マガジンのカバー画像

夕遊の中国旅

184
中国大陸とその周辺に関連する本や映画の話題を集めてみました。
運営しているクリエイター

#中国

近現代日本の偽史とオカルト文化『隠された聖徳太子』

ブラジル出身のオリオンさんの聖徳太子本。出る前から、どんな本になるのか楽しみにしていまし…

夕遊
10日前
26

中国のプロパガンダシステムの全体像をインタラクティブなモデルに整理した画期的な「…

Australian Strategic Policy Institute(ASPI)は2024年5月2日に中国のプロパガンダシステム…

27

ファンタジーと歴史とSFと。ケン・リュウ『母の記憶に』古沢嘉通他訳

有名すぎるくらい有名なケン・リュウの小説。これまで、なかなか時間とタイミングがなかったで…

夕遊
4週間前
41

「14億分の10憶」のリアル『中国農村の現在』田原史起

読む前から、間違いなく田原先生の本なら面白いだろうなと期待させられる本。そして、実際隅か…

夕遊
2か月前
37

耽美をめぐる社会情勢と魅力『BLと中国』周密

以前から興味を持っていた分野なので、すごく読みたかった本ですが、発売前から重版がかかるほ…

夕遊
2か月前
53

ノスタルジー上海。『長恨歌』王安憶(飯塚容訳)

予備知識ゼロで手に取った、王安憶の長編『長恨歌』。白居易の『長恨歌』と同じ名前の現代小説…

夕遊
3か月前
34

【香港島】天官賜福。筲箕湾の道教寺院(廟祠)めぐり。

2023年夏、仕事ででかけた香港島。せっかくの機会に、飛行機までの半日を観光しないわけにはいきません。早朝から、トラムに乗って香港島を横断して、終着点の筲箕湾の道教の廟めぐりをしてきました。目的はなく、単純にトラムにのって散策したかったので。 ちょっと想定外だったのは、地下鉄に比べて(当たり前だけど)2階建ての路面電車トラムはゆっくりだったこと。ほぼ西端からスタートしたので、反対側の終点まで1時間かかってしまいました。ゆっくり香港島を横断見物できたのはいいけど、帰国当日の観

ポップな懐かしさ。『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』康鍩錫

台湾の裏通りや下町を歩いていると、レトロな建物や壁、看板があって、歩きながらみているだけ…

夕遊
4か月前
71

『踊る大捜査線』エッセンスも楽しめる密室殺人ミステリー『厳冬之棺』孫沁文(阿井幸…

最初のページからひきこまれる、一気読み必至の良質なエンタメです。文章のテンポがよくて、構…

夕遊
5か月前
32

「中国」との相克の戦後史。『台湾のアイデンティティ』家永真幸

タイトルを見たときは、現代台湾事情を中心にビギナー向けにまとめた本なのかなと思いました。…

夕遊
5か月前
32

ダサいけど無視できない。『戦狼中国の対日工作』安田峰俊

今から50年ほど前、当時国交のなかった中国と交渉するために訪中した田中角栄は、ホテルの部…

夕遊
6か月前
32

音楽のアレンジャーという仕事。『音楽と契約した男』瀬尾一三

私が中島みゆきさんが好きだったのは、中学生から高校生にかけて。(写真はなけなしのお小遣い…

夕遊
3年前
60

”無常”という冥界の使者『中国の死神』大谷亨

評判がよい本はぜひとも読みたいです。この本を読むまで、中国には無常(むじょう)という地獄…

夕遊
7か月前
34

中華ファンタジー・ロボットSF『鋼鉄紅女』シーラン・ジェイ・ジャオ(中原尚哉訳)

中国の歴史に多少知識がある人なら、武則天と、李世民と、朱元璋と、諸葛亮と司馬懿に安禄山まで出てくる、英語で書かれたヤングアダルトってわくわくするのではないでしょうか。しかも、歴史物ではなく、朱雀や白虎、玄武というロボットで闘うSFです。主人公は武則天という少女。もちろん、女性初の皇帝になった歴史上の人物ではありません。 小説の舞台は、宇宙からの侵略者の巨大生物「渾沌」(フンドゥン)に人類が壊滅させられて2千年たった未来。フンドゥンの死体から人類は巨大ロボット(霊蛹機)をつく