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ニコンの激安中古レンズを復活させる(その7)New Nikkor 50mm F2

おつかれさまです.今回はフィルムカメラ時代の標準レンズだった焦点距離50mmの単焦点レンズだ.もっと早く入手したかったのだが,予算がレンズ1個あたり送料込み2千円という自分ルールの下では,なかなか入手できなかった.たまたま例によってフォーカシングリングが動かないNew Nikkor 50mm F2が千円以下で落札できたので,これを復活させる.

ニッコール千夜一夜物語の第二夜に登場します.

現状把握

フォーカシングリングが動かないのはわかっていたが,本当に頑として動かない.光学系はカビが見えるが,それほど酷くはないので,清掃すれば問題ないだろう.

分解・修理・清掃

このレンズの分解方法は,例によって下記のサイトに載っている.

フォーカシングリングのラバーを外すのはできたが,フォーカシングリングの前にあるベゼルが外せない.台所用のゴム手袋を使っても,ベゼルの幅が狭くて,力が入らないのだ.結局ここは後回しにして他を攻めることにした.

先端の銘板は,ゴム製のレンズオープナーで簡単に外れた.次の遮光リングも同じ方法で外れた.あとは,アセトンで接着剤を溶かしつつ,カニ目レンチを使って次々と外していくと前玉に到達することができた.レンズのカビは,レンズクリーナーで簡単に拭き取ることができた.

後玉にはマウント側から攻めていく.3個のセットスクリューを外して遮光リングを外すと,後ろ玉ユニットが露出するので,カニ目レンチで回すと簡単にユニットが外れた.あとは,ひとつひとつカニ目レンチを使ってリングを外していくと,後ろ玉のレンズがすべて分解できた.レンズクリーナーを使ってレンズを清掃すれば,光学系の清掃はひとまず終了である.

ヘリコイドが動かない問題は,以前の経験を生かして金属製の鏡筒をヘアドライヤーで温める作戦をとった.鏡筒を手で持てないほど熱々にして回そうとするのだが,なかなか回らない.結局,この操作を5回くらい繰り返して,やっとのことで回すことができた.焦らず気長に作業を繰り返せば,なんとかなるようである.

ヘリコイドは回るようになったのだが,今度は動きがスカスカでキーキー音がでてしまう.明らかにグリス切れである.後でヘリコイドをグリスアップしよう.

ところで,なかなか外せなかったフロントのベゼルは,後日吸盤オープナーの最も大きな吸盤を使って外すことができた.なんとかなるものである.これで,ボトルネックの一つがなくなった.

Ai化改造

このレンズのAI化改造は,絞りリングを一部削れば良いようだ.そのためには,マウントを外して絞りリングを取り外さなければならない.ところが案の定,このマウントを止めているネジが固くて回らない.アセトンをしみ込ませて回すのだが,5個のネジのうち2個がどうしても回らない.内1個はなめそうになるも,なんとか回すことができたのだが,結局最後の一つはねじをなめてしまった.こうなってはねじの再利用はあきらめて,なんとしてでも抜き取るしかない.以前はインパクトドライバーを使ったが,今回は,「ビス抜きビット」なるものを試してみた.

M2のビスに適合するものは,近所のホームセンターになかったので,Amazonに注文しました.

径1mmのドリルでプラスネジの頭に深さ2-3mmの穴を掘り,そこに左ネジを切ったジグで抜き取る方法である.このレンズのマウントのネジは,M2x3mmなので,貫通するまでドリルで穴を掘って,やっと抜き取ることができた.

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こんな感じで抜き取れます.ネジは再利用できませんが,マウントへのダメージはほとんどないと思います.

抜き取ったネジは再利用できないが,M2x3mmの低頭ネジは,安価に入手できるので,しょんぼりせずに次の作業にとりかかる.

近所のホームセンターには,M2x3がありました.

マウントが外れたので,絞りリングを取り出すことができる.さらに銀色のリングと一体化した距離目盛が入ったリングを外すとヘリコイドだけの鏡筒となる.ヘリコイドは,分離する位置をマーキングして分解し,古いグリスを拭き取り,新しいグリスを塗った.これで,ヘリコイドの動きは正常になり,ヌルヌルした感触が戻ってきた.

このレンズは,絞りリングの所定の位置を削れば,AI化ができる.絞り開放がF2のレンズの場合,F(8+2/3)の位置に段差を作れば良いようだ.ヤスリを使って慎重に削っていった.D300に非CPUレンズとして開放F値2のこのレンズを登録し,これをカメラ側で選ぶ.改造したレンズを装着し,選んだ絞りの値が,カメラに正常に伝達されていることを確認する.

最後に元通り組み立てれば作業終了である.

まとめ

今回もヘリコイドグリスが固着したジャンクレンズだったが,この問題を解決して仕上がったレンズを見ると,外装がかなり良いコンディションである.やはり,フォーカシングリングが動かないレンズは,使われずに長期間保管されていたに違いない.グリスを交換してフォーカシングリングの動きもスムースになり,たいへん満足である.さて映りはどうだろうか?

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出勤途中に,いつものポジションから撮影しました.
Nikon D300, F8, SS1/2000, ISO400

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最短撮影距離が0.45mなので,そこそこ寄れます.
Nikon D300, F2, SS1/2000, ISO400

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