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蓋をされた川。

『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』


都内のちょっと古めの住宅地の中には『緑道』とか名付けられた遊歩道が各所にある。
以前はなにもわからずに車も通らないし、緑もあるし散歩には持って来いの道だなくらいにしか思っていなかったのだが、散歩を趣味とするようになると自分が歩いている道の歴史とかにも触れるようになり、この緑道といわれているモノのほとんどが『暗渠』であるとしることとなった。

『暗渠』とはまさに蓋をされた川のことである。
1960年代の東京オリンピックに向けた東京大改造の時期や、70年代の生活用水問題の際に、まさに文字通り「臭いものに蓋をする」とばかりに蓋をされたあげくの姿が、現在の素知らぬ顔で佇む暗渠なのだ。

わたしの散歩コースの一つである『谷端川緑道』もそんな暗渠の一つである。
元々は名に残る『谷端川』という川であり、水源は千川駅近くの粟島神社の湧き水。
そこから現在の谷端川緑道のルートを辿り、大塚〜千石〜小石川〜後楽園と道路の下を流れて最終的には水道橋の市兵衛河岸のところから神田川に合流する。

そんな谷端川緑道には大正時代に『池袋モンパルナス』の一角がアトリエを構えた所も在り、田畑だらけのところを流れる小川の脇に屋根の高いアトリエ付木造家屋が建ち並んだ光景を思い浮かべながら散歩するのが好きなのだ。


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