地獄先生ぬ~べ~の好きな回「百々目鬼」
予告通り、自分しか得をしない『地獄先生ぬ~べ~』の回を紹介するぜ。
原作では単行本9巻「#76 百々目鬼の巻」
アニメだと「第31話誰にも言えない目玉の恐怖!!天才バイオリニストの大罪」の話。
上級生の篠崎愛は、財閥令嬢にして天才的なバイオリニストでもある優等生。周りの生徒たちが近寄りがたさを感じるほどの、正真正銘のお嬢さまだ。そのために友達が出来ないことを、彼女はいつも悩んでいた。そんな愛に、まことは屈託なく話しかける。まことの優しさに、愛は初めて友情を実感するが…。(アニメあらすじより引用)
このお話のヒロイン。まずかわいい。眼鏡っ子の才女キャラいいですよね。
ちゃんと眼鏡のレンズで輪郭が歪曲してるのがメガネ好きのポイントを理解している。
今回の主人公のまことくん。
ある日、家に帰ると愛の手に目玉のようなできものが出来てしまう。
翌日、このできものについてぬ~べ~クラスの生徒であるまことを通じて、ぬ~べ~へ相談したところ、これは「百々目鬼」という妖怪であることを教えてもらう。
ぬ~べ~が言うには
「この百々目鬼はある一定の行動をしたものに出来る」
「それを言わないと取り除くことが出来ない」と言うのだ。
すると愛はうろたえながら「心当たりはない」とその場を立ち去った。
えっちだ…。
その帰り、愛はコンビニへ立ち寄る。
挙動不審に辺りの様子を伺い、慣れた手つきで菓子をポケットへ入れた。
愛は万引きの常習犯だったのだ。
百々目鬼はスリをする人間が誰かに見られているのではないかという不安や負い目を感じることで現れる妖怪だった。
昨日百々目鬼が現れたのも万引きをしたことにより出来たものだった。
万引きをしようと手を伸ばした時、そこへまことがやってくる。
それに愛は自分がスリをする訳がないと純粋に信じてくれるまことへより強い負い目を感じて逃げ出してしまう。
ここ素晴らしいんですよね。
善良で完璧に見える人間ほど周りからのプレッシャーだったり、期待されるものの大きさの裏返しで悪い心が芽生えてしまい、怪異に憑かれてしまうという。怪異というものは人の心の隙間に入り込むという心の写し鏡である考え方がとても好きです。
逃げ出した愛は自分の体の異変に気付く。
腕、足、胸、顔など百々目鬼が全身に広がってしまったのだ。
どうしようもなくなり愛は泣き出した。全身の百々目鬼からも涙を流し出てくる。
全身に目玉が擦れて歩くのもままならない。ふらつく足取りでぬ~べ~のいるの学校へ歩き出す。
えっちだ…。
ぬ~べ~の鬼の手で除霊するようにお願いするが、それは体を傷つけることになるため出来ないと言われてしまう。そこへ愛を追ってきたまことが現れる。自分の醜い姿を見せたくないと愛は閉じこもってしまう。
性癖が壊れる。
ここのシーン滅茶苦茶『化物語』の「なでこスネイク」を思い出す。
まあこれは完全に自業自得なのですが。
ぬ~べ~が愛ちゃんを詰問するシーンは「ひたぎクラブ」を思い出しますね。忍野メメに言わせれば「被害者面が気に食わねえんだよ。」です。
扉の向こう側でどんどん変貌していく愛。
そしてついに自分が万引き常習犯であること。周りから才女と見られて特別視されるのに嫌気が差して自分も普通の子供のように悪いことも出来ることを確かめたくてやっていたことを扉の向こうのぬ~べ~とまことに対して告白する。
それにより愛の体はもとに戻っていき、めでたしめでたし。
終盤における作画が凄い綺麗。
演出も陰影の使い方がとても上手くて、滅茶苦茶エロい。
これは化物語に通底する事象だけど「エロく感じてはいけないシリアスなシーンこそエロく描く。」というのを熱く感じるシーンだ。
ぬ~べ~には理不尽な都市伝説の怪物や悪霊も出てくるが、こういう人間の心が生み出す妖怪についての話も多くある。水木しげる先生から脈々と続く妖怪漫画の本質を上手くホラーとグロとエロとでエンターテインメントとして昇華している素晴らしいアニメだと思う。
ステイホーム中の昨今ですから、お暇であれば『地獄先生ぬ~べ~』観てみてはいかがでしょうか。
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