日の出と共に目覚めたならば
さあ、今宵も物語をはじめましょう。
はじまりの父と母の時代から、いくつもの夜と昼とが過ぎたあと。
そして、少しだけなつかしい昔のこと。
風駆ける草原でめぐり合った、あるアウラ族のお話です。
いかついテール山脈の奥地、雄大な森や氷河の折り重なるそのどこかにあるという、誰も知らない隠れ谷。
そこには、いくつかの小屋が身を寄せ合うようにして並ぶ、小さな小さなイローがありました。
そこに暮らしているのが、アルラク族の人々です。何百年も前の争いで滅んでしまったと言われていた彼らです