忍殺TRPGリプレイ【コンスピラーシィ・セオリー】04
前回のあらすじ:女ニンジャ・デッドリーパーのボス、アシッドウルフ。謎多き彼の正体についてフィルギアから告げられた彼女は困惑する。続けてやってきたニンジャたちは、彼女が「監視役を殺してアシッドウルフに反逆した」と告げた!次々に降りかかる事態に翻弄される彼女の運命は?
◆
「AAAARGHHHHH!」アナイアレイターは距離を取り、大気中の風のエテルと重金属粒子から無数のスリケンを生成!『フォハハハハハハ!畏レヨ!』ゴウランガ!フマー・スリケン・ジツだ!狙うは重傷を負ったマスペイン!BOBOBOBOBOBO!「グワ、アババババーッ!」ナムアミダブツ!昏倒!
「イイイヤァアアアーーーッ!」デッドリーパーはコマめいて回転しつつマスペインへカイシャクせんとす!「ブッダ!」ソージュンがかばう!ガガガガガガガッ!全て捌き切りカイシャク阻止!タツジン!「ま、マッタ!ここまでだ!」ソージュンは掌を向け降参した。二対一では流石に無理だ!
「逃がすと思うか、クソが……!」アナイアレイターは獣めいてよだれを垂らし、金色の瞳でソージュンを睨む!コワイ!デッドリーパーもピストルカラテの構えを解こうとしない。「ま、待て!我々は傭兵に過ぎん!」『困るなあ、仕事はちゃんとしてくれなくっちゃ……』カツ、カツと靴音が響く。
靴音と声の主は、マスペインが来た方から歩み寄って来た。仕立ての良い黒いスーツを纏い、襟元には『SP』と刻まれた銀色のピンが取り付けられ、片手はオブシダンめいた黒く美しいサイバネ腕。その顔はオニめいた異様なフルメンポで覆われているが、おそらくさっきの家紋タクシーの中の男だ。
『ドーモ、初めまして。僕はドラゴングラスです』
◆ドラゴングラス(種別:ニンジャ)
カラテ 10 体力 11
ニューロン 13 精神力 19
ワザマエ 9 脚力 5/N
ジツ 5 万札 50
攻撃/射撃/機先/電脳 14/10/14/15
回避/精密/側転/発動 16/ 9/ 9/19
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定+2、イニシアチブ+1
▶▶▶「鷲の腕」LV3(テッコ):カラテ判定と回避+3
◇ジツやスキル
☆ヒカリ・ニンジャクラン、ジツLV5
☆結晶の槍:攻撃時に精神力1を消費し発動(H)
術者を中心とする2マスの範囲内にダメージ1+回避ダイスダメージ1(回避H)
★結晶の鎧:手番開始時に精神力2消費し発動(H)
ジツ値の端数切り上げ半分(3ターン)持続
ダメージ軽減1、受けた近接攻撃1発につき攻撃者へ1ダメージ(時間差、回避N)
☆◉フォノン・カラテ:素手の近接攻撃に装甲貫通1、回避ダイスダメージ1
集中時は出目65+で殺伐発生
●ワザ:コンビネーション・ランスキック 出目665+で発生
攻撃終了時、さらにランスキックを放つ(回避H)
◉◉グレーター級ソウルの力:ニューロン+ジツ=精神力
◉ニンジャソウルの闇(1):体力・攻撃・射撃・発動+1
◉邪悪なサディスト
◉◉タツジン:アイキドー
●ジャスト防御:回避判定ダイスの成功数が、
攻撃側成功数を1個だけ上回っていた場合、迎撃の回避不能
●戦闘スタイル:アイキ投げ 出目6を含む近接攻撃に弾き飛ばし追加(方向任意指定)
●ワザ:当て身返し カウンターカラテが2ダメージ(ジャスト防御は1)
回避されなかった場合、敵を任意の隣接マスに動かし攻撃フェイズを強制終了させる
●ワザ:ソードブレイカー 近接攻撃、出目665で発動
殺伐出目5の両腕破壊(回避H)、敵を任意の隣接マスに強制移動
●ワザ:カタパルト・スロー カウンターカラテの出目66で発動
2ダメージ(回避H、ジャスト防御なら2ダメージかつ回避不能)
敵を任意の方向へ弾き飛ばし、攻撃フェイズを強制終了 ターン中1回限り使用
ジャスト防御でも弾き飛ばしに対する激突回避は可能
◉翻弄:自分よりイニシアチブが低い敵への攻撃・射撃+2
◉挑発
●連続攻撃2、連射2、時間差、マルチターゲット、ニンジャ第六感
能力値合計:42
???
「……ドーモ、アナイアレイターです」「デッドリーパーです」二人はアイサツを返す。「ドーモ、ソージュンです!スミマセン、我々だけでは……」ソージュンは相棒のマスペインをかばいつつ雇い主にオジギした。『ハハハ!マジか!君たちでもたいして相手にならないかァ!』彼は嘲笑う。
「その、腕は」デッドリーパーはドラゴングラスのサイバネ腕を指差す。自分と同じ、アシッドウルフに与えられた……否、勝手に押し付けられた『鷲の腕』だ。『そう、これ。アンタも僕もお仲間ってわけだが……君は裏切り者だ』「違……!」デッドリーパーはそう言いかけ、ぐっと飲み込んだ。
自分は、どうする。アシッドウルフをこのまま裏切るのか?仲間たちとも離れて、フィルギアの陣営に加わるのか?それともソウカイヤに?『違わないね。どの道……』「ダラダラ喋って、仲間が来るまで時間稼ぎか?」アナイアレイターがしびれを切らし、体中から生やした鉄条網をざわめかせる。
殺せるか。やや厳しい。少なくともビクターよりは強い。こちらにはデッドリーパーがいるが、向こうにはソージュンもいる。まだ仲間を呼ばれるかも知れない。さっさと逃げて、スーサイドたちと合流しなければ!『さて、どうするか。小手調べに戦ってみるか』ドラゴングラスはカラテを構えた。
『ソージュン=サン、その死にかけのアホを連れて逃げるなら今のうちだ。仕事を達成できなかったんだから、カネは払わないぞ』「アッハイ」ソージュンはマスペインを背負った。命あっての物種だ。「テメエだけで、俺たちとやるのか」アナイアレイターは苛ついた。どうも癇に障る相手だ。
ミシリ。ドラゴングラスの足元の強化コンクリートが悲鳴をあげた。油断ならぬカラテだ。「やるぞ」「ええ」二人もカラテを構える。……再び大気にカラテが満ちる!一触即発アトモスフィア!
戦闘再開
3ターン目
『GRRRR……AAARGHHHH!』ドラゴングラスは咆哮し、全身を暗黒結晶体の鎧で覆った!そして!『イヤーッ!』BOOMBOOM!色付きの風と化してデッドリーパーへ迫り、恐るべきチョップを繰り出す!特有の周波数で振動し、強固な装甲をもトーフめいて切り裂く「フォノン・カラテ」だ!
狙うは頭部!さらにコンビネーション・ランスキック!当たれば重傷はまぬがれない!……どくん!デッドリーパーの心臓が強く拍動し、アドレナリンが過剰分泌される!彼女は血涙を流しながら、迫りくる死の刃を……「イヤーッ!」紙一重でバック転回避!ワザマエ!「AARRRGHHHHHH!」
アナイアレイターは金色の目を輝かせて咆哮!全身から鏖殺鉄条網を放射した!ZBBAABABABABABA!「グワ、アバババーッ!」ソージュンは慌ててマスペインをかばうが重傷!大きく体勢を崩す!『フン』だがドラゴングラスは全身を覆う暗黒結晶の鎧でこれを弾く!ともになんたる恐るべきジツ!
「イヤーッ!」デッドリーパーは……ドラゴングラスには向かわず、ソージュンへ飛びかかりテッコ・チョップ!SLAASH!「アバーッ!」サツバツ!ソージュンの右腕が切り飛ばされ、宙を舞って下水に落下!大量に出血し、もはや二人とも瀕死だ!「アバッ……ブッダ……!」なんたる無慈悲!
「ヌウーッ……!」ソージュンは左手で傷口を抑え、うずくまる。このままでは死ぬ!ならば……「セイヤッサーボンジャン!」彼はボンジャン・カラテのシャウトを放ち、跳躍!下水道の壁を蹴ってデッドリーパーへトビゲリを放つ!SMAAASH!「ンアアアーッ!」命中!かなりのダメージだ!
4ターン目
『ハハハ!その調子だ!死ぬ気でやれ!』ドラゴングラスはくぐもった声で嘲笑い、デッドリーパーのほうを振り返る!『イイイ……イイイヤァアアアーーーッ!』BOOMBOOM!フォノン・カラテ・チョップの連打!さらにヤリめいたキックが襲う!SLASHSH!SMAASH!「ンア、アバーッ!」
サツバツ!デッドリーパーは顔面に痛烈な振動チョップを食らい、ニューロンをかき回される!さらにキックがみぞおちに叩き込まれ、弾き飛ばされてウケミもとれず壁に激突!KRAAASH!「ゴボーッ!」吐血!即死はまぬがれたが一気に瀕死だ!「す、スゴイ……!」ソージュンは思わず驚愕する。
「AARGHHHH!」アナイアレイターはデッドリーパーの傍らへ跳躍し、ソージュンとマスペインめがけフマー・スリケンを連射!BOBOBOBOBOBO!「グワ、アバババーッ!」ナムサン!ソージュンはマスペインをかばうが、捌ききれぬ!無数のスリケンが全身に突き刺さり昏倒!戦闘不能!
「ハァーッ……ハァーッ……!」デッドリーパーは血みどろになり、壁にもたれかかりながら素早くスシを咀嚼した。カラテを挑めば返り討ちにされるだろう。ならば……「TAKE THIS!」BLAMBLAM!二挺拳銃を連射!『無駄だ』キキキン!銃弾はドラゴングラスの結晶鎧に弾き返されノーダメージ!
『ハハハ、カワイイことを。傭兵どもはやられたが、なんとか僕だけでも倒せそうになってきたな』ドラゴングラスはくぐもった声で嘲笑う。「クソッタレ……!」アナイアレイターは鉄条網をざわめかせ、デッドリーパーをかばう。事情はどうあれ、ガキを目の前で殺されるのは気に食わないのだ!
……その時!
???
ヒュルルルル……カランカランカラン!『ヌウッ!?』ドラゴングラスの足元に、遠くから何かが投げ込まれた。ナムサン!閃光手榴弾だ!
FLASH!KABOOOOOM!『ヌウウッ!』「「「グワーッ!」」」「ンアーッ!」閃光と大音響が下水道に鳴り響き、視界を遮る黒煙が発生!その場の全員が悶え苦しむ!「「イヤーッ!」」同時に二つのシャウトが響き、アナイアレイターとデッドリーパーを担ぎ上げた!「逃げるぞ、バカ野郎!」
ルイナーとスーサイドだ。帰りが遅いのを心配して、フィルギアが迎えに行かせたというところか。「「イヤーッ!」」四人は煙に紛れて下水道の奥へ逃げ去った。『チッ、仲間か……まあいい、行かせてやるよ』ドラゴングラスは舌打ちし、肩をすくめた。『また会うこともあるだろうさ!』
戦闘終了
エピローグ
「う……!」デッドリーパーは誰かに背負われて揺られながら、朦朧とした意識を繋ぎ止めようとする。頭が割れるように痛い。『鷲の腕』からは苦痛を和らげるべくさらなる薬物が注入されるが、彼女はジツで肉体を変化させて、それを排出している。傭兵たちは倒したが、追手はまだ来るだろうか。
そして、ドラゴングラス。あの腕を持つということは、アシッドウルフの部下の一人だ。ビクターは装着していたか定かでないが、彼も『鷲の腕』からの薬物などで洗脳されているはずだ。ならば自分がビクターを殺したアナイアレイターと行動を共にしていることは、彼からボスへ報告される。
こうも重傷を負った以上、しばらくフィルギアたちの世話になり、ネオサイタマに潜伏するしかあるまい。その後に何をするべきか。フィルギアの言う事もどこまで本当か。全て嘘なのか。真実はどこに。まだ何も結論は出てこない。次はただ……自分が聞いた事を、他の誰かにぶつける番だ。
【コンスピラーシィ・セオリー】終わり