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キービジュアルは子どもたちと一緒に作った【Xlimitアートディレクター:早瀬真菜美】

こんにちは!
Xlimit編集部です。

Xlimit(エクスリミット)は、ストリート系のキッズファッションブランドです。
ファストファッションよりもオシャレで、周りの子たちとかぶらない洋服を探していた方はぜひXlimitで洋服を探してみてください!

そして今回はXlimitのキービジュアルなどをプロデュースした、早瀬さんにインタビューしてみました。
鮮やかな黄色と散りばめられた色とりどりのボール、そして楽しそうにジャンプする子どもたちが印象的なキービジュアルですが、どうしてこのようなクリエイティブにしたのかなどを聞いてみましたよ!


Xlimitというブランド名になった経緯

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――早瀬さんはフリーランスとして活躍されているクリエイターですが、Xlimitにはどういう経緯でジョインしたのでしょうか?

私が大学生の頃の話になるのですが、実はXlimitを運営している株式会社ワールドエッグスに在学中に働かせてもらっていたんです。
そしてそのまま新卒として入社させてもらったという経緯があります。

――そうだったんですね! デザイナーとして入社したんですか?

はい。ワールドエッグス初めてのデザイナーとして入社しました。
デザイナーという肩書きではありますが、企画提案、編集作業、進行業務など、デザイン以外の業務も含めた「考える」部分も担当させていただいていました。
なので今のようなAD(アートディレクター)のようなスキルは、ワールドエッグスで色々な経験をさせてもらったことが土台になっていると思います。

――ワールドエッグスにはどれくらいジョインしていたのですか?

一年半ほど社員として働いていました。
さまざまなことを経験させて頂いたのち、その経験を糧に一度ワールドエッグスを離れてデザイン制作会社へ転職しましたが、退職後もワールドエッグスの皆さんとは関係が続いており、とてもよくして頂いてました。
そして、その制作会社を退職してフリーランスになるタイミングで声をかけていただき、その流れでXlimitにジョインさせてもらうことになったんです。

――そういう経緯があったんですね! 早瀬さんがXlimitにジョインしたタイミングでは、すでにコンセプトなど固まっていたのでしょうか?

私がジョインした時点では、「子ども向けのアパレルブランドを立ち上げたい」「子供を応援するブランドにしたい」という、ブランドのコアメッセージは決まっていました。
そこから、ブランドチームの頭の中にあった、漠然としたイメージをヒアリングしながら形に落とし込む作業から始めることにしたんです。

――ではブランドの立ち上げ段階からジョインしていたんですね。

そうなんです。
どういうブランドを作っていくのか、どういうブランド名にしたら良いのかなどをブランドチーム内で話をして、それぞれの頭の中にあったXlimitのイメージを具体的に形にしていったんです。
新卒の頃、見た目のデザインを考えるだけでなく企画出しなどを通してコンセプトを考え、まとめる作業を任せていただいていたからこそ、この場面でも活かすことができた感じですね。
ブランドのコアメッセージをまとめていく中で、もちろんブランド名が必要になるので、「Xlimit」という名前を付けさせていただきました。

――そうなんですね! どういう思いがあってXlimitというブランド名になったのでしょうか?

みんなでブランド名の候補を出し合っていたときに、『Unlimited(アンリミテッド)』というワードが出てきて。
「限界を越える」というコアメッセージにも通じるし、良いね、という話になったんです。
ですが、この言葉をストレートにブランド名にしてしまうと、よく見るワードでもあるのでブランド名としては少しインパクトに欠けるな…と思って。
なのでアンリミテッドと同じような意味だけど、インパクトを与えられるような独自性のあるブランド名を考えた中に、limitを×で打ち消すという意味の『Xlimit』があったという感じです。

撮影成功の秘訣は子どもが楽しむこと?

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――XlimitのホームページやECサイトを見ると、イエローのキービジュアルが印象的ですが、このADをしたのが早瀬さんなんですよね?

はい、そうですね。
Xlimitはいわゆるスポーツブランドではなく、あくまでファッションブランドなのでスポーツに寄せすぎず、だけど子どもたちのアクティブな印象はしっかりと打ち出したいなと考えながら作りました。
男女の差を付けないジェンダーレスなブランドにしたいと思っていたので、男の子よりでも女の子よりでもない色をキーカラーにしたい。
なおかつ、子どもたちの、明るくて元気な印象にピッタリな色ということで、キーカラーをイエローにしました。

――確かにとても鮮やかで子どもたちの元気な感じも表現できてますよね!

ありがとうございます。
実は最初はロケで撮影したいと思ったのですが、撮影時期が冬だったので断念したんです。
枯れ木が背景だと元気な感じが表現できないので…。

――子どもたちがジャンプしているカットもとてもステキですよね! タイミングもピッタリ揃ってて凄かったです!

実は子どもたちのカットは一人ひとり別で撮影してるんですよ。
トランポリンを使ってジャンプしてもらってるんです。

――そうだったんですね! しかもトランポリンを使ってるって驚きです。

あそこまでジャンプするには、トランポリンが大事だったんですよね。
モデルの子どもたちもただジャンプするより、トランポリンを使った方が楽しむことができるのではないか、とも考えました。

ただ、ジャンプしながら良い顔を撮るのは結構難しくて…。
モデルの子どもたちには、何度もジャンプをしてもらって、たくさん良い表情をいただきました。…ちょっと疲れさせちゃったと思います(笑)

――そうやって完成したのが、あのキービジュアルだったんですね。撮影までにはどんな準備をしていたんですか?

まずはどのようなビジュアルにしていくのかを、打ち合わせで意見を出し合いました。
その中で決まったのが、明るく元気なイメージにする」「動きがあるビジュアルにする」という2点でした。
撮影前には、より具体的にイメージを固めるために既存の写真を使って合成作業を行い、完成ビジュアルにできる限り近づけた仮の写真を作ります。ジャンプしている人物を入れたり、ボールの画像を入れたり、ライティング(撮影時の照明)のイメージを掴むために影も入れたり。
この合成作業で、ほぼほぼ完成に近いイメージまで落とし込んでいたので、完成ビジュアルのイメージ共有は撮影前までに終わっている状態だったんです。

――なるほど! そこまでしてたら撮影後に「ちょっとイメージと違う…」ってことが起きにくいですもんね。

そうなんです。
完成図ができているので、これを作るにはどれくらいのスタジオが必要で、撮影小物は何が必要でっていう意思疎通も取りやすくなりますしね。

そこまで準備した段階で、カメラマン選定をしたり、キッズモデルを選定したりという作業を行って撮影当日を迎えたという感じです。

――早瀬さんはキッズモデルの撮影慣れてるんですか?

いえ、全然です。
むしろ私は子どもがあまり得意ではないので、どういう風に接すれば良い現場になるだろう? とずっと考えていました(笑)。

――えぇ? そうだったんですね。では子どもがメインの撮影に挑むにあたり、大変だったことや気遣ったことなどを教えてください。

どうすれば子どもたちと対等に撮影にのぞめるかなって考えたときに、大人として子供と接するのではなく、自分も子どもになって子どもと接すれば良いんだって思ったんです。
なので、子どもたちが心から撮影を楽しんでもらえるように、自分も思いっきり楽しむことにしたんです。
例えばポージングの指示をするときに、自分も一緒になってやってみたり、良いポーズが出来た時は同じ目線で「すごい!かっこいい!」と一緒に喜んだりしました。
そうすると子どもたちも楽しみ始めて、最初はぎこちなかったポージングが、撮影が進むにつれて大人のモデルさん顔負けの撮れ高があったんです。

――子どもたちに楽しんでもらうことがポイントだったんですね。

そうだったと思います。
トランポリンの撮影の前は、一緒にジャンプしたり、バドミントンをして遊んだりしました。
そうやってみんなで和気藹々としている風景をふと客観的に見たときに、「Xlimitが考えていること、思想がこの空間に体現されているな」と思ったんです。
一緒に楽しむ、「できたね!」と成長を喜ぶ。
まさにこれだよな〜と。
撮影終了時には、子どもたちが帰りたくないと駄々をこねていたので、それだけ楽しいって思ってくれたんだと知って、今回のキービジュアルは子どもたちにとっても大切なものになるぞ! と気合いが入りましたね。


――キービジュアルと連動したコンセプトムービーも公開されていますよね。このムービーでこだわった部分を教えてください。

子どもから出てくるパワーを、激しく動くモーショングラフィックスで表現したいと思いました。
たくさんの色のスプラッシュが弾けるモーションがありますが、あれは子どもたちの無限の可能性を表現しています。
子どもってまだ何色にも染まってないじゃないですか。
これからどんな色にもなることができるし、壁なんてぶち壊すくらいの激しさをあのコンセプトムービーでは表現しました。
まさに、Xlimitのメッセージにある「限界を超えていけ」をビジュアル化した感じです。

みんなの思いを形にするデザイン

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――キービジュアル以外にはどのようなクリエイティブがあるのでしょうか?

Xlimitを購入してくれた方に配送するボックスやショッパーは、私が直接デザインしました。
打ち合わせ中に梱包素材が必要だという話になり、「こういうデザインにしたいな」という漠然としたイメージが自分の中にあったので、このデザインに関してはディレクションではなく、私が直接デザインすることにしました。

――どのようなデザインにしようと思ったんですか?

シンプルだけど、かっこよく見えるようなデザインにしようと思いました。
今回作成したボックスやショッパーといった梱包素材は、予算にもよりますが大体1〜2色で作ることが多くて。
なので印刷可能な限定された色味の中で工夫して、いかにスタイリッシュに見せることができるか? がポイントになります。
その上で、色数が少なくてもバッチリかっこよく見えるように制作し、現在のデザインになりました。

――早瀬さんはその限られた制約の中で、どのようにデザインしたのでしょうか?

まずボックス自体のベースカラーを選べるのですが、白を選択し、そこにイエローのインクでデザインを刷っています。
さらに、黒のインクで文字を印刷したブルーベースのステッカーをボックスに貼ることで、印刷に使用する色数を最小限に抑えながらもパッと見たときの色数が多いように見せています。
限られた条件の中でも、工夫次第で色々とできるのがデザインの楽しいところだと思います。

――本日はデザインに関することをたくさんお聞きしましたが、早瀬さんがデザインをする上で大切にしていることはなんでしょうか?

一言でいうと『調和』ですね。
私が得意とするのは、みんなの頭の中にぼんやりとあるイメージに具体的な形を与えるようなデザインなので、基本的にそこに「自分の表現」は入れないようにしています。
プロジェクトに携わっているみんなの意見を組み合わせてまとめるようなイメージですね。
そのためには、デザイン作業だけではなく、企画もやるしライティングもやる、ネーミングを考えたりもします。

――言われたイメージに近づけるだけじゃないんですね!

そうですね。
デザインをして欲しいと思っている人の中にも、思いや背景がありますしそれをしっかりとヒアリングをして形にしたいと考えています。
やりたいことは決まってるけど、どう表現すれば良いのかなかなかまとまらなかったり、見た目のイメージはあるけどそれを上手く伝えられなかったり。
そういった人の話を詳しく聴きながら、私が代わりに形にしていく、というイメージです。

Xlimitに関してもそうで、ブランドチームが元々持っているブランドに対する思いや希望に形を与え、それをエンドユーザーに届けるための最適な仕上がりを目指す、という作業の繰り返しですね。
そんなみんなの思いをデザインという手段を用いて形にする。
それが私の考えるデザインです。


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