溺れる者は藁をも掴む

私の父の話をしたいと思う。

亡くなる前年に体調を崩して入院したが、
3ヶ月ほどで年末に退院した。

5月のGWに入った頃、2日だったかな。
腰に激痛が有り動けないと連絡が入る。
私はこの頃大阪で働いていたので、妻がすべて
対処してくれた。

この一ヶ月前から痩せたなと感じてはいたが、
70歳を過ぎたのもあり、年齢的なものかなんて
考えていたのだが、今から考えるとガンが
増大していたんだろう。

父は私と違って、何か具合が悪いと感じたら迷うこと無く
医師にかかるし、出された薬は医者がやめろと言うまで
きっちり飲むタイプ。

なので、ガン告知をすればヤケになるか落ち込むか、
取り乱すことは確実だったと思う。

ある時病室に行くと病室の木の窓枠に、黒い点々としたシミが付いていた。
母に聞くと、父の幼馴染で親友のYさんがアガリクスを扱っていたので
それを飲んでいたのだが、効果も出ないといういらだちで        ぶちまけたらしい。
ガン告知はしなかったけれど、本人はそんな気がしていたんだろうな。

1999年の話なので、この当時はアガリクスを使った商品が、       ガンへの効果アリとよく宣伝されていた。

Yさんが良かれと思って売ったのか、金づるとして
有難がったのかは知る由もないが…。

父が亡くなって数年後だが、日本の国立医薬品食品衛生研究所が検査をし、
アガリクスを扱う商品の中で効能が示されなかった物がほとんどで、
一部の商品は逆に発がん物質が検出されたりしたことで一気に      消滅したけどね。

Yさんも数年後には亡くなった。アガリクスの効能を信じていたのなら、
真実を知ること無く逝けたのかもしれないな。

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