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玄関が線路に面した謎の家。

『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』


毎週末は池袋西口の我が家から南池袋〜雑司ヶ谷〜東池袋という正味90分ほどのコースを朝ン歩するようになって、かれこれ5年くらいだろうか。
コロナ禍に入ってからは雑司ヶ谷霊園に眠る永井荷風の墓参をするようになり、ちょっとコースが長くなったのだが、そのおかげで出会ったのがこの写真の廃屋である。

雑司ヶ谷霊園に墓参してから、都電荒川線の都電雑司ヶ谷電停の踏切のところにこの廃屋が合った。
初めて見掛けたときはただの廃屋としか認識していなかったのだが、毎週通りかかっている内に妙な違和感を感じたのである。

写真の通り玄関はこちら側を向いているが、その手前は都電荒川線の線路なのである。
普通であれば玄関先まで小径があるはずだが、玄関の前はもう線路であり、この住民のための動線が確保されていないのである。
この玄関に辿り着くためには線路内に不法侵入しないといけないのだ。

いったいどういういうことなのだろうか?
以前は荒川線の線路は別の経路を通っていて、この住民は問題なく動線が確保されていたということだろうか?

毎週通りかかる度にそんな妄想を繰り返していたのだが、南池袋二丁目再開発が始まり、この辺一帯の住宅はすべて解体されてしまい、この廃屋はもはや存在しないのである。


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