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【一度は通って欲しい道】大学の経理について

こんにちは。
経理って、民間企業への就職においては、なかなか興味を持たれにくい。というか、そもそも就職するまでに簿記とかやってないと、まず選択肢に入らないですよね。

私立大学に限定した話になりますが(国立法人は違います)、『学校法人会計基準』という独特な会計ルールがあり、この特殊性が大学の経理という仕事と、経理に関する知識の重要性をきわだたせています。

今日はこの学校法人会計基準にまつわるお話しです。経理と聞くだけで 「ウエ〜っ」 となってしまう方も、知っておいて損はありません!

会計士も知らない!?

民間企業の経理は、商業簿記の 3〜2 級を取得していないとお話になりませんよね。

1級は税理士や公認会計士といった資格取得のステップなので、究めたい方むけ。

学校法人会計基準については、このような資格や検定は存在しません。
私立学校でしか使えない、極めて狭い基準だからです(苦笑 。

実際、公認会計士の方でも私立学校の監査を担当される方(大手の監査法人ですと「公会計部」といった名称のセクターがあり、その中でも限られた担当者)しかご存知で無い場合もあります。

公認会計士試験に出るわけもなく、合格して、お仕事に就いてから勉強されるようです。

私自身も、経理・会計畑が長かったもので、会計士監査の対応もよくやりましたが、監査法人に就職されたばかりの若手の方ですと、自分の方が詳しい状況もあったり。

ですから、そんなに大した内容じゃないんです(笑 。
知ってるからってエラそうな顔できるものじゃ無いんですが、でも大学職員としては知ってると知らないとで大違い。

読んでも何のことやら、文字通りの「チンプンカンプン」 だと思いますし、ここで細かく説明はしません。大切なのは何のためにこういう基準があるか、なのです。

そう。知っていただきたいのは、「何のために」 。

歴史のおはなし

少し話が飛びますが、多くの私立大学は国から補助金をいただいています。

『私立大学等経常費補助金(しりつだいがく とう けいじょうひ ほじょきん)』

というのが正式名称ですが、新聞等ではよく 「私学助成(しがくじょせい)」と呼ばれています。

かつて第二次大戦後の日本では、高度経済成長期にさしかかる一方で私立大学の経営というのはジリ貧でした。

まだ大学へ進学する割合も少なく、しかも 「国立へ行くのがエラい」 という風潮もあった時代。一部の大手私立を除いては、本当に厳しい状況でしたし、大手も決してラクとは言えないものでした。

それが徐々に変わり、国立(公立)大学だけでは、高まる高等教育需要を支えきれなくなってきます。
国としても、私学をサポートしないことには国の成長に関わる事態になってきたのです (社会に出る前に、高等教育を受けているか、いないかは大きな違い)。

そこで、昭和45年には上記の補助金制度が始まるものの、物価高騰なども重なってこの頃にはもはや私学の規模拡大にかかる費用を、私学自身ではまかないきれない程になっていたのです。

そこで、『私学振興助成法』 という法律が制定され、国が私学の財政に一定の保障を与えつつも、その条件として、

「ちゃんと教育を行うには、こういう条件が整ってないとダメだよね」

という基準を法制化したのです。
ここで、定員をしっかり守ることや、一人の教員が教えられる学生数の目安、授業料はしっかりと教育として還元すること、などが定められたのです。
それまでの私学は、戦前の塾の延長線上にあったところがまだ多く、もっと混沌としていたようですね。

そして、国からの補助金の財源は税金ですから、その使いみちは明瞭でなければならない。よって私学助成を受けるなら、一定の基準に従って経理処理してね、というのが、前述の学校法人会計基準なのです。

まとめ

学校法人会計基準に従うことで、私立大学は国から補助金をいただいています。

しかし会計基準に書かれている大事なことというのは、学生さんが快適に学ぶための条件をしっかりと整えなさいよ、ということ。

細かい経理処理は、経理担当になって覚えれば良いことですし、ポイントさえ覚えれば実務はシステムがきれいにやってくれますから(笑、何の心配も要りません。

私学振興助成法や会計基準が定められた背景を理解し、在籍学生数をしっかりと管理すること。適切な人数の教員を用意すること。

決して無駄遣いせず、学生さんのためになるようにお金を使うこと。

極めてあたりまえのことのようですが、忙しい日々の中ではつい忘れがちなもの。
そして、経理担当者に限らず、全ての大学職員に関わってくるもの。

知っていると知らないとでは、業務の質が大きく変わってくるのです。

今日はここまでにします。

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