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関東風と関西風のハイブリッドな金沢のうなぎ。

『2014年夏から2016年夏に撮られた写真から、当時の二年間の金沢生活を振り返り、想い出を記録に定着させる写真で二言三言。』

今年はもう過ぎてしまったが、時節柄土用の丑の日にちなんでうなぎの話である。
この世の中にうなぎの蒲焼きは二種類あることをご存じだろうか?
おそらくほとんどの御仁はあまり意識すること無くうなぎの蒲焼きをいただいていると思うが、うなぎの蒲焼きの焼き方には関東風と関西風の二種類が存在するのだ。

わたしは金沢で初めてうなぎを食べるまで、うなぎの焼き方の違いに頓着することが無かった。ただ、一口食べてみてなんとなくこれまで関東で食べてきたうなぎの蒲焼きと食感が違ったので、店員さんに聞いてみたことで初めてその違いを認識した。

魚を調理するにはまずは捌いて内臓を取り出さないとイケない。
その際普通は腹から捌くが、これが切腹を意味すると武家文化の影響が根強い江戸の頃からは背中から捌き、内臓を取り出してからまずは蒸して身をふっくらさせてから焼き上げるのが関東風。
武家文化などどうでも良い関西では他の魚同様腹から捌き、蒸さずに焼き上げる。これが関西風なのだそうだ。

違いは先ず捌き方が腹と背中の違いがあるので、内臓の部分が内側か外側かの見た目の違いがある。
それよりも明らかに違うのは食感である。関東風は蒸してから焼くので全体的にふんわり柔らかく仕上がるが、関西風は蒸さずに焼くのでカリッと香ばしく焼き上がる。

わたしは初めて金沢の『きふじん』で蒸さずに焼き上げたうなぎの蒲焼きを食べ、これまで食べてきたうなぎの蒲焼きよりもこの方が絶対に美味しい!と思ったのだが、金沢には金沢の事情があり、これはややこしいことに関東風でも関西風でも無いのである。
焼き方は関西風同様に蒸さずに焼くのだが、金沢はまさに武家文化が根強い街であるが故、捌き方は背開きの関東風なのである。

まさに金沢のうなぎの蒲焼きは捌き方は関東風、焼き方は関西風のハイブリッドなのである。
ちなみにこの『きふじん』さんは金沢駅からはちょっと離れて、金石街道を北陸本線の陸橋を越えてすぐのところにある。
うなぎは時価だが、金沢でうなぎをいただくとしたらいの一番にオススメするお店だ。

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