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辞めた会社の株買った

 新卒で入った会社の株を買った。僕が在籍していたのはもう10年以上前になるから、最近の詳細な状況は解らないのだが、会社のホームページやネット証券に掲載されているニュースなどを読むと、合併したり事業撤退したりと紆余曲折しながら会社の規模は大きくなっているようである。

 僕が株を買おうと思った理由は2つある。1つはその会社が革新的な特許を取得したことだ。建設系のインフラは新しく作るには莫大な予算が必要になる。そのため、既存のインフラを点検しながら永続的に利用することが望まれているのだが、例えば地中内部に埋めこまれた構造物のように、点検が困難なものもある。そうした課題を解消した技術が新しく出来たことで、構造物の健全性が確認できるようになるし、不具合が生じた場合も対処可能となる訳だ。建設系のインフラは建設コストもさることながら、維持点検などのランニングコスト、安全性等を鑑みて最良の技術を選択するので、今回特許取得した技術が今後のスタンダードになっていく可能性もあるのではないかと思っている。
 株を購入したもう1つの理由は、自分の”目”に賭けてみたかったからだ。残念ながら、この会社は早々に退職してしまった僕だが、それでもわずかな時間の中で見てきたものは沢山ある。社長面接で受けた社長のカリスマ性とかオーラを今も鮮明に覚えているし、それを超える人物にまだあったことが無い。会社のトップでありながら新入社員のプレゼンに真剣に耳を傾ける姿や、明確なビジョンを語る立ち振る舞いなども印象的だ。社員も上昇志向の強い人が多く、当時から活気のある会社だったと思う。今の会社の成長ぶりを考えると僕の会社を評価する”目”はあながち間違ってはいなかったのではないかと思う。

 株式というのは資産になるので、安易な気持ちで手を出すのはおススメしない。本当はもっと企業や業界について精査したうえで買うかどうか検討するべきだし、短期トレードでもチャートや指標から分析して売買するべきだ。今回、僕が賭けたのは「僕がもしその会社で働き続けていたら」という世界線を見てみたいと思ったからで、僕の中では例外的な取引だ。(株でも持ってなければ辞めた会社のことなど気にも留めないから…)
 買った株は定年を迎えるであろう歳になるまで塩漬けにするつもりだ。この株に関しては急騰しようが暴落しようが構わない。縁あって最初に入社した会社の行く末を知ることと、新卒時代を思い出すきっかけになってくれればそれでいいのだ。

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