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【聖杯戦争候補作】Dancing Mad

 夜空を見上げれば、無数の星々が見える。視線を下げれば、地平線の彼方まで続く大都市が放つ光の群れ。どちらも、界聖杯(ユグドラシル)が作り出した幻影なのだろう。

 東京。以前住んでいたことはあるが、どうやらだいぶ様変わりしているらしい。2021年、ということは、1999年から20年以上も未来。確かに見たこともないものが氾濫してはいるが、フィクションが思い描いていたような姿でもない。腕時計を指でいじる。応答なし。

「……宇宙船を呼ぶのも、無理そうですね……」

 少年は、ため息をついた。色素の薄い体毛、緑色の瞳。長髪で長身に学生服。日本人離れした容姿だ。その耳は少し、尖っている。

「全く、なんということでしょう……! こんな殺し合いの場に、わたしが喚び出されるだなんて……! これが地球人のしわざであれば、付き合い方を考えるところでしたが、宇宙的な自然現象だというのならば、運が悪いというだけなのでしょうか……?」

 眉根を寄せ、顎をさすり、与えられた情報の整理と状況の把握に務める。

「……ウッ!」

 少年は、眼下の都市から鳴り響いて来た不快な波長の音に顔をしかめた。消防車か救急車か、パトカーかのサイレンだ。体が震え、蕁麻疹が出る。近くでないのが幸いだ。両手で耳を塞ぎ、指を耳の穴に突っ込む。

「ぐううッ……! なんてことだ……! 一台や二台じゃあないぞ……! この街は大きすぎるし、何か、事件や事故が多すぎる……!」

 少年はたまらずうずくまる。このままでは危険だ。ビルの中に隠れ、サイレンが鳴り止むのを待つしか無い。彼の肉体が衣服ごと歪み、ほどけ、板状になって移動し始める。スケートボードに変化したのだ!

『まってー……』

 滑走するスケートボードが止められ、持ち上げられる。小さな手で。

 それは、小さな女の子だった。妖精のような。金髪で緑の瞳、あどけない表情。可愛らしくふわふわした服装。少年は直感的に理解した。彼女は自分に与えられた英霊―――サーヴァントだと。こんな無力そうな少女が。

 そうだ、自分はここへ、彼女と夜空を観に来て、突然記憶が戻って……! それはともかく、今は!

「は、離して下さい! わたしはあの音を聴くと、体中に蕁麻疹が出て……アレルギーなんですッ!」

 スケートボードがほどけ、少年に戻る。その顔は歪み、脂汗を垂らしている。肌には無数の蕁麻疹。吐き気がして、頭が痛む。

『あのおと、きらいー……?』
「そうですッ! だから、聴こえないところへ行こうと……!」
『きこえなくすれば、いい……?』

 少年は……直感する。彼女は何か、危険な力を持っている! もしここで言うべきことを誤ったら、取り返しのつかないことが起きる!

「……そうですね。わたしの……耳の方を。あの波長の音だけ聴こえなくなれば、あるいは、このアレルギーが根本的になくなれば、安心です。あれは『サイレン』……この街の人々に危険を知らせているものですから、止めたり破壊したりすれば問題でしょう……」

『わかったー……しゃがんでー……』

 少女は少年をしゃがませ、小さな手で両耳に触れる。すると、たちまち蕁麻疹は消え、アレルギー症状が収まっていく。

「……まだ聴こえるのに……!? 治った!? これは、あなたの力!?」
『そうだよー……おやすみー……』

 少女は大きな目を閉じ、ふらりと倒れそうになる。少年は彼女を支え、抱き上げた。眠っている。力を使ったせいか。彼女は自分のために、願いを叶えてくれたのだ。

「感謝します……。わたしも何か、恩返ししなくては……!」

 ここは既に戦場。ほおっておけば戦いは激化し、あの『サイレン』で救える人々をも蹂躙するだろう。自分と彼女に何が出来るか。まずは、彼女の力を把握しなければ。

「あの……すみませんが、名前を教えていただけませんか。わたしはヌ・ミキタカゾ・ンシ、マゼラン星雲から来た宇宙人です。年齢は216歳です」

 少女は薄く目と唇を開き、真名を告げた。

【クラス】
フォーリナー

【真名】
遊佐こずえ@アイドルマスターシンデレラガールズ

【パラメーター】
筋力E 耐久E 敏捷E 魔力EX 幸運EX 宝具EX

【属性】
混沌・狂(善?)

【クラス別スキル】
領域外の生命:EX
 詳細不明。恐らくは地球の理では測れない程の生命を宿している事の証左と思われる。睡眠によって異相の存在と接触している可能性がある。

神性:B
 異邦の神と接し、その影響を受けているが為に、フォーリナーはそれ由来の神性を帯びるようになる。自覚はない。タコ系のアレなのか顔のないアレなのか、寝ながら踊っているアレなのか定かでない。

狂気:C
 理性による力の枷が外れており、攻撃性が高くなっている。人間を容易く狂わせる狂気を放つ彼女自身もまた、狂気に陥っている。それほど攻撃性が高いわけではなく、常に眠たがっている。

【保有スキル】
無垢なる魔王:A
 本人の意思に関係なく、風評によって真相を捻じ曲げられたものの深度を指す。このスキルを外すことは出来ない。彼女の魔力の源でもあり、自在に姿や衣装を変え、マスターに求められれば様々な魔術(まほう)を操ることができる。代償として、力を使うと眠くなる。

磨かれた蝋板:A
 タブラ・ラーサ。いかなるものでも瞬時に記憶し、理解し、完璧に演技してのける異能。宝具まではコピーできないが、再現可能なスキルであれば一度見れば大概できるようになる。容姿や文章、言葉なども一度で記憶する。ただし、意識して「覚えよう」としなければ発動しない。

【宝具】
『妖星乱舞(ほしにねがいを)』
ランク:EX 種別:対軍宝具 レンジ:2-100 最大捕捉:100
 夜空に願いを捧げ、標的に向けて流星群を降らせる。おそらくは相当の被害を与えることができるが、滅多に使わない。

【Weapon】
 なし。マジカルステッキや衣装などを適当に作り出すことが出来る。

【人物背景】
 ゲーム『アイドルマスターシンデレラガールズ』シリーズに登場するアイドル。属性はキュート。年齢11歳、身長130cm、体重28kg。CV:花谷麻妃。高知県出身で魚座のB型。自分の年齢についてうろ覚えだったり、口調がひらがなばかりでぽやぽやしてたり、すぐに眠くなったり、アイドルや趣味という言葉を理解していないなど(のち理解)、心身ともに11歳の女子としては不相応に幼い。服も母親が着せてくれるほどだが、台本の内容を一読で暗記し、演技力は脚本家が驚くほど完璧という天才児。

 また「ここじゃないところからきた」と発言したり、虚空をじっと見つめたり、常人とは異なる振る舞いを見せる。そのためか妖精や魔法少女、宇宙人、神、魔王、邪神といった人ならざる者の役割を演じることが多い。彼女が願い事をすると流れ星が流星群になるといった描写もある。ここに顕現した英霊としての彼女は、そうした彼女のミステリアスな一面が「偶像(アイドル)」へ捧げられた無数の思い、非凡な演技力と結びついて生じた(もしくは「繋がった」)ものと思われる。ある意味でアルターエゴだが、今回はフォーリナーとして出現した。

【サーヴァントとしての願い】
 ねむい。わからない。

【方針】
 ねるー……。ようがあればおこしてー……。

【マスター】
支倉未起隆(はぜくら・みきたか)@ジョジョの奇妙な冒険第四部

【Weapon・能力・技能】
『アース・ウインド・アンド・ファイヤー』
破壊力・スピード・精密動作性・成長性:C 射程距離:なし 持続力:A

 自らの肉体や身につけているものを、別のものに変身させる能力。スタンド能力なのか、そうでないのかは不明。変身させたものはスタンド使い以外にも見ることができるし、接触も可能。手の一部を複数のアイスクリームに変えて食べさせたり(冷たいし味もする)、全身を縮めてスニーカーやサイコロに変身させたりもでき、変身したまま飛び跳ねたり話したりも自在。他人に身に着けてもらうことで、人間の倍のパワーを出すこともできる。

 体積や体重は物理法則を無視して相当に縮小できるが、機械など構造が複雑なもの、自分以上のパワーを出せるものには変身できない。また「地球人の顔は見分けにくい」ため、他人に変装しても耳が尖っているなど違和感のある姿になる。おそらく自分の体積や体重を超える大きなものにも変身できない。質感は模倣したものをほぼ完全に再現できるが、あくまで彼の肉体なので、サイコロ化した彼を転がし過ぎると目が回ってゲロを吐くし、攻撃を食らえば痛がり、普通にダメージを受ける。

 また体質の問題により、消防車や救急車、パトカーなどのサイレンの音を聴くと体中に蕁麻疹が出て苦悶し、変身していた場合は変身が解けてしまう(変身して逃げ出すことは可能)。現在はフォーリナーがアレルギーを治したため、大丈夫である。

【人物背景】
 漫画『ジョジョの奇妙な冒険』第四部に登場する人物。CV:加瀬康之。長身で彫りが深く、薄い色の長髪をオールバックにし、耳は尖っている。UFOや☆など宇宙モチーフのアクセサリーがついた改造学生服を着ている。

 自称「宇宙人」。本名はヌ・ミキタカゾ・ンシ、年齢は216歳。職業は宇宙船のパイロットで、マゼラン星雲のとある星から宇宙船に乗って地球の調査のためにやってきたと称する。趣味は動物を飼うことで、カバンの中にハツカネズミを一匹飼っている。血の色は赤い。

 性格は掴みどころがなく、サイコロやティッシュを知らないなど一般常識に欠けているが、言動は礼儀正しく紳士的で温厚、悪人では決してない。能力を戦闘や私利私欲のために使うこともない。ただ自分が「宇宙人である」ことには一片の疑念も持たないため、本気にしてしまう人もいる。彼の母親は「息子が人様をからかってる」と言っているが、彼は「彼女は自分が洗脳して母親だと思い込ませている」と発言している。真実は不明。

 思い込みの激しい地球人なのか、本物の宇宙人なのかすらわからないが、スタンドは初期には見えなかったものの、後から見えるようになったらしいので、出自はともかくスタンド使いなのではないかと思われる。

【ロール】
 高校生。自分を宇宙人だと認識している。母親(?)がいる。

【マスターとしての願い】
 帰還。困っている人々を助けてあげたい。

【方針】
 協力できそうな人、困っている人を探す。

【把握手段】
 原作。単行本40巻で初登場。

【参戦時期】
 不明。第四部本編終了後か。

 こないだデレステで出た彼女がやたらクトゥルフめいていて、しばしばフォーリナー呼ばわりされていたので、試しにフォーリナー化してみた。デレマス世界にはモノホンのサンタクロースがいたり、いろいろファンタジーなため、実際宇宙や海底、オヒガンからの存在である可能性も否定できない。アイドルとは偶像であり、人の思いを良くも悪くも集めるものだ。おれは彼女についてあまり詳しくない。何か間違っていたらすまん。

 マスターは宇宙人繋がりでこいつだ。不思議ちゃんだしコピー能力者だしで、こずえが成長したらこうならないか心配だ。戦場なので常にサイレンが鳴り響いていて、こいつには辛いが、こずえがなんとかしてくれた。ふたりとも特に悪意や欲望はないので、人助けをすることになるだろう。

【続く】

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