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夕遊の漫画cafe

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大好きな漫画その他をここにまとめておきます。本当は、ここに書ききれないくらい好きな作品がたくさんあるのですが...
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#おすすめマンガ

とうもろこしも神様。特別展『古代メキシコ マヤ、アステカ、テオティワカン』

子どもの頃に見た、アニメ『アンデス少年ペペロの冒険』。「黄金のコンドルよ~♪」のオープニングソングと、ラストの黄金のとうもろこしエピソードは、なぜか強烈に印象に残っています。特別展『古代メキシコ』。ようやく行くことができました。 とはいえ、今のメキシコっぽいイメージは、大好きな岩本ナオさんの『マロニエ王国の七人の騎士』の動物の国。ここでジャガー王と対面できる期待に、わくわくして出かけました。 アメリカ大陸で、独自に発展した「もう一つの文明」メキシコ。ヨーロッパとはまったく

台湾の伝奇ミステリー『守娘』小峱峱

表紙の美麗さに、迷うことなく入手した台湾のコミック。水墨画のようで、ちゃんとマンガだけど、アーティスティックな線描写がとてもステキです。時代は清朝。日本でいうと、江戸時代。日本の植民地になる前のお話。 台南の杜家の娘・潔娘(ゲリョン)はやさしい兄に可愛がられて育ちました。当時としてはめずらしく、読み書きができて、纏足をしない。これだけ聞くと客家っぽいですが、周りの親戚はそれをよく思っていないのが少し謎。どういう家族&親戚設定なのか、日本語版だとイマイチわかりません。原作だと

黒博物館シリーズ『ゴーストアンドレディ』藤田和日郎

黒博物館シリーズは、19世紀のイギリス伝奇アクション。ロンドン警視庁の犯罪資料館「黒博物館」にいわくつきのモノを見るため、いろんな人がやってきます。毎回お出迎えしてくれるのは、かわいい学芸員(キュレーター)さんです。 本作で訪ねてきたのは老人で、彼のお目当ては1856年に王立ドルリー・レーン劇場に残された「灰色の服の男のかち合い弾」。その男(グレイ)は、劇場に出る縁起の良い幽霊で、生きているときは決闘代理人。芝居が大好きで、幽霊になってからも100年近く演劇を見ていたグレイ

自然の恵みと山の村の暮らし。『リトル・フォレスト』五十嵐大介

以前から気になっていたけれど、きっかけがなかったマンガ。映画館で見た韓国リメイクの予告編があんまりきれいだったので、ようやく読みました。この『リトル・フォレスト』は田舎の農作業の日常が、地道に技術的に淡々と描かれていて、ファンが多いのも納得の内容。マンガの舞台は岩手がモデルとのこと。 私は信州の山のムラで育ったし、祖母の山菜採りや農作業、保存食作りにつきあわされた経験があるので、ムラのご近所とのやりとりも、町とムラの生活の差も、いろいろわかる部分があります。 山のことにつ

シルクロードや中央アジア好き、歴史好きにはたまらない作品『乙嫁語り』森薫

京都国際マンガミュージアムで開催中の「大乙嫁語り」展に行ってきました。森薫さんといえば、絵の旨さで同人活動中にスカウトされ、『エマ』がアニメ化され、海外でも熱狂的なファンの多い方。テーマについて、論文や専門書を読み込んで描く作家さんとしても有名。とあるラジオに出演したときには、「海外で村上春樹並に作品が売れている漫画家さん」と紹介されるほど海外でも人気。 そんな森薫さんが、10年前から大好きな中央アジアを舞台に描く歴史&恋愛物語は、1巻発売当時から全て初版で持っています。学

北海道を旅したくなる名作でした。『ゴールデンカムイ』野田サトル

『ゴールデンカムイ』は、日露戦争後の北海道を舞台に、アイヌが隠した大量の金塊を探す物語。戦争帰りの元日本兵杉元佐一とアイヌの少女アシリパのバディものでもあります。明治日本の歴史文化紹介と北海道サバイバルに、アイヌ文化&グルメ紹介などなどを追加して、とにかく内容てんこ盛りの作品。読んでいると、ものすごく北海道に行きたくなります。 アイヌに関しては専門の中川裕教授が監修されているので、専門性もバッチリです。主人公の相棒アシリパちゃんは賢くて強い(というか、たくましい)。父親直伝

印刷会社のお仕事マンガ。『刷ったもんだ』染谷みのる

『刷ったもんだ』は、とある印刷会社に就職した元ヤンお姉さんの熱いお仕事コメディです。本好きにとって、印刷屋さんはすごく興味深いところだし、文章を書く人間にとっても、印刷屋さんは足向けて寝れない業界ですが、実は知らないことだらけ。このマンガは、それをコメディタッチで教えてくれます。 印刷会社もいろいろ。『舟を編む』に出てくるのは大手出版社の編集さん(文字中心)+紙質に対応してる工場の人ちょこっと。『校閲ガール』だって、出版社の中で基本文字対応のドラマでした。だから、原稿をしあ

SFかと思ったら寓話のような現実でした。『銃座のウルナ』伊図透

主人公のウルナは孤児で、自分を育ててくれた教会や友達を守るために、志願して兵隊になります。長い間、戦争ばかりしている祖国が、女性ばかりを配属する先は、雪深い島で、敵は口だけの大きな怪物たち。なぜ、彼女たちは化け物と闘わなければいけないのか。読み進めていくと、驚愕の事実がわかってきます。 辺境の部隊にいる女性兵士たちの、悲惨な人生がやさしい筆致で描かれていています。最初の戦場シーンはSFかな(?)と思うような場面が続きます。1930年代と思うような、雪深い、きれいな風景と、対

おとなのための青春ファンタジー。『町でうわさの天狗の子』岩本ナオ

ファンタジーなのに、妙に現実があって、でも独特の浮遊感ある作品です。昔話と少女漫画を合体させたような、不思議な魅力があります。天狗が住んでいて、それをみんなが受け入れている町っていうのも、すごくファンタジーなのに、なぜか自然。 物語の舞台は、ある中国地方っぽい田舎町。父親は、天狗になった元人間で何百年も生きています。母は、年上好みのしっかり美人。主人公の秋姫は、二人の間に生まれた娘で、力自慢。でも、お山で修行するのが嫌で、父親のような天狗になりたくなくて、怪力じゃない普通の