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ニコンの激安中古レンズを復活させる(その12)NIKON Series E 100mm F2.8

おつかれさまです.
今回は,安価な中望遠レンズである.ニッコールには,85mmF1.8とか,105mm F2.5とか,名玉と呼ばれる中望遠レンズがあるが,どちらも中古価格がものすごくお高くて,なかなか手がでない.どうしたものかと思っていたら,Series-Eのレンズの中に焦点距離100mmのレンズがあり,これを安価で入手できた.プラスチック鏡筒だし,レンズコーティングもシングルのようで,いかにもチープな感じがするが,気軽に持ち歩くには良いレンズかもしれない.さっそく,オーバーホールしていこう.

現状把握

入手したレンズは,ぱっと見た限り,外装もレンズの状態も驚くほど程度が良かった.しかし,手に取ってフォーカシングリングを回そうとすると,とても重い.本当に固着しているのかと思うくらい重たいのである.これでは使えないので,さっそく分解してヘリコイドのグリスを交換しよう.

分解・グリスアップ

分解のやり方は,例のごとくこちらのサイトに詳しい内容が載っていた.

写真だけ見ても,だいたい手順がわかりますが,英語の文章をよく読むと,注意点とか書いてあって勉強になります.

注意したいのは,大部分がプラスチックなので,ネジの締め込みすぎは厳禁である.力を入れすぎると,簡単にネジ山が壊れてしまう.逆に緩めるのは簡単で,無水エタノールとかの溶剤は一切使う必要がなかった.なおアセトンなど,強い溶剤はプラスチックを溶かしてしまうので禁忌である.

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ゴム製のレンズオープナーを使って銘板を外しました.簡単に苦も無く回りしました.

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ネジを3本外して,前の鏡筒を外しました.

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これもネジを3本外して,前玉ユニットが外れました.特にカビもくもりもないので,これはそのままにしておきます.

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マウントを外しました.いつもはネジが固くて苦労するのですが,今回は簡単に回りました.

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絞りリングを引き抜くと,こんな感じ.後ろ玉も3本のネジを外すと外れます.こちらも綺麗なので,分解はしませんでした.

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絞りリングは簡単に外れます.

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直進キーを止めているネジはちょっと堅かったけど,無事に外せました.

ヘリコイドを外す際には,外れる位置をマーキングすることを忘れずにする.さもないと,組み立ての際に苦労する.

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ヘリコイドはこんな感じ.外側のピッチの小さいネジ山に入り込んでいるグリスが,なかなか拭き取れずに苦労しました.

ヘリコイドに付いている,古いグリスをベンジンを使って拭き取り,柔らかいシリコングリスを塗ったのだが,少し重めのフォーカシングリングになってしまった.まあ以前に比べればかなり良くなったので,これで良しとした.

まとめ

Series-Eのレンズは,実は35mm F2.5も所有しているのだが,ニッコールの35mm F2.8があると,そちらを使ってしまい出番がないのが実情である.その点,この100mmは軽くて小さいのがとっても魅力的である.Ai Nikkor 105mm F2.5の重さが435gなのに対し,このSeries-Eの100mm F2.8は225gで,約半分である.写りが云々というよりこの軽さが,外に持ち出す頻度に直結するだろう.

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レンズの目盛りがカラフルです.

Series-Eの前期型のデザインは,他のニッコールと比べて違和感を感じてしまう.例えば鏡筒は,ニッコールレンズでは金属に艶のある黒が塗装されているが,この前期型のSeries-Eレンズでは,つや消しの黒に着色されたプラスチックのむき出しである.しかし,上の写真にあるように,はじめからカニ爪がないためもあって,マウントアダプターが装着されたミラーレスカメラと合わせても,意外と綺麗に収まるのがすばらしい.

以下の作例は,上の写真に示すAPS-Cセンサーのカメラと,フォーカルレデューサー付きのマウントアダプターを使って撮影した.なので画角は,35mm換算で焦点距離100 x 1.5 x 0.726=109mmのレンズに相当することになる.

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FUJIFILM X-E2, Nikon Series-E 100mm F2.8 + Zhongui Lens Turbo II
F8 SS1/1000 ISO400; Film simulation, Classic Chrome

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FUJIFILM X-E2, Nikon Series-E 100mm F2.8 + Zhongui Lens Turbo II
F2.8 SS1/640 ISO400 -1.5EV; Film simulation, Classic Chrome

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FUJIFILM X-E2, Nikon Series-E 100mm F2.8 + Zhongui Lens Turbo II
F5.6 SS1/500 ISO200 +1.0EV; Film simulation, Classic Chrome

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FUJIFILM X-E2, Nikon Series-E 100mm F2.8 + Zhongui Lens Turbo II
F2.8 SS1/4000 ISO200; Film simulation, Classic Chrome

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FUJIFILM X-E2, Nikon Series-E 100mm F2.8 + Zhongui Lens Turbo II
F2.8 SS1/1600 ISO200; Film simulation, Classic Chrome

このシリーズの終わりに

これまで12回にわたり,送料込み2千円以内で入手したレンズをオーバーホールしてきた.なかにはうまくいかなかったものもあるが,単焦点レンズだけでも,広角の28mmと35mm,標準の50mm,中望遠の100mmと135mm,望遠の200mmとひととおり揃えることができた.本当は85mmも試してみたいのだが,お高くて送料込み2千円で入手するのは困難である.

素人が分解したり,改造したりしたレンズは,リセールバリューはゼロだが,もともとお安く入手したので,そんなことは気にしなくて済むのが良いところだ.実は分解には道具を揃える必要もあり,レンズの他にも費用が掛かっているのだが,こんなに安価に単焦点レンズが揃えられるのは実に痛快である.


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