ファミレスを”再”享受した話
この現代社会、人生について向き合ったり仕事に追われたり人との交流を図ったりすると自然と不安定な未来が見えてくるだろう。そういう時に支えてくれるゲームは何か。
星を守るために闘う物語?
幕末を生き抜いて斬りあう世界?エッチなねーちゃんと堪能する店舗?
そういうのもいいだろう。しかしたまには歩みを変えて違った方へ進むことも大切だ。それこそ月は満ちに満ちた深夜にファミレスを行ってみることとか。
引き込まれる奇妙なファミレスの世界
タイトル通りこのファミレスを訪問したのは二回目である。一回目はまだ無料版しかなかった時に訪れたがその時のビジュアル、音楽、キャラクターどれを選んでもすべてが魅力的だった。
簡単なあらすじとして紹介すると、試験勉強の気分転換、満月の夜を見た主人公は深夜にファミレスに行こうと決める。出かけて目に入ったのがファミレス”ムーンパレス”であり、店に入って注文を決めたらいつの間にかファミレスに閉じ込められてしまった。そうして、同じように閉じ込められている奇妙な住人と会話しつつ深夜のファミレスを楽しもうというものだ。
このゲームはジャンルとしてビジュアルノベルに分類されるがその絵の表現が素晴らしい。大きく色を分けて黄色と青、そして黒しか使われてないのである。これが深夜のファミレスという舞台に非常に合っている。音楽もいわゆるLo-fiのようなチルい曲を使用しており、しかも常に鳴らさず時々あえて無音にしている。おかげで深夜のファミレスでダラダラと会話続けているような感じでとても心地良い。
キャラクターもどことなく一癖も二癖もある性格だ。例えばとある国の王様や、どことなく悲観的な多少変わっている女性、脱出を考える不思議な好青年、扉から出れない臆病な人…それぞれ時系列が違う住人達だが、しかし悪意はなくあくまでもファミレスの会話相手として何気ない趣味の会話から大事な話もする。
どのゲームもそうだが人々が一つのゲームを没頭するにはそのゲームのバランスが高水準かつ、何か一つ秀でたものがないとなかなか難しい。しかもそのセンスが魅力的であることも加えてだ。アクションやパズルならやりやすいかもしれないがノベルやコマンドRPGは今どきのゲームだとシステムの都合上似たり寄ったりの作品が出来上がるため、かなり苦戦するだろう。
しかしこのゲームは製作者のセンスが歪ではなくむしろこの上ないくらいぴったりと深夜のファミレスの空気に当てはまる。
二回目のファミレスの訪問理由
さて、なぜこの時期に一回目の訪問で骨の髄まで享受しつくしたのにもう一回再享受しに来たのか?理由は単純で話の流れを忘れたからである。もちろんそれは良い意味の忘れだ。
実は有料版を出すと知った時にはもう一回やろうと思っていたのだが、ある程度話を覚えてたらあまり楽しめないんじゃないか?と思い、すぐには手を出さないでいた結果、こんな時期にやってしまったのである。だがその甲斐あってか、ものすごく楽しめた。
有料版との違いは既存の曲にピアノアレンジに変更できること、当然サウンドギャラリーの追加もあることと、設定資料集みたいなイラストギャラリーが入ったこと、ある程度の新たな会話が追加されたことといっただけだが、無料版で楽しんでいた人ならなおさら勧められる完成度だった。
特に設定資料集見た時は、あまり深堀されなかったキャラクターの裏話やシナリオで明かされなかった謎の答えが散見されるためぜひ堪能してみてほしい。
むろんピアノアレンジも最高だ。サウンドトラックもセールによるがワンコインほどで売られている。ぜひ好きなドリンクを携えて深夜にファミレスを享受しよう。
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