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オーダーフレームの理由

ちょっと前に公開した自己紹介の最後に、未塗装のスチールフレームの写真(ヘッダーの写真とおなじやつ)を載せました。お察しの通り、僕の新しいロードはオーダーフレームになります。ブランドはEXTARPROTONです。

実はもう塗装も組みも終わって何度か走っているのですが、(まだいい感じの写真撮れてないので、)どんな自転車になったかはまた別の記事で。

今回は、なぜ自転車歴3年の僕がオーダーのフレームを選んだかについて、長い独り言を記していきます。
(僕の偏見やイデオロギーを多分に含みますので、不快に思われることもあるかと思います。何卒ご容赦ください。)


どうしてオーダーにしたのかと聞かれたら、「他人と違うものが欲しかった」と答えることがほとんどです。でも、これは会話の中で分かりやすく伝えられるからそう言っているだけで、本来の理由の15%くらいしか言い表せていません。一言で100%の理由を伝えられる言葉を持っていないだけです。

確かに、大学の部活の仲間とか、よく一緒に走る人と同じマスプロの自転車に乗るのはつまらないという気持ちはあります。ブランドが被るのもできるだけ避けたい。個性の埋没を少なからず感じるからです。

でも、この「他と違う」を良しとすることの本質は、僕のエゴです。

世の中にはたくさんのメーカーやブランドがあり、それぞれが製品の情報を消費者に与えます。しかし消費者は簡単に知りうる範囲のメーカーやブランドの情報ばかりを得、知らない(知りにくい)範囲の情報はとても得づらいのが現実です。

具体的に言うと、日本に正規代理店がある自転車ブランドの情報は簡単に得ることが出来る反面、代理店がなかったり、あまり国内で流通していない自転車ブランドの情報を知っている人は稀である、といった感じです。

もちろん自発的に後者のようなブランドを調べれば情報を得ることは可能ですが、そういうことをする人はあまり多くありません。どれほどそのブランドが品質の良いものを提供していても、です。消費者のほとんどは簡単に手に入る範囲で得た情報をもとに購買動機を形成し、買うものを選択します。この場合、画像で見てなんとなく好みだったとか、テレビで○○さんがこのブランドはいいと言っていた、みたいな感じでしょうか。いずれも自身で価値を吟味するステップが抜けています。

僕はこういう購買動機に違和感を感じます。
簡単に得られる情報だけで判断して、他にもっといいものが無いか自分で探さないってどうなの?
特に「見た目」や「ブランドイメージ」だけで決めるとかマジで嫌い。

逆に言うと、あまり知られてない(=イメージがまだ形成されていない)けれど品質はすごくいいモノを提供するブランドはすごく好きです。また、認知度が低いことと高品質であることはなかなか両立しないため、そういうブランドを探し出せた時はとても嬉しくなります。
ただ、はっきり言ってしまえばみんなが知らねえ良いブランド俺知ってんだよねって物知り面したいだけで、それは先程述べた通り僕のエゴです。指摘されるとぐうの音も出ません。

本当にいいものを僕ができうる限りで探し求めた結果、EXTARPROTONのオーダーフレームに行き着いたという訳です。

(もちろん、より「深い」ところには僕の知らない良いメーカーがEXTARPROTONの他にも存在すると思います。あたかも僕がなんでも知っているかのような文章になってしまいましたが、そのようなことは当然ありませんし、上には上がいることは重々承知しているつもりです。これからも精進していこうと思います。)



オーダーフレームにした理由はまだあります。

静かさ」です。

走っている時のノイズ云々の物理的な静かさではありません。世間から聞こえてくるノイズに対する心理的な静かさです。

自転車は趣味です。自分が満足していればいい。その満足に世間からのノイズで水を差されるのは好ましいことではありません。

自転車メーカーは毎年のようにモデルチェンジしたりします。その度に剛性が○○%向上した!、とか△△gも軽くなった!とかいうふうに宣伝します。古いモデルは過去の遺物になり、新しいモデルよりも性能の劣るものとして格下げされます。よほど古い方に愛着でもない限り、新しいモデルに気を惹かれるのは必定です。そうやって短期間でモデルの評価が変動することや、メーカーの喧伝が煩わしく思えてしまいました。


反面、オーダーフレームは勝手に新モデルが出ることはありません。1度作ってしまえば次を作らない限り直接の比較対象は生まれない。つまり、メーカーの意志に左右されて価値が相対的になってしまうマスプロとは違い、オーダーフレームの価値は(オーナーにとって)(ほぼ)絶対的であり、「静か」というわけです。


もう既に記事がめっちゃ長くなっていますが、理由はまだあとひとつあります。

マスプロには僕の用途に合う自転車があまりないことです。

個人的に、ロードバイクはレースのための自転車だと思っていません。ロードレースやヒルクライムレースに出たいと思うことはありませんし、これからも多分ないと思います。
僕にとってのロードバイクは、速く遠くに行ける自転車なのです。

そして、今回は軽装備のバイクパッキングスタイルでツーリングやロングライド、キャンプをそれなりにハイスピード(30km/h巡航くらい)でこなすロードバイクが欲しかったんですね。

ただ、市場に出回っている「いい」ロードバイクは基本的にレース志向で、高剛性や軽量性を強調したものばかりです。こういうバイクは短時間で大出力を出すレーサーにとっては適切ですが、貧脚の僕には扱いきれません。また、用途から考えると乗り方は長時間・低出力のスタイルになりますし、スピードよりは快適性やライドフィーリングの良さの方が大事です。
(ならエンデュランス系フレームにすりゃええやんけって声もあると思いますが、それはそれで少し柔らかすぎて走りがもっさりする気がします。下手に柔らかいカーボンはアルミより走らないと言うのが個人的な立場です。快適性も大事だけれど、そこそこ速いという要素も重要です。)
また、ようやく最近になって剛性を落としたりジオメトリを調整したライドを楽しむための自転車が現れてきましたが、めっちゃ高かったりメジャーすぎるブランドだったりで選択肢には入りませんでした。

そういう訳でオーダーフレームを検討し始め、製作している自転車の幅が広く、また取扱しているmovementさんが家から割と近かったことなどからEXTARPROTONに魅力を感じました。
また、大先輩にあたり、学生の僕達よりもやべぇツーリングを敢行していたりするやくもさんや、これまたやべぇランドヌールであるモリビトさんが駆るEXTARPROTONの実物を見た事も(他にも実物を見たり試乗したブランドはいくつかありますが)、ブランドを選ぶ時に間接的に影響したのかなと思います。


…なんだかまとまりがない上に長くて読みにくい記事になってしまいましたが、やっとこさTwitterだけでは語れなかったことを形にすることが出来たような気がします。ここまでお付き合いいただいた方に御礼申し上げます。

次回は恐らく組み上がった僕のEXTARPROTONを紹介するnoteにします。今回よりもいい写真いっぱいでよっぽど読む価値のある記事にしたいと思いますので、ぜひご期待ください。


おわり。



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