見出し画像

「しずおかDXコンソーシアム発足式」へ参加しました

昨年10月に引き続き、「しずおかDXコンソーシアム発足式」へ参加しましたので、イベントレポートを書きます!

静岡でのDX事例として、藤枝市と江崎グループ(折込チラシ等)の具体的な取り組みについても詳しく書きましたので、ご覧ください!

しずおかDXコンソーシアムとは?

自分は静岡市出身で、今は都内に住んでいますが、地元静岡へ貢献したい&2拠点生活を含めて移住を検討している、ということで静岡DXコンソーシアムのイベントへ毎回参加しています。

(2020年10月に参加したキックオフのイベントレポートはこちらです)

しずおかDXコンソーシアムは、静岡鉄道、静岡ガス、静岡銀行により設立される、地域のみなさまのDXを推進するための任意団体です。DXに関する実践知を集め、学びを深めるための活動を、静岡県下企業のみなさま、県外企業のみなさま、自治体のみなさまとともに行っていきます。
レッドジャーニーはこの活動を運営・支援しています。
しずおかDX公式HPより

静岡の地域としての発展を目指すことを目的として立ち上がった団体がしずおかDXコンソーシアムです。

カイゼン・ジャーニー」や「正しいものを正しくつくる」などを出版し、政府CIO補佐官の市谷聡啓さんが代表を務める株式会社レッドジャーニーが運営を支援されています。

画像1

しずおかDXコンソーシアムの活動内容

市谷さんやレッドジャーニー社では数多くのDX支援実績があるため、具体的な事例などを用いて勉強会やワークショップなどの開催が計画されています。勉強会などを通じて静岡の企業におけるDXを推進していくということですね。

勉強会については、DXを行うために必要となる4つの要素に合わせて、2021年4月から2ヶ月に1回のペースで行われます。

4つの要素とは以下のとおりです。

■DXの4つの段階設計
1)人(推進チーム・支援体制)の整備
最初から全てを変えようとするのではなく、まずは「人(推進チーム・支援体制)」を整えることが必要です。そもそも、人がビジネスの変化についていけないと、いくらデジタル化への施策を打っても無駄になってしまうからです。

2)業務のデジタル化(構築のトランスフォーメーション)
変化に適応できる足場作りとして、業務のデジタル化を行います。ビジネスを大きく変革していくのに、手作業で行う単純作業が多く残っていたりすると、できることの制約が生まれてしまうからです。(例えば、紙のまま保存されている書類はデータ化されていないので、データ分析することができない)

3)ビジネスのトランスフォーメーション
仮説検証に基づく実験を繰り返し行い、例え小さくても結果を積み上げていきます。それが新たなビジネスの創出にも繋がります。

4)組織のトランスフォーメーション
新たな事業に適した組織作りを行います。また、新規事業で得られた知見やノウハウを既存事業へ転用するための組織・体制作りも必要です。

ここまでがしずおかDXコンソーシアムとは何か、というお話しでした。

ここからは静岡のDX事例を学ぶセッションということで、藤枝市と江崎グループにおけるDXの事例紹介が行われました。とても勉強になる内容でしたので是非ご覧ください!

静岡のDX事例1「藤枝市における取り組み」

藤枝市は静岡県の中部に位置する町で、人口は約15万人ほどです。静岡=サッカーの町、と言われているように、藤枝市にある藤枝東高校はサッカー強豪校としても有名で、日本代表にもなった長谷部誠選手は藤枝市出身です。

藤枝市では『ICTで人の流れを呼び込むまちづくり』というテーマで、AIやIoTを活用しながら住みやすい町づくりを続けており、毎年転入人口が伸び続けています。全国的にも人口が減っている町が多数を占める中、転入人口が増えているというのは驚きです。

藤枝市が取り組んでいる具体的な事例をいくつか紹介します。

■産学官での推進組織「藤枝ICTコンソーシアム」の設立
産学金官が連携することによって、情報交換や教育、研究、実証実験、などを行い、ICTの活用を積極的に推進する組織が作られています。

画像2

コンソーシアムでの活動として、セミナーが定期的に行われているのですが、それだけでなく、民間企業と連携協定を結ぶことでICT活用を推進しています。

■全国初ソフトバンクとの包括連携
全国で初めて、自治体がソフトバンクと包括連携協定を結びました。包括連携協定とは、町づくりや防災など地域が抱えている様々な課題に対して、自治体と民間企業の双方の強みを活かして一緒に取り組んでいく、という取り決めです。

ソフトバンクと包括連携をしたことで、市内の全小中学校ではPepperを活用したプログラミング授業が行われました。プログラミング全国大会で藤枝市の中学生が優勝しシリコンバレーで研究発表するなど、非常に大きな成果をあげています。

画像3

※出典:「Pepper 社会貢献プログラム プログラミング成果発表会」葉梨中学校が金賞受賞

災害時の健康・衛生確保のためのAI水循環システム
災害対策として、被災した際にも健康・衛生を保てるように、少ない水量でシャワーを利用できるAI水循環システムの運用実証も行われています。

通常大人1人が使うシャワーの量は50リットルと言われていますが、AI水循環システムを使うことで、100リットルの水量で100人がシャワーを利用できるようになります。

といったように、まだ紹介しきれていないのですが、藤枝市では様々なICT活用への取り組みを行っています。

「オープンイノベーション」として、藤枝市が抱える課題に対してICTを活用した解決策を全国から募集して採択するなど、スタートアップとの協働も進んでおり、今後の活用事例もとても気になります。

静岡のDX事例2「江崎グループの折込チラシのデジタル化」

次は民間企業である江崎グループ(江崎新聞店、静岡オリコミなど)のDX事例です。

江崎新聞店は1909年に創業され、静岡市の約7万世帯に対して新聞や折込チラシを配るなど、地元に根づいた老舗企業です。

しかし、最近はやはりWeb広告の台頭により、新聞や折込チラシを見ない人が増えています(特に若者ですね)。またそれだけでなく、江崎グループが手掛ける各事業が全てWebサービスと競合することになっていました。

◯折込チラシなどの広告 → Web広告
◯新聞 → SmartNewsやヤフーニュースなどのWeb媒体
◯映画館 → NetflixやAmazonPrimeなどの動画配信サービス
◯ボーリング場などの商業施設 → スマホゲーム

そこで大きく2つの戦略を立てました。
「Web広告への対応」と「折込広告のデジタル化」です。

■Web広告への対応
こちらはシンプルな対策ですが、Google広告のやり方などを勉強し、江崎グループでもWeb広告の運用業務を請け負えるようにしました。

広告業界で培ってきたノウハウを活用して、紙だけでなく、Webでも広告できるように事業の幅を広げた形です。

しかし、Webマーケティングに特化しているIT系の企業と比較してしまうと、劣ってしまうということで、それほど大きな成果には繋がらなかったようです。

折込広告のデジタル化
そこで折込広告自体をデジタル化するために、自社プロダクトを開発しました。それが「ポスティング・オリコミ・プランナー」です。

従来は折込チラシを配布する先として、場所を絞るくらいしかできなかったのですが、「ポスティング・オリコミ・プランナー」では、年収・世代・性別・家族構成などの属性によってターゲットを絞ることができます。

ターゲットを絞った上で、折込チラシを配布することができるサービスです。

(例として静岡市でお茶類が好きな家庭を対象にチラシを配るシミュレーションをした画面)

スクリーンショット 2021-03-10 16.57.55

このサービスでは、ビジネスモデルの変革まで進むことができており、まさにDXの成功事例と言えるのではないかと思います。

江崎グループのDX事例に関するディスカッション

静岡オリコミ 取締役社長室長の江崎様からお聞きしたディスカッション内容をいくつかご紹介します!個人的に、ここが最も勉強になったと感じています。

■人的リソースはどのように準備したのか?
レッドジャーニー社と協力しながら進めていたが、サービス開発段階ではそれほど多くの人員は必要なかった。どちらかというと、サービス開発後の営業フェーズで人が必要だったので、社内のエース級の営業マン2名を投入した。

エース級の人員を投入することで、会社として本気で取り組んでいるということを社員へ伝えるという意味もあった。

■社内から反発はなかったか?
日頃から、このまま今のビジネスを続けていたらどうなるのか、という危機感について話していたため、大きな反発はなかった。ただ、現状から変わりたくないと思っていた社員はいたが、DXというプロジェクトの話をするだけではなく、さらに上の「経営」「ストーリー」を話すことで、社員への理解を得ながら進めることができた。

■苦労した点は?
必要性の理解を伝えることが大変だった。また、折込業界の常識を、デジタル業界の常識へ寄せていくという点も大変だった。

デジタル業界では当たり前のことでも、折込業界では当たり前ではないこともあるため、「これは当たり前だから言わなくてもいいか」ということがないように、きちんと発言して認識をすり合わせることが重要。

■DXを進めるためにはどうすればよいか?またポイントはどこか?
まずは「理念」が重要。DXという手段が目的化しないように、理念に沿って、従来の手段を変えていくことが必要となる。

例えば静岡オリコミでは、新聞を配ることが目的ではなく、最新の情報を毎日お客様へお届けすることが重要なので、新聞配りをすることで「毎日お客様と接点を持っている」という点に着目すれば新しい施策をうつことができる。

あとは、そもそも自社の競合はどこなのか、という点を改めて見直すことが重要。新聞配りをしている他社が競合となるのではなく、Googleが競合となる、といったように従来捉えていた競合を変えていく必要がある。

「とりあえず、まず走り出す」ということも重要。


ということで、「しずおかDXコンソーシアム発足式」で学んだ内容を記載しました!もし興味のある方は、ぜひしずおかDXコンソーシアムへご参加頂ければと思います。

しずおかDXコンソーシアムへ参加できます!

DXへの取り組みを検討されている方、必要性を感じている方は、しずおかDXコンソーシアムへ参加することができます!

静岡県下企業を主な対象としていますが、本コンソーシアムの趣旨に賛同いただける方はどなたでも参加できますので、興味のある方はぜひ検討してみて頂ければと思います。

(公式HPから申し込み可能です)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?