彼が好きだったのは彼女だった



私じゃない、「彼女」だった。

いつも明るく笑顔で優しくて
不平不満を言わない、何でも許してくれる、物分かりが良い彼女。

手料理を振る舞ってくれて、運転もそこそこできて、
長い髪を綺麗に手入れして、スカートを履きこなす。

それは、私ではない。
彼の理想だった。
彼は理想の彼女を可愛がっていた。
私のことを認めてはくれなかった。

求められるのも、期待されるのも、もう疲れた。
これ以上一緒にいたら、自分が嫌いになる、そう確信したときに
やっと覚悟ができた。

私は彼に恋をして、自分を見失った。
自分を取り戻すのに時間がかかったけど、まだ遅くはない。

何かに縛られることなく、
自分で自分を好きになっていきたい。

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