【XBスポーツマーケティングレポート】 日本市場におけるeスポーツについて(前編)

若者向けの商品・サービスを展開する企業の広報担当者・マーケターの
皆さんにとって、Z世代、ミレニアル世代へのアプローチは重要な施策となります。
そんなZ世代、ミレニアル世代をターゲットとした
有効なマーケットアプローチとして最近注目されているのが「eスポーツ」です。実際、とある調査会社が2018年に行ったリサーチではZ世代の56.7%が
eスポーツを観戦したいという意向を持っていて、ゲームアプリの利用率は73.6%に上ります。
今回はそのeスポーツに焦点を当ててインサイトをまとめました。
ボリュームがありますので、前編、後編の2本立てでお送りいたします。
本日はその前編として、eスポーツの定義や日本での市場、
実際にどんな大会が開かれているのかを広くまとめてみましたので、
eスポーツを詳しく知らないという方も入門編として是非ご一読いただければと思います。

<本日のトピック>
・eスポーツとは?
・eスポーツ拡大の背景
・eスポーツのファン数、年齢構成
・Z世代、ミレニアル世代
・日本の市場規模
・大会の実例
・まとめ

1. eスポーツとは?

eスポーツとはエレクトロニック・スポーツ(electronic sports)の略で
オンライン等でビデオ・ゲームを使って対戦することを指します。
日本では従来のスポーツとは違い身体を動かすフィジカルなアクティビティではないため、“スポーツか否か” という議論はあるものの、スポーツは
「楽しむもの」であるという娯楽の側面を持ち合わせているアメリカの
考え方では、eスポーツは「楽しむもの」という観点からスポーツとして認められています。
これに加えてeスポーツは「チームとして戦略を練って戦う」という特徴も持っているため、部活動として取り入れている高校、大学も出てきました。例えば一般社団法人全国高等学校eスポーツ連盟(JHSEF)と毎日新聞が
主催している全国高校eスポーツ選手権では実際に全国の高校が部活動として参加しています。

2. eスポーツ拡大の背景

eスポーツが拡大していった背景には、文化的・社会的な側面も関係しています。例えば、体格や運動能力に恵まれず、あるいは単にスポーツに
興味がない子供達にはスポーツをしている子供たちに比べて
学校を代表して活躍する機会が少なかったという歴史があります。
一方で、デジタルデバイスや通信環境の進化は、ビデオ・ゲームをより
複雑化・高度化し、ネットを介して世界中と対戦できる環境が整っています。この状況を打開すべく
「ゲームを楽しむ人達にも誇りをもって戦えるステージがあっても良いのではないか!」 というターニングポイントが来ました。こうして彼らが
「社会的にも注目を浴びる活躍の場として eスポーツ」 という競技、そして分野自体が成長してきました。

3. eスポーツのファン数

このように拡大してきたeスポーツですが、ファン数も年々増加しています。2020年の日本のeスポーツのファン数は前年比142%の686万人
なっており、要因として、巣籠需要を背景に、大会やイベントの
オンライン化による配信数及び視聴時間の増加したことが考えられます。
アメリカに関して言えば、eスポーツ界で最大のイベントといわれる「League of Legend」の大会では2019年に、オンライン視聴者数を1億人
にまで伸ばし、アメリカで最も視聴されているスポーツの
NFL・スーパーボウルを超えました。

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出典:ファミ通

4. eスポーツ視聴者の年齢構成

年代別では20代、30代の割合が大きく、両世代合わせると全体の半数以上
となります。
要因として、大会数の増加や、メディアへの露出の増加が考えられます。

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出典:ファミ通


5. Z世代、ミレニアル世代

上記のグラフでご説明させていただいた通り、eスポーツのファン数は年々増加しており、年齢構成を見てもZ世代、ミレニアル世代が占める割合が
大きいことをご覧いただけたと思います。
そんなeスポーツですが、従来のマス広告ではリーチしづらいZ世代、
ミレニアル世代にリーチすることができるのが1番の魅力です。デジタルとともに成長してきたミレニアル世代、デジタルが周りにあるのが当たり前の環境で育ってきたZ世代は好きな時に好きなコンテンツを視聴する
傾向にあります。近年ではテレビに限らず様々なメディアから情報収集が
できるようになり、このZ世代やミレニアル世代はTwitter、Instagram、YouTubeなど多様なメディアを通じてエンターテインメントを視聴しています。さらにこの世代の約8割はテレビ視聴中にも違うメディアを利用しています。このように何かのメディアを利用しながら他のメディアを利用する
ということを機能に取り入れているのがLINEのミニブラウザ機能やYouTubeのバックグラウンド再生などですが、実際、このような同時にいくつかの
メディアを利用するマルチタスクがZ世代、ミレニアル世代を象徴する文化として根付いています。少し話がずれましたが上述したように、
eスポーツは様々な大会、リーグが乱立しており、YouTube、Twitch, Mildomなどで好きな時に好きな試合を視聴できるため、Z世代、ミレニアル世代
からの支持を得ていると考えられます。
また、プロゲーマー、ゲームストリーマーの存在もプラスに働いています。人気のあるゲーマーは多数のフォローワーを抱えており、フォローワー同士でコミュニティを形成しているためつながりが強く、
この強固なコミュニティを活かしたインフルエンサーマーケティングが成り立ちやすいのがeスポーツの特徴の一つでしょう。
例えば、eスポーツチーム「DETONATOR」所属のストリーマー「Shaka」は
Twitterのフォローワー数28.4万人、ゲーム配信プラットフォームTwitchの
フォローワー数52.9万人、YouTubeチャンネルの登録者数35.5万人を誇ります。ここからも分かるようにeスポーツというコンテンツを
どのように使うかがZ世代、ミレニアル世代にリーチするカギを握っているといえるでしょう。

6. 日本の市場規模

ファミ通マーケティング速報によると、2020年の日本のesports市場規模は66.8憶円で2024年には180億円を超えて拡大していくと予測されています。
ただゲーム先進国である、アメリカや韓国に比べるとその市場規模は
まだまだでアメリカのeスポーツの市場規模は2024年にはなんと約1800億円に上ると予測されています。(newzoo調べ)
それでも2020年は前年比109%という数字を出していて、その具体的な要因としては「VALORANT」の登場によるesportsのラインナップ強化、
人気タイトルのオンライン大会開催により、市場拡大が続いたことが考えられます。また今後もesportsリーグブランドである「X-MOMENT」発足や、モバイルゲーム、esportsファンの増加、オンライン大会及びesports施設でのオフライン大会の定着、多メディアからの広告流入により市場拡大が見込まれます。このeスポーツ市場の一番の収入源はスポンサー収入で、
それに加えて放映権もあることから、従来のスポーツと似ている収益構造を持っており、その点からもスポーツといえるでしょう。

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出典:ファミ通

7. 大会実例

eスポーツは他のスポーツと違って、一つのリーグ、大会が定まっている
わけではなく、様々なリーグ、大会が乱立いている状況です。
①JeSU(一般社団法人日本eスポーツ連合)主催の大会
JeSUはプロライセンスの発行や、独自に認定したゲームタイトルの
eスポーツ大会を開催しており、全国都道府県対抗eスポーツ選手権2020KAGOSHIMAやJAPAN eSPORTS GRAND PRIXなどの大会を実施しています。
②事業会社主催のリーグ
NTTドコモが発足した「X-MOMENT」では、「PUBG」のリーグ運営や、「レインボーシックスシージ」の大会などを開催しています。
③私設大会
そのほかにも、誰でも大会を開けるのがeスポーツの特徴で、あらゆる
タイトルの大会が日本各地で開催されています。
このように、大会やリーグが統一されておらず、他のスポーツに比べて
複雑な構造になっているように見えますが、
見方を変えれば誰でも参加できる大会や、見たい時に見ることができる試合が多数開催されていることがeスポーツプレイヤー、ファンともに
裾野が広い一因だと考えられるでしょう。

8. まとめ

・アメリカの考え方では、eスポーツは「楽しむもの」という観点から
スポーツとして認められている
・インターネットの革新と、「スポーツをしていない人達にも活躍の場を」という社会的背景からeスポーツは発展してきた
・eスポーツの市場規模は年々拡大しており、2024年には約180億になる
見込み
・eスポーツの視聴者数も年々増加、さらに20~30代の視聴者で全年代の
半数を占める
・eスポーツは大会が乱立しているため裾野が広い
見たい時に見ることができるコンテンツ

いかがだったでしょうか。
次回の後編ではeスポーツと企業の関わり方、従来のスポーツとの
スポンサードの違いについて発信していきます。


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