を飛ばす!忌々しいが、この状況では彼に従うのが最善手!「了解!」デッドリーパーは答え、駆け出す!一触即発アトモスフィア!

戦闘開始

【続く】

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