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10年で変わったもの、変わらないもの

日本のスタートアップ環境

エックスエージェントを創業して10年が経過した。その間に、自身のiCARE共同創業・離脱も含めて随分色々な景色を見て来た。日本のスタートアップ界隈も俄に盛り上がりを見せ、政府がスタートアップに対しての支援を明確に打ち出している。岸田総理が自らスタートアップに言及し、多くのVCやCVCが立ち上がり、米国とは比較にならない規模ではあるが多くの起業家にとっては恵まれた環境になってきていると感じる。

一昔前であれば起業といえば学生や失うものがない若者がするようなイメージであったが、昨今はBtoB領域、特にSaaS領域においては経験豊富な30代40代の起業家も増えてきている。その背景には潤沢な資金環境により、起業当初からある程度の給与水準・役員報酬を担保しながら事業開発に取り組める状況が生まれているというのも大きいと思う。

また一方で、日本の大手企業における閉塞感、成長性の低さに嫌気がさした若者が自身の可能性に挑戦するという側面も大きいのではないだろうか。筆者自身も転職支援や創業支援を通じ、10年前にはほぼ見なかった層がスタートアップ転職や起業に挑戦するというケースに遭遇することが明確に増えて来ている。日本においてもスタートアップでの成功事例が増えて来ており、それに触発された優秀な若者が大企業就職よりもスタートアップに活路を見出しているのは、私自身もとても嬉しく感じている。

今度日本のスタートアップが目指すべきもの

一方で、冒頭のグラフである。日本の主要IT企業と米国のIT企業の時価総額の差は、この10年で大きく広がっている。日本では健闘している部類のソニーでさえ、10年前のGoogleの時価総額にも遠く及ばないばかりか、米国企業との時価総額は天と地ほど離れている。ここには掲出していないが、電気自動車で世界を席捲しているテスラの時価総額においては、創業者のイーロン・マスクの持分だけでトヨタ全体の時価総額を上回るという事象すらも発生している。世界との差は広がるばかりである。

私は日本が好きだし、日本のスタートアップすべてがユニコーンを目指す必要はないと思っている。一方で、世界に伍して戦えるスタートアップがこれから増えてくる事を願っているし、自分自身も世界にチャレンジする準備を今でも粛々とに進めている。

ただ、この世界については全くの門外漢からはわかりにくく、村社会に見えることも多いと思う。もしスタートアップにチャレンジしたい、まずは起業ではなくスタートアップ転職にチャレンジしたい、などと考えている人がいるならば、ぜひ気軽に問い合わせて一歩を踏み出してほしい。必ずそこには新しい世界や楽しさ、そして厳しさがある。

日本のスタートアップは、まだまだ黎明期である。

エックスエージェント株式会社 代表取締役 飯盛 崇