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Ai AF Micro-Nikkor 55mm F2.8sを整備して,スナップ写真を撮ってみた

おつかれさまです.Ai Micro-Nikkor 55mm F2.8sがとっても気に入っていたのだが,ミラーレスのNikon Zfcと使うと,撮影時の絞り値がExifに残らないのが不満だった.そこで後継機種でニコンが言うCPUレンズである,Ai AF Micro-Nikkor 60mm F2.8sと,純正マウントダプターのFTZを導入して,しばらく使ってみた.Exifに絞り値が記録されるのはとっても有り難いのだが,夜景撮影の際に点光源が滲むような気がする.

どちらも平成時代を通じて生産・販売されていたロングセラーなので,光学性能は甲乙つけがたいはずだが,私の好みは6群7枚の60mmよりも,5群6枚の55mmのようだ.そこで,このレンズのCPUレンズバージョンであるAi AF Micro-Nikkor 55mm F2.8sも入手してみた.このレンズはAF Nikkorの黎明期に,わずか3年だけ生産された不遇のレンズのようである.申し訳程度のフォーカシングリングしかなく,マニュアルフォーカスの操作性は悪そうである.しかし,光学系はAi Micro-Nikkor 55mm F2.8sを引き継いでいて,しかも繰り出し量を増やして等倍マクロ撮影ができるらしい.

分解・修理・清掃

少ない予算で入手できたレンズは,フォーカシングリングがスムーズに動かないというものだった.さっそく分解して修理に取り掛かった.分解については,例によってこちらのサイトに詳しい手順が書かれているので,これを参考に行った.

マウント側からのアプローチ

幸いにも,マウントを留めている3本のネジは簡単に回った.マウントを外すとオートフォーカスのギア機構が見える.この状態でフォーカシングリングを回すと,ストロークの途中で確かに引っかるのである.どうやら鏡筒側の歯車がかみ合わなくなって引っかかるようである.こんな事があるのかと思ったのだが,どうも鏡筒側のギアリングが歪んでいるようである.

こちらのギアのかみ合わせが良くないようです

以前入手していた同じ機種のジャンクレンズがあるので,そこからこの部品を取って交換することにした.ネジを次々と外して鏡筒の外装をとり,さらに分解していくと,レンズがユニットごと外れた.

レンズユニットが外れました.

これでやっと,問題の部品にアクセスすることができた.

こちらのパーツを交換しました.

レンズユニットも分解して清掃しようかと思ったのだが,レンズ自体は強い光を当てても,目立つ汚れやカビもないようなので,これ以上触らないことにした.あとは元通りに組み立てれば整備は完了である.

まとめ

金属鏡筒のAFの付かないニッコールに比べると,部品点数が多く,傷つけやすい電気系接点やフレキシブル基板があって,分解には苦労する.ただ工数は多かったが,フォーカシングリングはスムースに動かせるようになり,満足のいく修理ができた.

このレンズは,前玉が鏡筒の奥まったところにあるので,不用意にレンズを触る心配はない.従ってプロテクトフィルターは不要である.レンズフードも不要かと思うのだが,先端の保護のためにラバーフードを取り付けて使用している.

Zfcとのバランスは悪くないと思います.

当初,フォーカシングリングの幅が狭くて,滑り止めのゴムすらないので,操作性は最悪かと思っていた.しかし慣れてしまえば,最短撮影距離から無限遠までのストロークが大きくて,Ai AF Micro-Nikkor 60mm F2.8sよりはピントを合わせやすい.シンプルで若干細い鏡筒がFTZにフィットするし,レンズ自体も若干軽い.

だがこのレンズの最大のメリットは,光学性能の優秀さだろう.夜景撮影でも点光源の滲みが少なくてヌケが良く,解像度も最高である.ボケもきれいだし,玉ボケの形が周辺でも綺麗なのがうれしい.まったく弱点のない万能レンズだと感じている.

私の撮影スタイル

ここでZfcを使う際の私の撮影スタイルをご紹介する.フィルム写真の時代を知っている古い人間なので,当初ISO感度は固定で,撮影モードは絞り優先のAモードを利用していた.ところがZfcは高感度性能が優れていて,ISO感度を上げても,画質が大きく破綻することはないようである.

それならば,マニュアルのMモードで好みの絞り,シャッタースピードに設定して,ISO感度を調整して露出を合わせれば良いことになる.ところがZfcでは,ISO感度ダイアルが左にある.撮影中に左手でISO感度調節するなら,右手でカメラを支えなければならないが,グリップのないZfcでは困難である.

結局,ISO感度はオートにして,露出補正ダイアルで実質的にISO感度を調節することにした.電子接点付きのAi AF Nikkorを装着して撮影モードをMモードにし,シャッタースピードダイアルを1/3STEPに合わせると,メインコマンドダイアルはシャッタースピード,サブコマンドダイアルは絞りを調整できる.露出補正ダイアルでISO感度を調節すれば,ファインダーを覗いたまま,すべて右手で操作できることになる.

おまけ

ところが,肝心の露出補正ダイアルが,Zfcを購入して3ヶ月で故障してしまった.ダイアルの軸への固定が甘くなって,グニャグニャの操作感になり,ダイアルがどこを指しているのかわからなくなってしまった.もちろん保証期間中なので無償修理をお願いしたのだが,予備のカメラは売り払ってしまったので,戻ってくるまでカメラがないのは痛い.

だが,横浜の修理センターに直送したのが良かったのか,1週間かからずに修理から戻ってきた.また壊れないか心配だが,修理に関してはニコンの迅速な対応はすばらしい.

ちょっとだけ作例

実家のある小樽でテレワークしてきた.
Zfcに装着すると35mm換算で焦点距離82.5mmだから,狭い街中でスナップするには向かないが,広々とした場所では使いやすい.
北海道小樽市にて

小樽駅のランプ

小樽駅の裕次郎ホームにある窓越しにランプを撮りました.奥の窓にあるランプが点光源になって玉ボケを作ってます.

Nikon Zfc, Ai AF Micro-NIKKOR 55mm F2.8s, f/2.8, SS1/80, ISO640
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小樽運河の遊覧ボート

以前はなかったと思うのですが,水質が改善されて,小樽運河にも遊覧ボートが行きかうようになりました.

Nikon Zfc, Ai AF Micro-NIKKOR 55mm F2.8s, f/2.8, SS1/80, ISO22800

札幌に移動しました

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ヒゲのおじさん

すすきの交差点のシンボルですね.

Nikon Zfc, Ai AF Micro-NIKKOR 55mm F2.8s, f/2.8. SS1/60, ISO100
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有名な時計台です.

五稜星は開拓使のシンボルです.

Nikon Zfc, Ai AF Micro-NIKKOR 55mm F2.8s, f/5.6. SS1/125, ISO5000
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札幌の中島公園にある豊平館です.

こちらにも五稜星が掲げられています.

Nikon Zfc, Ai AF Micro-NIKKOR 55mm F2.8s, f/5.6. SS1/500, ISO220
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中島公園でみつけた松ぼっくり.

エゾマツの松ぼっくりは大きくて長いのです.

Nikon Zfc, Ai AF Micro-NIKKOR 55mm F2.8s, f/5.6 SS1/500, ISO1800

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