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原曲聴いて、沼っちゃおうぜ!!

この記事を書いた理由

はじめまして!さいとーです。しゃんしゃんというあだ名で4年間活動していました。なんだこのあだ名。

突然ですが、アカペラーの皆さん、原曲聴いてますか??

上手な先輩にアドバイスを求めたら、「原曲の聴きこみが足らない」と言われた、みたいな経験ありませんか?

確かに、アカペラーは他人の曲をアレンジして歌うことが多いため、原曲を聴きこむことは演奏の完成度に直結するのかな~と思います。

ただ、「原曲を聴く」という行為、なんだかよくわからなくないですか?
その曲を聴き続ければいいのかと思いきや、上手な先輩は「原曲だけを聴いてればいいってもんじゃないぜ」みたいなことを言うし。「原曲を聴く」っていったいどういう事なんだよ!とお思いの方が多いのではないかと思います。

そんなわけで、「私はこういう感じで原曲を聴いてきました」という事をご紹介できればと思い、この記事を書くに至りました。「原曲の聴き方がわからん」という人や、「選曲の幅が広がらん」という人の参考になれば幸いです。

「もっとオタクが増えてほしい!」という思いも、この記事を書いてみようと思った理由の1つです。
アカペラーは非常に様々な曲を演奏しますよね。ジャズだったり歌謡曲だったり。アカペラという1つの形態で、実に多様な曲に触れることが出来ます。これは他の音楽サークルだとなかなか経験できないことかなと思っておりまして、アカペラという演奏形態の特権なのかなと思います。

考えてみてください、J-Popとジャズスタンダードとスティービーワンダーが同時に演奏される音楽サークルなんてほかにありますか?ラテンやジャズ、ファンクやロックなど、特定のジャンルに尖っていく傾向が強い音楽サークル文化の中で、アカペラサークルが持っているこの特徴は素晴らしいものだと思っています。

だからこそ、バンドで演奏している曲を聴きこむことを通して、アーティストや周辺ジャンル、同時期に流行っていた曲など、いろんな曲に出会ってほしいな~と思っています。僕はこの4年間でものすごくいろんな曲に出会いました。めちゃくちゃ幸せです。もっとオタク増えないかな~いろんな曲の話したいな~みたいな思いがずっとありまして、それもこの記事を書くに至ったきっかけの1つとなっています。

長くなるかと思いますが、お付き合いいただければ幸いです。

原曲、聴いてみよう

では実際に、私がどんな風に原曲を聴いていたのかをご紹介したいと思います。

今回は例として、久保田利伸さんの『LA LA LA LOVE SONG』を取り扱おうと思います。SCSでは新歓曲の1つになっているくらいの超名曲であり、大ヒット曲ですね。

所属バンドで『LA LA LA LOVE SONG』をやろう!と思ったとします。当然みんなでこの曲を聴きこむことになりますね。しかし、この曲だけを聴きこむのはすごくもったいないと思うのです。

なぜなら、その聴き方だと『LA LA LA LOVE SONG』1曲を聴き込んだだけで終わってしまうからです。楽曲というのは、他の曲やアーティストから影響を受けて生まれます。これから触れますが、『LA LA LA LOVE SONG』も例にもれず、様々なものからの影響を受けて制作されたことが推測できます。

演奏面でいえば、手本に出来るものが原曲1つしかない状態よりも、それと関連する様々な曲を参照できた方が質が高くなりそうですよね。娯楽的な面でも、「アカペラでやっちゃおう!」と思っているくらい好きな曲と関連性のある曲を知ることが出来るのはとっても楽しいわけです。

※『LA LA LA LOVE SONG』に関する話はあくまで私の主観です。なるべく裏をとった情報を元に書いているつもりですが、間違っていたらごめんなさい。もっとJ-Popや日本歌謡との関連で捉えることも全然可能だと思います。あくまで1人の考察という事で、あらかじめご了承ください。

何を手掛かりにすれば良いの?

では、原曲を端緒として、関連のある曲を探すためにはどうしたら良いのでしょうか?私が曲を聴くときに気にしている(気になっちゃう)のは以下の5つです。

  1. ジャンルを把握してみる

  2. 発表された年を確認してみる

  3. 前後に発表された作品を聴いてみる

  4. その曲が収録されているアルバムを聴いてみる

  5. 記事を探しまくる

1つずつご紹介したいと思います。

1.ジャンルを把握してみる

ジャンルってなに?

皆さん、自分たちが演奏している曲のジャンルって把握できていますか?特にJ-Popなんかはかなりいろんなジャンルが混ざり合っているので、ジャンルを把握しながら曲を聴くことは相当難しいと思います。

アカペラーは『アップテンポ』『バラード』みたいなくくり方をしがちですが、ここでいうジャンルとはそのようなものではありません。
R&Bとかジャズとか、ロックとかEDMとか、そういった括り方のことです。CDショップに行ったときや音楽サブスクで曲を探そうと思ったときに目にするあれです。

Apple Musicのカテゴリ一覧。こういうやつです。アウトドアってなに。

ジャンルを把握することは意外と大事なことじゃないかなと思っています。理由は2つあって、1つはジャンルごとに美学が違うからです。少し極端な例を挙げます。以下の2つの曲を聴いてどう思いますか?どちらも「みんなで踊ろうよ」的な曲ですよね。でもジャンルが全く違うので、美学が違うと思います。前者はいわゆる日本的な1,3拍のノリでグルーヴが出ていますが、後者はバックビートなグルーヴです。

「みんなで踊ろうぜ的な曲」と言ってもジャンルが違えば美学が変わります。それはつまり演奏面で気を付けたいことが変わってくることを意味するわけで、演奏する人間としてはジャンルに対して自覚的であるといろいろ便利かな~なんて思います。頭でわかっていても実際に表現できるかどうかは別ですが。私は出来ていません。ほんとに難しい。

曲を探すという点で言うと、ジャンルがわかればそのジャンルを掘ることでなんとなく雰囲気が似ている曲が大量に見つかります。『LA LA LA LOVE SONG』の場合、ジャンルで言えばR&Bやソウルといったジャンルの曲だと思われます。なので、Apple MusicなんかでR&Bって検索すると似たようなものが大量に出てきます。

Usherってなんか聞いたことあるな、なんだScreamの人じゃないか。スティービーワンダーはこのジャンルの人なのか!MISIAや宇多田ヒカルもこのジャンルに属しているといえるのか~!!などなど、特定の曲のジャンルを把握するだけで、似たような曲やアーティストが無限に見つかります。

同じジャンルをやっている人たちは同じ美学に則って演奏することが多いので、聞けば聞くほどそのジャンルっぽさに対して敏感になります。いわばジャンルを見つけてそれを横に広げていくような感じです。
また、同じジャンルの中でもアーティストそれぞれに特徴があります。ジャンルを横に聴いてみると、その人だけの特徴が見つかったりするかもしれません。

ジャンルを縦に聴いてみよう!

さて、その曲のジャンルが把握できたとしても。それはめちゃくちゃ大まかな区切りでしかありません。

例えば、R&B / ソウルで検索をかけると、アレサフランクリンとフランクオーシャンが同時にヒットするなんて言うことが起こるわけです。共通している部分もあるようだけど、まったく同じジャンルにいるかと言われるとう~んていう感じしませんか?

当然、ジャンルは時とともに発展していきますので、60年代と10年代のアーティストでは同じジャンルに属していても雰囲気が大きく違ってくるわけです。

そこで、ジャンルを年代ごとに聴いてみることをお勧めします。そうすることで、そのジャンルをより細かく把握できるようになります。いわばジャンルを縦に掘っていくような感じです。

例としてソウルを取り上げてみます。
ソウルミュージックは、1950年代以降に発達したジャンルです。教会で歌われていたゴスペルから派生して、より大衆的なアプローチで曲を演奏したのです。黎明期で有名なのはレイチャールズでしょうか。『We Are The World』の後半でヤバすぎるフェイクを連発している盲目のおじいちゃんです。彼がソウルの基礎を作ったといっても過言ではありません。
その後、サムクックやアレサフランクリンといった歌手もシングルヒットを飛ばし、ソウルミュージックが一般に普及していきました。

この後、70年代にはいるとマーヴィンゲイなどの手によって「アルバムを聴かせる」という価値観がソウルの世界にも導入され、スティービーワンダーなどによってさらに発展していき、、、という感じなのですが長くなりすぎるのでここまでにします。

こんな感じで、ジャンルを縦に掘っていくとそのジャンルがよりくっきりと見えてきます。各ジャンルを解説した記事などはネット上に大量に落ちていますので、そういったものを参照すると良いかと思われます。

ムーブメントをおさえてしまおう

あるジャンルを掘る際は、ムーブメントの名前を押さえるととっても聴きやすいです。例えば、1970年代のマーヴィンゲイやスティービーワンダーらが推し進めたソウルは『ニューソウル』と呼ばれています。1990年代以降にエリカバドゥやディアンジェロなんかが推し進めたソウルは『ネオソウル』と言われています。後述しますが、『LA LA LA LOVE SONG』はこのムーブメントの影響を強く受けていると思われます。

ムーブメントに名前がつくことは他ジャンルでもよくあります。ロックなんてすごいですよね、グランジとかガレージロックリバイバルとか。ヒップホップもすごいです。トラップだのギャングスタラップだのドリルだの。
ムーブメントの名前を把握することでさらに検索が容易になりますし、ジャンルを縦に聞いた時の時系列が見えやすくなるかなと思います。

※現代のポピュラー音楽は、様々なジャンルのハイブリットであることがほとんどです。ポップスのドラムのパターンがジャズの影響をつよく受けていたり、逆にジャズピアニストがラップの曲に参加していたり。邦楽は特にその傾向が顕著で、ジャンルを特定することが難しかったりします。そういったケースも、「この旋律は何がルーツ何だろうなあ」なんてことを気にしていけば把握できたり、別ジャンルの曲を掘っているときに元ネタに出会ったりします。

※「そもそも聴いているだけじゃジャンルなんてわからないんですけど」という場合は、後述する【記事を探しまくる】みたいな方法と合わせることで把握できるようになると思います。

※ムーブメントはサブジャンルって呼ばれることも多いです。

2.発表された年を確認してみる

年代からムーブメントへ

楽曲が発表された年を確認するって、当たり前のことのように思えます。サブスクであれば楽曲名のすぐ下あたりに発表された年が書いてありますし。

では、発表年を確認する意味はどこにあるのでしょうか?
大きな意義の1つ目は、その楽曲がどのムーブメントの中で出されたものなのかを把握できることではないかと思います。

『LA LA LA LOVE SONG』に話を戻しましょう。この曲が発表されたのは1996年です。アメリカのソウルミュージックに目を移すと、1995年にディアンジェロが『Brown Sugar』でデビュー。1997年にはエリカバドゥの『Baduizm』が発表され、1996年にはマックスウェルが『Maxwell’s Urban Hang Suite』でデビューします。これらは90年代後半以降のネオソウルと呼ばれるムーブメントの代表的な作品たちです。

また、クエストラブやJディラといった、90年代後半以降のソウル / ヒップホップのグルーヴに大きな影響力を持つアーティストが所属するSoulquariansという集団も活動していた時期で、まさにネオソウルムーブメントが全米に広がろうとしていたタイミングです。

実は久保田利伸さんは、1995年にToshi Kubotaという名義でアメリカでレコードデビューを果たしています。その際、クエストラブやJ ディラと曲を作っていますし、ソウルシンガーであるアンジーストーンから発音の指導を受けたと本人が語っています。したがって『LA LA LA LOVE SONG』は、渡米し、本場のネオソウルムーブメントを肌で感じた久保田利伸さんが発表した曲ということになります。

このように、発表年から、その楽曲がなんというムーブメントの中で制作されたものなのか、だれに影響を受けたものなのかをなんとなく推察することが出来るようになります。

ちなみに、『世間はネオソウルムーブメントで盛り上がっている時期なのに、こいつは全然違うことしてるな』みたいな人もいます。そういった人はまた違ったムーブメントに大きな影響を与えていたりします。

他ジャンルからの影響を推測する

発表年を確認するもう1つの意義は、同時期の他ジャンルからどのような影響を受けているのかを推察できる点にあるのかなと思います。

例えばファンクでは、70年代前半にぶりぶり骨太な感じでやっていた人たちが、70年代後半以降、急にもっと踊りやすい軽いノリの曲を発表するようになります。これは、その当時のディスコ音楽の隆盛に影響を受けたと言われています。

私は邦楽に関する造詣があまりにも浅いため、『LA LA LA LOVE SONG』に当時の邦楽がどのような影響を与えたのかはわかっていません。非常に情けない話ですが。ですがおそらく、1996年の周辺で起こっていた邦楽のムーブメントをとらえる事によって、『LA LA LA LOVE SONG』に影響を与えた邦楽的要素が見つかると思います。

ちなみに、先ほどから名前を挙げているネオソウルというムーブメントは、ヒップホップから大きな影響を受けています。80年代中盤以降、音楽産業のかなり大きな位置を占めるようになったヒップホップが伝統的なソウルミュージックと初めて交わったのがネオソウルムーブメントです。したがってネオソウルの名盤の中にはヒップホップのアルバムも存在します。

このように、発表された時期にめちゃくちゃ流行っていた他ジャンルから大きな影響を受けて楽曲が製作されていることはよくあります。また、そのアーティストが子どもだったころに流行っていた楽曲から影響を受けているといったこともよく見受けられます。そのため、発表年を把握することは当たり前なようで大切なことなのです。

3.前後に発表された作品を聴いてみる

ここからは大したひねりもなく、見出しのまんまの意味です。先ほどジャンルを縦に聞くという話をしましたが、次はアーティストを縦に聴いてみようという話です。

『LA LA LA LOVE SONG』を例にとると、その1つ前のシングルは『虹のグランドスラム』、更に1つ前は『ZA-KU-ZA-KU Digame / SUNshine, MOONlight』です。

『虹のグランドスラム』以前と『LA LA LA LOVE SONG』以降を聴き比べてみましょう。個人的には特にボーカルのアプローチが違うと感じます。いわゆる久保田利伸っぽい、母音の後ろに少し小さい母音を入れてR&Bっぽさを出す感じ。あのスタイルが『LA LA LA LOVE SONG』以降は洗練されているかな~なんて思ったりします。

また、音作りやリズム面でも変化があると思われます。『LA LA LA LOVE SONG』はかなりアーバンなR&Bという感じがしますが、それ以前の曲はどちらかというとニュージャックスイングから影響を受けているのかなという感じがしました。『ZA-KU-ZA-KU Digame』とか特にわかりやすいかもしれません。ベースやスネアの音色にそれを感じます。

こんな感じで、ミュージシャン自信を縦に聞くことで、『この時期はこの音楽にハマってたんだな~』みたいなことを推測できるようになります。
ちなみに、同じ曲の違う時期の演奏を聴くのも面白いですよ。久保田利伸さんで言うと『Missing』とかは80年代と00年代以降で全く歌い方が違います。

4.その曲が収録されているアルバムを聴いてみる

これもそのままの意味です。言ってみれば、その曲を支点としてアーティストを横に聞くようなイメージです。
アルバムを通して1つの世界観を表現する人も多いですし、そうでなくてもアルバムはその時期の曲をたくさん収録したものとなっているため、雰囲気はどうしても似通ってくると思います。

『LA LA LA LOVE SONG』が収録されている『LA•LA•LA LOVE THANG』と言うアルバムを例に取ってみると、やはり『LA LA LA LOVE SONG』とそう遠くない雰囲気の曲がたくさん収録されていることがわかるかと思います。

ちなみに、アルバム単位で縦に聞くと言うのもめちゃくちゃ楽しいです。久保田利伸さんの場合、『LA•LA•LA LOVE THANG』の2つ前のアルバムである『Neptune』とそれ以降とで結構雰囲気が違います。

また、アーティストの中には久保田さんどころではないレベルでアルバムごとに作風を変えてしまう人がいます。カニエウエストなんかはその典型だと思いますし、コールドプレイなんかもそうです。ポップスで言うとテイラースウィフトもアルバムごとにかなり作風を変えてくる印象があります。めちゃ古いですがビートルズなんてまさにですよね。

アルバムを通して縦に聴くことで、その時期のその人が何に影響を受けていたのかがよりわかりやすくなります。その影響元を聴くことでまたいろんな曲に出会えたりして楽しいです。作風が変わっても残り続けるその人らしさみたいなものを感じてそれもまた面白かったり。

5.記事を探しまくる

これもそのままの意味です。その曲のことだったり、その時期のアルバムのことだったり、そのアーティスト自身だったりについて書かれた記事を探しまくることで、1~4までの条件が一瞬でそろっちゃったりします。インタビュー記事の場合はそのアーティストの生の声になるわけですからなおさらです。

こちらの記事は久保田さんのサブスク解禁に伴って発表された記事です。様々なアーティストがお気に入りの曲をコメント付きで紹介しています。

こちらは音楽プロデューサーが久保田利伸さんとネオソウルの関係について紹介している記事です。

https://crown-cord.jp/feature/toshi-kubota/

こちらは久保田利伸さんへのロングインタビューです。自らの口で、ネオソウルやお気に入りのソウルシンガーなどについて語っています。

このように記事を探しまくることで、そのアーティストの影響元などについてなんとなく把握できます。今聞いている曲のジャンルがよくわからない場合も、インタビュー記事や評論記事を見つけることでジャンルが把握できたりします。

また、最近は一般の方がNoteやブログを使ってアーティスト紹介をしたりアルバムレビューをしたりしています。そのようなものも、初めて出会ったアーティストについて知りたいときには便利です。世間一般でどれが高い評価を受けているのかわかりやすくなりますので、新しく出会ったアーティストを聴く支点が出来て助かります。

また、ラジオなども情報を集めるのに便利です。YouTube上にそのアーティストが出演したラジオなどが落ちていないか探してみることもおすすめします。


終わりに

以上、私はこんな感じで原曲を聴いていました。

正確に言うと、こんな感じで出会っていった曲の中でアカペラにできそうなものをアカペラでやっていた、と言ったほうが正しいかもしれません。

上記のほか、プロデューサーなんかもチェックすることをお勧めします。プロデューサーによってかなり楽曲の雰囲気は変わります。今だとAdoみたいな歌手はプロデューサーをチェックするとかなりその曲のルーツがはっきりします。

また、楽曲とムーブメントや、他ジャンルとのつながりは「こうだろ」と妄想してかまわないと思います。批評で飯を食っていくなら別ですが、アカペラーなんてその妄想を自分たちの演奏につなげるだけですし。

例えば、私はビリーアイリッシュのことを現代版ナインインチネイルズだと思っています。本人がそんなこと言ってるのは見たことないしそんな批評も見たことありませんが。そもそもビリーってトレントレズナーのこと知ってるのかな。でも、「似てるなー最高だなー」と妄想しています。それでいいんじゃなかろうかと思います。

もう1つ例を挙げると、私は90年代のSMAPの楽曲たちはアシッドジャズからめちゃくちゃ影響を受けていると思っています。直球のアシッドジャズやディスコ、ファンクを日本語で歌った、しかも大人気アイドルグループがですよ。これは日本歌謡の歴史から見てもめちゃくちゃ大きな価値があると思っています。が、そんなことを言いながらSMAPの曲を聴いてる人なんていません。でもそれでいいのです。妄想してニコニコしていれば良いのです。

あと、これだけはどうしても伝えておきたいという事があります。金銭的に厳しいという方以外は音楽サブスクに加入しましょう。学生の間は学割で安く聞けますし。

クラシックからヒップホップまで(落語も聞けたり)、古今東西の様々な楽曲が聴けます。YouTubeでも可能ですが、アルバムを通して聴いたり、関連する様々なアーティストを掘っていく事を考えるとサブスクの利便性には遠く及ばないと思います。おすすめはApple MusicかSpotifyです。YouTube Musicという手もありますが音楽サブスクとしてはかなり微妙なのでお勧めはしません。

個人的には、音感よりもリズム感よりも楽典知識よりもまず先に音楽サブスクを入手すべきだと思っています。広いジャンルの曲を演奏するアカペラーには絶対、必須なものです。

そんなところでしょうか。私は、アカペラの演奏に何か1つでも「趣味」が乗ってくれたらうれしいなあと思います。それぞれのバンドの演奏が、メンバーのみんなの「趣味」を反映させたものであってほしいのです。

それは縦を合わせるとか、和音を鳴らすとかそんなものではありません。そもそも音楽をやっているんだからそれを志向するのは前提であり趣味ではないと私は思っています。

もっと根本的な、「私たちはこういう感じが好きなのです!」というものが反映されると良いのになあと。フロアを踊らせるような音楽が好きなのか、ホロリと泣かせるものが好きなのか。そのバンドがそれを選曲し、アレンジし、練習して人前で発表している、そこに込められた意味がもっと見たかった。

「勝ちたい」「認められたい」以外の理由があるはずなのです。楽譜書くのって結構大変だし、音を取るのもかっこよく歌うのも大変なはずなのに、「〇〇EXで一発当てたい」以外の理由が見られないバンドがめちゃくちゃ多いなあと思いながら4年間を過ごしていました。

大会やCLのオーディションが、趣味と趣味がぶつかりあった良い意味でカオスな空間になったらいいなと思います。「優劣をつけようったって、あいつらとこいつらはまるっきり違う美学でやってるんだから決めようがないよ!」と審査員に言わせることが出来たら、それ以上に素晴らしいことなんてないのではないでしょうか。

アカペラというニッチな音楽コミュニティが、趣味であふれた素敵なモノになると良いな~なんて思いながら、終わります。

最後に、これを見てくださった現役生のみんなのアカペラ生活が、変な感染症に邪魔されない最高の4年間になることを心から祈っております。では。

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