2024.08 うつ抜け短歌
■うつ気分で詠んだ歌
衣食住足りて礼節知る昔 足りて死望む 今ぞ哀しき
行き過ぎた 強い愛情 過干渉 意図せぬ毒が蝕み続け
中学で手術までした古傷が治ってないと今さら知って
今さら手術もできぬと聞いて
押してるさ ヤル気スイッチ あったらさ いつもと変わらぬ暑い夏の日
凪いだ今初めてわかるこれまでの感情《おもい》の波の荒む心浦《うらう
ら》
これからも感情《おもい》翻弄される日々寄せては返す波のごとくに
この世での実存感じて嬉しくて それしか無くて もの悲しくて
空気か!とツッコまれるが何見とん? 空気やったら溶け込んどるわ
同じ時同じ場所にいるのにさ 間挟まる次元断層
一孤独、二劣等感、三疎外 どの数だとて 人はこころ病む
棚卸しやれどやれども終わらなく新譜まだ入れられぬや心
幽霊の正体見たいと切望す 重い体躯(からだ)を引きずりながら
雨に傘 傷には薬 心には嘘と仮面と鎧纏って
泣くほどに心動かす物語出会う暇なくして泣ける
白と黒はっきりさせず虹色で こんな大人なりたくなかった
すっきりと晴れてくれない空心 曇っていても明るい昼間
■うつの中でもがいている歌
眠れない 手変え品変えまくら替え やはり眠れず睡眠薬飲む
テクテクとあたま空にし日の下をただ一歩ずつ足を進める
漫然と頭に浮かぶモヤモヤをスピッツ聴いて歩き流して
まんまるの光明るく浮かんでる わたしの心もともに浮かんで
他人(ひと)の様 無性に腹立つ その実は寝不足 視野の狭くなりけむ
嗚呼こりゃいかん 今日ははよ寝む
大木のように独りでどこまでも 伸びゆきたいが人、木に非ず
支え合いつつ 折りつ戻りつ
まぁいいか居場所なんかはどこだって根でなく足で立ってんだから
ひたすらに誠の道をと歩みつつ 行きつ戻りつまた一興よ
比べみて親のしたことしないこと今さら恨みてなんも変わらん
愛したい lonelinessではないほうの solitudeと訳す孤独を
水に他者、身体、心に 息、言葉 周りすべてが実は鏡か
酒たばこ薬セックスギャンブルと天国昇《ヘブ》る手段はたくさんあれど
繰り返す時計に調子合わせてさ 忘れていたよ大事な鼓動《リズム》
疲れやら痛みやらあるそんなとき 心も弱る まずは回復
腐っても言葉にしたくない心まで腐っていってしまいそうで
雑感
多い。
まぁしかたないか。うつ抜け短歌とでも命名しようか。
たとえ鬱だったとしても短歌を詠むって創造的な活動できてる分には這い上がれそうだし。
1点、注釈
心浦《うらうら》という言葉が出てきますが、これは造語。
古文で心を「うら」と読むなど、心=うらと読んで語源となっている言葉が多いらしいと聞いて使いたくなったんだと思われ。
例
うらやましい → 心(うら)+病む
恨み → 心(うら)+見る
うるさい → 心(うら)+忙しい (うらせわしい→うるさいと転じた?)
元ネタはゆる言語学ラジオから
ゆる言語学ラジオ#26 「ひよこ」と「うんこ」の共通点は?
謝辞
読んでいただきありがとうございます。
理系出身ながら言葉遊びは好きで短歌を詠み始めました。
三十一文字にユーモアをのせた歌を詠んでいきたいと思っています。