見出し画像

コロナに打ち勝つ証となりゆく、日本国が持つ最大の武器

緊急事態宣言の発令から1週間が経ちました。東京都でも感染者は増加傾向を続け、依然として先が見えないというのが実情です。
本記事では、国家全体をシンプルな構造で表現した上で、世界各地の対コロナ国家戦略について、世界と日本で比較してみます。

人類史上最大の

対コロナ戦略が各国で実行されるなか、非常に興味深いのは、コロナウイルスという存在は全世界共通なのに、講じる戦略は国家ごとに大きく異なるということです。
私たちは中学校1年生で対照実験を習いました。
実験という表現はあまりにも相応しくないですが、

ウイルスという同一条件に対して、国家という前提の違いは、戦略という結果にどのような違いを生むのか?

という観点では、人類史上最大の観測対象だと言えそうです。
そんなわけで、まず国家 (Nation) というものを構造的に捉えてみます。

国家の形成

ものすごく大別すれば、私たちの生活 (Life) は

・生物的な生(医療 = Medical)
・社会的な生(経済 = Economy)

という二つの生の上に成り立っています。逆に言うと、どちらか一方が欠けてもいけません。
これら2つの生を支える役割として政府 (Government) の存在があるとすれば、国家の形成はこのピラミッド構造で表現できると思います。

ここで頂点にくるのが国民性 (Nationality) であり、直感的にもわかるように、LifeこそがNationalityを形成します。余談ですが、Governmentが直接的にNationalityを作ることはできません。Nationalityは作られるものではなく、さまざまな社会活動の上に現れるものであると言えるでしょう。

最も大切なのは、ピラミッドを崩さないこと

持続可能な国家を形成し続けるために必要なのは、このピラミッドを「崩さない」ことです。また、崩れる領域の大きさはそのまま国家へのダメージと見ることができます。
当然私たちの生活は、MedicalとEconomyの上に成り立っているわけですから、「医療崩壊」はLifeを脅かす大きな問題なわけです。

図は極端な例ですが、ではMedicalへの支援だけをすれば良いというわけでは全くなく、現在のコロナ情勢においては、当然ながらEconomyにも多大な影響が出ています。それゆえ、各々の国家はこのMedicalとEconomyのバランスを保ちながら、基本的にはGovernment主導のもと、Lifeを持続可能にする戦略を構築しています。

世界各国の取り組み

ここでは、取り組みそのものの紹介というよりかは、ピラミッドを崩さないために、どういったリソースを投入して対応しているのかという観点で、感覚的に表現したいと思います。
自分は政策の詳細に詳しいわけでもないので、メディアで見聞きした、代表的な例だけを図にしてみました。

・国防生産法を発令したアメリカ
・ベーシックインカムを導入するスペイン
・スクワットさせるインド
・迅速な対応で被害を最小限に抑えている台湾

このように見たときに、台湾のように小規模による高機動性を持ったり、インドのようにGovernmentの割合が大きく高い流動性を持てるほうが、戦略を立てやすいという前提はあるでしょう(すみませんインドのことは特によく分かっていません)。
ただ、ここで重要なのは、崩れそうな箇所を、なにで補填しようとしているのかということです。
補填の役割を果たすのは、お金だけではありません。お金で埋めるところもあれば、政策など制度や仕組みで埋めるところもあります。世界各国が、独自の前提国家の上に、戦略を企てており、日本も同様だと思います。

日本の最大の武器

では、日本はなにで補填しようとしているのか。
とんふぃさんの記事が非常に参考になったのですが、

「今の日本社会は法的拘束力/罰則がなくとも人々が自発的に法を遵守し、行動する社会だ」と議会が判断した

と表現されており、つまり、Nationalityこそが日本の武器なのではないかと思います。
古来より島国で発展し、1000年前より国風文化が生まれ、鎖国と近代のグローバリズムを経てさらに確立されてきた文化。そんな文化の一部とも言える日本人のNationalityを武器に、コロナという未曾有の問題に挑もうとしているのではないでしょうか。

これは言い方を変えれば、GovernmentがNationalityを信じた、とも言えるでしょう。余談で触れたように、それらはピラミッド的には遠い存在であるにもにも関わらず、です。だからこそそこに、違和感を感じる方もいれば、世界が注目する美しさも同時に存在するのだと思います。

もちろん、そんな美学だけで上手くいくとは全く思いません。

それでも、現時点では「自粛を要請」という形でギリギリ成り立っているように感じますし、ソフトバンクの孫さんのように、マスク調達に尽力したり、政府でない取り組みもたくさん生まれています。
また、飲食や宿泊施設に対する先払いサービス [ #勝手に応援プロジェクト未来に泊まれる宿泊券],  の創出や、剰余食品やテイクアウトの販売支援事業[ TASTE LOCAL, 食べログテイクアウト ] などが生まれていること自体が、政府の要請が「外出自粛要請止まり」であったとしても、そこを起点に生まれた社会の変化と捉えることもできます。これらの変化こそが、GovernmentがNationalityを信頼した、と思う理由です。要請が出ても結局外出する人が多ければ、こういったサービス需要も安定的に増えることはなく開発する事業者も生まれず、手遅れになっていた可能性さえあります。

そういったわけで、約1か月前のことになりますが、安倍首相が東京五輪の開催を、「コロナに打ち勝つ証として」と表現していたのは、政府の政策だけで全てが解決するわけではないと割り切った上で、そんな日本に対して込められたメッセージだったのではないかとも思いました。

国家毎に戦略は異なりますが、コロナに打ち勝つ日本国の一員として、自分に出来る貢献をしていきたいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?