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【FGO EpLW アルビオン】第十一節 Back In Black

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(前回のあらすじ:アサシン・マスカレードを倒した一行を、突如ランサー・マジェスティが襲撃。英霊たちは次々と倒され、消滅。マシュはランサーに気絶させられ、宝具を奪われ、連れ去られる。)

◆◇◆◇◆◇

黒い水が跳ね上がり、地面から何かが出現する。
南にやや離れた場所……『イングルウッド墓地』に放り出されたのは、マスター、エピメテウス、ブリアレオス・アバター。『先を読む』のではなく『考えるより先に動く』エピメテウスなればこそ、一瞬の判断で退避出来たのだ。

「おい、チクショウ、これだけか! マシュは!」
「「「あやつらが盾になってくれたから、われらが逃げられた。ほかは諦めよ」」」
「ざけんな! ここから触手伸ばして連れて来いや!」
「「「そうもいかぬ」」」

マスターは目を血走らせ鼻血を流しながら、ガチガチと歯噛みする。怒りより恐怖の方が強い。まさかイシュタムとウェンディゴが、あんなにあっさりと。セイバーが殺られた感覚がある。アイアンサイドも……ダメだろう。しかもだ。

「ほかはともかく、マシュはやられちゃマズいんじゃねぇか……カルデアと、完全に繋がらなくなっちまう」

マスターが念話を飛ばす。一応仮にも契約を結んだ相手。生きているか、死んでいるかぐらいは分かるはず。
「……セイバーはやられたが、マシュは生きてるみてぇだ。感覚でわかる。ダメージはあるが……」
『取り返しに行くしかねえだな。生きてりゃだが』
「このメンバーでか。しかしあの金ぴか野郎、何なんだ…… ……!」

マシュと、あの男の気配が消えた。死んだわけではなく、連れて行かれたようだ。どこかへ。
「……くそったれ、どうすんだ。さっきのとこへこのメンバーで戻っても、そのまま全滅だろうが」
『新しい英霊を探す……ちうても、なあ』
「アーチャーどもは会話にならねぇしな。このまま、どこか他の特異点に移動するか……」

「よ。」

一行の目の前に、痩せた黒人の男が突然現れた。

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途端に周囲が薄暗くなり、亡霊や蛍光緑色の01が飛び交う、虚数空間に転移する。

「……来やがったな、ウォッチャー」

ウォッチャー、バロン・サムディは、いつものようにニヤニヤと嗤う。
「おうよ。いつものデウス・エクス・マキナ様さ。オレ様と墓地とは深ぁい繋がりがあってね。よく来た、よく来た」
「知らねぇよ、偶然だろ。だが、いいとこへ来てくれたぜ、今超ピンチなんだ。なんとかしてくれ」
「オレ、ほんとはあんまり大きく関わりたくはねえんだがな。つまんなくなるし。だが今回は特別だ、このままだとあんたらが全滅で終わっちまう」

そう言って、ふっと真顔になる。彼にとっても嫌なヤツというのは、いるらしい。
「あいつは、『ランサー(槍兵)』のサーヴァント。真名は『コンスタンティヌス大帝』さ」

マスターが息を呑む。
「……えれぇ大物だな。俺ですら知ってるぜ、そいつをよ」
「そ。4世紀前半のローマ皇帝にして、キリスト教を公認・庇護し、『新ローマ』ことコンスタンティノポリスを建設し……、なにより『聖なる槍』の持ち主のひとりだ。あいつのおっかさんが、十字架の破片とかと一緒に発掘したってことになってる」
「キリストをぶっ刺したっていう、あれか」

エピメテウスが相槌を打つ。
『ンだな。手に入れた者が世界を支配する、聖杯と並ぶ超弩級の聖遺物。でもって、この世界のは……』
「マシュお嬢ちゃんやダ・ヴィンチちゃんがいりゃあ、話は早かったんだが。軽く説明しとくとよ、聖槍は『塔(タワー)』の相を持つ」
「塔(タワー)? なんだそりゃ」

マスターの問いに、ウォッチャーが顎を人差し指でかき、鼻で笑う。
「おう。セカイの果てにあってセカイを縫い止めるセカイだかなんだかってセカイよ。詳しくはFateのwikiでもググって読みな」
「妙なメタ発言はやめろ。俺は今、スマホも持ってねぇ電子原始人なんだ、口で言えや」
「あー、説明しにくいんだよ。厨ニラノベ設定の最たるもんだしよ、口にするだけで恥ずかしくって、オレ……」

饒舌に喋り倒すウォッチャーとマスターに対し、ブリアレオス・アバターは腕を組んでだんまりだ。いや、おもむろに口を開く。
「「「……なんだか知らんが、そのランサーを倒すには、どうすればよい」」」

ウォッチャーがぐりん、と顔をアバターに向ける。
「んんん、あんたらじゃ無理だね。オレでもちょっとやりたくない。剣からビームを出すヤツとか、マシュちゃんがいりゃ良かったが。可能性があるとすりゃあ、ブリアレオス本体か……エピメテウス、お前さんだな。言いたいこと、分かるかしら」

『……なるほどな』

意味深に納得するエピメテウス。マスターにも……なんとなく、意は伝わる。オークの霊力が体内で燃えている。拳をばしんと掌で打つ。
「よーし、手段はあんだな。相手が皇帝だろうがなんだろうが、マシュを取り返して、あの野郎に報復してやらなきゃ気がすまねぇ。ウォッチャー、早いとこランサーの居場所へ俺らを送りやがれ」
「気が早いねぇ、エピメテウスかよ。そのまま行けば全滅だってのに。……だもんでオレ様、強力な助っ人を用意してあげました。おっと、アバターはここまで。本体のとこに戻りな」

ぶん! とウォッチャーがステッキを振ると、ブリアレオス・アバターが消え去り……代わりに三人の影が出現した。

「お……お前らは!」

褐色の肌に多少の髭を蓄えた、黒髪長身の青年。派手な仮面を被り、鎖帷子やマントを身に着け、馬に跨る。腰には二振りの剣。
「なんだ、もう私たちが必要になったのかい? 少しはいい顔になったじゃないか」

銀髪碧眼で、冷ややかな表情の少女。背はやや高い。髪型は辮髪おさげ。軽装の革鎧を纏い弓矢を持ち、馬に乗る。
「……また女の体か……いい加減にせんか、貴様」

鷲鼻で肌の浅黒い、中年の小男。口髭を生やし、歯が欠けていて、杖を突いている。愛嬌はあるが酷薄そうで、全体的に胡散臭い。
「やあやあ、お久しゅうございますな」

セイバー『エル・シッド』、アーチャー『冒頓単于』、キャスター『インド人』……もとい『チャーナキヤ』。これまでの特異点で残してきた英霊たちだ。マスターは……ちょっと首を傾げる。アバターやオークよりは強そうではあるが。

「んー……インド人はともかく、なァ……相手がアレだしなァ……」
マスターの呟きに、アーチャーが顔をしかめ、セイバーが鼻を鳴らす。キャスターはあたりをキョロキョロ見回す。
「おやおや、いきなりご挨拶。ランサー殿とかはやられてしまったのかい?」
「喚ばれたからには戦うまでだ。相手とは何者だ」
「そも、ここは特異点なので? なにやら薄暗いのですが」

三騎の英霊に問いかけられ、マスターは困惑する。
「ああっと、どこから話せばいいんだ。おい、ウォッチャーかエピメテウス、詳しく伝えとけよ」
「お前さんの仕事だろ、頑張りな。オレはあんたらを、あいつのいる場所へ導いてやるぜ」
「どこなんだ、そこは」
「ウフフ……すげえところさ。これまで数多の英雄、超人、凡人が送り込まれ……帰る者少なし……」

ウォッチャーがせせら笑い、掌を虚空に翳す。01が集まり、銀色の鏡を形作る。その上には……こう、記されていた。

始祖ブリミル降臨暦6423年

人理定礎値:ERROR!!

永焉交叉立方体 アルビオン


◇□◇


……遥か彼方に、光り輝く、天空高く聳える高い塔。ひどく見覚えがある。その下に、城壁に囲まれた町がある。

青い空には、赤と青の双つの月。空気は薄く、冷たい。足元は雪の残る地面。濁った大きな川がこちらへ流れて来ている。振り返ると、後ろは断崖絶壁だ。川はそこから、遥か下へ流れ落ちる。

……立てている。右膝と右肘は、いつの間にか治っている。なぜ。傍らには、あのランサー。わたしの宝具を身に着けている。

「おかえり、ランサー。そしてようこそ、ご客人」

小馬鹿にしたような、声変わりしていない声。

いつの間にか、一人の少年が、手を後ろ手に組んで立っている。金髪の白人で、細目。身に纏うのは軍服。ニヤニヤと笑いながら、こちらを、わたしを見ている。認識している。強い魔力。サーヴァントでなければ、マスターか。彼は両手を広げ、右腕を優雅に胸の前に振り下ろし、丁重に挨拶した。

「やあ、カルデアのサーヴァント、シールダー。お初にお目にかかる」

歯を噛み締め、オジギしてアイサツを返す。
「ドーモ、シールダーです。……クラス名を知っているということは、ルーラーか、それに類する力を持つようですね。そちらも名乗って下さい」
少年は、肩を揺すって嗤う。
「ぼかァ、サーヴァントじゃあない。マスターだ。名前は……」
と、言葉を切って。ゆっくりと、名乗る。

「『ダニエル・ヒトラー』」

………ヒトラー。あまりにも有名な、その名字。それを持つ、この少年、ダニエルとは。纏っている軍服は、確かに……歴史資料などで見た、あの時代のドイツのもの。ヒトラー・ユーゲントの。

「いろいろ聞きたいことがありますが……ここは……どこなのです」
どうにか、声を絞り出す。ダニエルは笑って答える。
「ここはね。砕けしアルビオンの首都。ロンディニウムだ」
「ロンディニウム。ロンドンの古代の名、ですか。アルビオンということは、ここは……イングランド、あるいはブリタニアなのですか」
「ちょいと、違う。んん、説明が難しいな。まあ、地球でのイングランドに相当する土地、というか。特異点ではなく、異世界なのさ」
「わかりかねますね。では……」

ダニエルが掌を突き出し、大仰に横に振る。
「ああ、ああ、待ち給え、シールダーくん。一つずつだ。こちらが一つ答えたら、キミも一つ答えてくれ。今、ぼくは三つ答えた。名前、場所、イングランドか否か。これから三つ答えてくれ」
「……いいでしょう」
こちらのペースを握ろうというのか。しかし、問答は必要だ。彼が何に興味があるのか、知らねばならない。彼は……敵、だ。

が、ダニエルは立てた指を握る。
「……今のところは、これでいい。貸しにしておこう。じゃあ、引き続きキミの質問を受けつけようか」
情報を得る権利を握ったつもりか。では、こうだ。
「……あなたのサーヴァント、このランサーの、真名を」

ダニエルは破顔し、手を叩く。
「ははは! 賢い娘だ。やり方がわかってきたようだね。問題ないから教えてあげよう。とっても有名人だ。彼の真名は『コンスタンティヌス大帝』。 これで四つ、キミから情報を得る事ができる。今は、貸しだ。さあ、他に何が聞きたい? マシュ・キリエライトくん」

わたしの真名も既に知られているか。つかつかと、ダニエルに歩み寄る。ランサーは動かない。
「自分で調べます。問答は充分」
ひゅっ、と拳を放つ。ダニエルは首をめぐらして避ける。もう片手で手刀。肘打ち。裏拳。膝蹴り。回し蹴り。全て避けられる。
「物騒だねえ。ぼくは千里眼なんだ。英霊が相手でも、何が来るかぐらいは手に取るように分かる」
「わたしは英霊。あなたは魔術師で、マスターで、アドルフ・ヒトラーの血族。ここであなたを殺せば、ランサーは消える。この特異点は消滅する。それで充分」
「殺せるもんならね」
破ッ!!
ダニエルが魔力の盾を展開し、わたしの崩拳(ポン・パンチ)を防御。互いに、ひゅっ、と後ろに飛び下がる。

英霊とはいえ宝具もなしでは、一筋縄ではいかない相手。超人のたぐいか。後ろから、右肩をランサーに掴まれる。
「それぐらいにしておけ。ダニエル、君もだ」
ボクン。
肩を外された。激痛に蹲る。右膝、左膝も、同時に踏みつけて破壊。心を、精神を折りに来るか。
「……ッ!」

◆◇

改めて、ランサーは気絶したマシュを担ぎ、ダニエルと共に『塔』へ瞬間移動する。ビッグ・ベンではない。ウェストミンスターやホワイトホールでもない。ロンディニウム、異世界のロンドンにおける『ロンドン塔』に相当する地。そこに聳え立つ塔こそ、ランサーの宝具……『聖なる槍』だ。

◇◆

しばらくして……ゲートを通り抜け、マスターたちもアルビオンに現れる。

「……ちっと、寒ぃな。LAは蒸し暑いぐれぇだったのによ」
「儂にはちょうどよいな。で、アルビオンとはどこだ」
「大ブリテン島(グラン・ブレターニャ)の古名だね。始祖ブリミルとかは、知らないが……」
「6423年などという遠未来には見えませぬな。見たところ牧歌的な風景で、あの塔が気になるぐらい」

口々に喋る英霊たち。ウォッチャーは見えない。後はなんとかしろと言うことらしい。

『ン……あれだな、「聖なる槍」は。あの塔だ。あそこにマシュが捕まってるはずだ』

――――その上空。黒雲が集まり、雲の隙間に数十の目が煌めき、触手が這い出す。あれが降りてくるのを待ち、混乱に紛れて敵を倒す。それしかない。それと……

「……月が、二つあるな。ニルンじゃあるめぇし」

◆◇

光り輝く塔の麓、ロンディニウム。教会の尖塔に黒い影が一つ、ガーゴイルめいて蹲る。その輪郭はぐねぐねと蠢き、目は熾火の如く輝く。手足には鈎爪。降り注ぐ聖なる光の中、その周囲だけ闇夜が残っているかのよう。

『グググ……グググググ……』

影が呻き、唸る。忌々しげに聖なる塔を見上げ、牙を剥く。

『殺すべし……英霊殺すべし……』

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ルイズが、おれの道を教えてくれる(非逆噴射聡一郎)

彼の国の神々は、単純で理解しやすい。主神はクロムと呼ばれて、高い山嶽の上に住み、その頂から、裁きと死の宣告を下す。クロムの神に祈願をこめるのは無意味である。なぜかというに、これは気むずかしい荒ぶる神で、なによりも弱者を嫌う。しかし、人間が生まれるにあたって、勇気を授け、敵を打ち殺す意志と力をあたえてくれる。
――――『象の塔』より、ロバート・E・ハワード

よくきたな。おれは逆噴射聡一郎ではない。またのなを必殺カンフー公証人KARARUDOという。おれは毎日かなりな量のテキストを書いているが、誰にも読ませるつもりはない。しかし今はとくべつだ。あまりに込み入った状況で、多少の解説が必要だからだ。

いいか。おまえがこれから挑むべきメキシコは、地球上ではない。へい行世界、異世界だ。おまえもよくしっているはずだ。おまえはハルケギニアをしっているだろう。なんおくねんも前、カンブリアきの海にせいそくしていた、あのいきものではない。しっているはずだ。なんかピンク色の髪をした平坦なハーマイオニーないしオルガマリーを。ナーガっぽい褐色の豊満なベイブと、長門やマシュっぽいこどもを。やつらは十ねん以上前、魔法を使ってたくさんのおれたちを異世界に償還した。そこがハルケギニアだ。

おまえはしっているはずだ。そのいにしえのものがたりを。
たくさんのおれたちがよび出されたにもかかわらず、ほとんどは金髪のいきったあわれなガキ(声だけはマーリンだ)をぶちのめしたところで終わり・・・・それから先にすすめば、きょだいゴレムを作ってせめてくるベイブをすごいちからでやっつけ・・・・いけすかない仮面の男がうらぎったのでぶっとばし・・・・おまえの記憶はこのへんで途切れる。黒髪の豊満なメイド、豊満な王女、豊満なエルフ女、金髪男のかのじょ、伊藤誠声のイタリアじん、ハゲたメガネおとこ、ふとっちょのかぜっぴき、でこっぱち王女をおぼえているか。おぼえていないか。しらないか。せいぜいそんなところだ。よくゆわれるように、いま流行っているなろう系伊勢界転生小説ミームのいくらかは、直接てきにはハルケギニアでじょう成されたとゆうことが完全に照明されている。いま、おまえはそこへ立ち返るときがきたのだ。

あのころはほんとうにいろんなやつがよばれていた。だがほとんどのやつが、途中で永遠にうごかなくなった。たくさんの青どうにんぎょうがぶっ壊され、ときどき金髪のいきったあわれなガキがころされたりしたが、そのあたりでそうなるのだ。ただたんに、ピンク毛がどかーんと商館して、ののしったりなぐったりけったりして、やりかえしておわるのさえある。よほど進んだやつでも、七万人に一人で挑んだあとぐらいで永遠にうごかなくなってしまう。話はそこで尻切れになり、メキシコでたおれて乾いた骨になり、だれもかいりみない。だれも完結した話が読みたいから、小ネタでもいいから完結した話ばかりをよむ。やがて読み手や書き手は、なろうやカクヨムへ流れていく。

WHY THE END OF MEXICO・・・?
たいていの奴は金髪のガキをころしたあたりでスカッとしてうっぷんをはらす。それでおわる。あとも先もかんがえない。なぜか? 金髪のガキが、おまえにとって最大で最後の敵だからだ。こしぬけの貴族、イケメンのモテ男、なんとか勝てる程度のつよさとあほさ。こいつをぶっ殺せば、あとはおなじだ。ゴレムつかいだろうと仮面のおとこだろうと、おまえはぶっ殺せる。おまえの手の甲に令呪めいたなんかが現れてひかると、すごいパワが湧いておまえはスーパーマンになれる。ゼロファイターに乗ってドラゴンをうち落とし、ミサイルサーフィンし、ティーゲルせんしゃでファンタジーガンダムをふっとばすこともできる。おまえはあらゆるおんなにもて、SACUSESし、貴族になり、領地をもらい、そして・・・・たくさんの妻や子やまご、ひまごに囲まれて、年老いて死ぬ。おまえの新たな人生はそれで終わる。途中で動かなくなった話は、そのみらいが見えているから、わざわざそこまで書く労力を惜しんだだけだ。

では、そこから先に進めることができたやつは、なぜとちゅうで終わったか? これは世界にふかいりし過ぎ、風呂敷を広げすぎたせいだ。広げたからには畳まねばならないと思いこんで、めんどうくさくなり・・・・酒とベイブにおぼれ、ツイッターにこもり、YouTubeをザッピングし、みかん農園ではたらき、妻をめとり、子をもうけ、年老い・・・・大勢の家族にみとられ、しんだのだ。何の慰めにもならないが、こういうことは商ぎょう作家にもよくある。レオナルド・ダ・ビンチだって、たくさんのみかん制作を残している。もちろん作品のレベルが神だから、やつの評価が微塵も下がるわけではない。おれやおまえはダ・ビンチではない。ただの無名のレオナルドやアーノルドのひとりにすぎない。みかん制作を残したからって偉ぶるな。ダ・ビンチや州知事になってからゆえ。

では、どうするか。まずは短編をたくさんかけ。毎日だ。長編に挑戦するのはそれからだ。短編からいろいろアイデアも出て来る。短編の集まりを、ひとつの長編として再構成することも可能だ。蛮人コナンのように。整合性はてきとうでいい。おまえが真の男なら、その作品には自然と一本の太い芯が通るはずだ。自分で納得できる量とクウォリティで、手綱を取り、ゴールまで走らせ、おわらせろ。それでおまえにはすごいEXPがはいり、レベルアップし、毒吐きに対する耐久性とかがじょうしょうする。書きもしないクレーマーがなにかぶつくさ言ってきても、きにするな。どうせそいつらはじぶんの毒にあたってメキシコでしぬ。書いたのはおまえであり、やつらではない。ひとを棒でなぐるやつは、いずれその棒でなぐられる、と聖書にもある。まずは目から針をぬけ。ファボやスキがすくなくても、きにするな。心のまずしい者はきょ無におちいり、おんだんなみかん農園で労働バーをまわすことになるだろう。

何も解決していないようでも、とりあえずおわらせることはできる。続編を匂わしたままお蔵入りにしたって、それはそれで構わない。よくあることだ。キャラクターたちの人生は、生きていればその後も続く。おれたちが見たり書いたりしているのは、かれらの人生の、広く長い世の中の、ほんの一部分だ。ヒストリエにも書かれている。むかしトラクスのやつとか書いていたのもおれだ。本人がゆうのだからまちがいない。ひまなら読んでみろ。

なお、おれはエピロわでは毎回ぜんぶ書き終えてから陶工するようにしている。これなら話にまず筋が通り、読み直して手直しすることもできるし、透過も短い間隔で可能だ。おれがそうしたいからしているだけであって、他に方法があればおまえの好きなようにすればいい。荒木ダ・ビンチ飛呂彦などは描きながら物語を考えるとゆう。また、大いなる逆噴射聡一郎=センセイの知恵を借りるのもいいだろう。決めるのはおまえだ。書くのもおまえだ。おまえ以外の誰でもない。クロムはおまえにひつような全てを与えた。馬にのり、剣をふるえ。銃をうて。おまえはメキシコのバンデラスだ。カンパとキーノも忘れるな。

では・・・・もし終わらなければ、どうなるか? 放置されたその世界はどうなってしまうのか? みかん制作品は一概に無価値ではない。存在するだけで、発ぴょうされているだけで、何事にもなんらかの価値や意味はある。電子の海とかに漂うそれを、誰かが見つけておもしろがり、続きを書いてくれるかも知れない。虹創作や三次捜索であり、ミームの継承・拡散、カルマの輪廻だ。しかし、それは誰かの養子になった、おまえの子だ。おまえの子がおそるべき変容をとげ、奇怪なそんざいに堕落していくのを、おまえはいつか見るだろう。それがいやなら、おまえはシヴァガミのように炎を背負い、おまえのマヘンドラを両手で掲げろ。矢を受け、川に沈みながらも、おまえは子を生かせ。ユーサーのように雄々しく戦って子を守り、彼のために剣を残せ。筋肉ムキムキに成長したアーサー・バーフバリは、おまえの剣と王国を正しく継ぐだろう。

かくごしろ・・・・これからおまえが進むのは、おそるべき世界だ。なにしろ、永遠の世界なのだ。おれがそれをつくりだし、きょ無のあんこくにときはなってしまったのだ。そこではすべてが止まり、永劫につなぎとめられる。放置されて十年が過ぎゆくうちに、原作者の二人は鬼籍に入ってしまわれた(片方はもともとオヒガンにちかいそんざいだったが)。そして、おれは、こんなだ。このままではおれはビルビル触手北斎に襲われ、締め切り探偵の義眼光線で焼き尽くされて灰になる。そうなるまえに、おれはアクロバティックな方法で・・・・・

ザザッ

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