知っておきたいベンゾジアゼピンの知識
ベンゾジアゼピンは安易に変薬してはいけない
睡眠障害などで、
眠れないからといって
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を
安易に作用機序の異なる睡眠薬に
置き換えてはいけません。
それは、一気断薬と同等の状態であり、
GABA機能が破綻した状態で、
ベンゾの支えを失うことになり、
猛烈な離脱症状が出ます。
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を常用していて
依存・耐性が形成された後に
眠れないという理由等で、
例えば、オレキシン受容体拮抗薬
ベルソムラや、デエビゴなどに変薬すると
それらは、作用機序が全く違い
オレキシン受容体に作用する薬なので
ベンゾジアゼピンの支えを失い、
一気断薬したと同じ状況になり、
GABA受容体が減少した状態では
過興奮が生じ、離脱症状となります。
同じベンゾジアゼピンに変薬しても
力価が低いものに変薬すると
離脱症状が出るのです。
一気の変薬は危険です。
本来はこのような知識は医師が当然
持っているべきで、あってはならないことです。
医師から薬を変えようという話があった場合、
特に作用機序の異なる薬への変薬の場合は、
恐れずに この知識を医師にぶつけて、
自分を守ってください。
日本人の16%はジアゼパムの代謝能力が低い
この記事は、
「セルシンなどのジアゼパムで体調悪化した方」
必見です。
異常に眠くなる人、体調が悪くなった人 など
ぜひ見ておいてください。
当てはまる可能性があります。
ジアゼパムの減薬で苦戦している人のツイートを見かけて
アシュトン・マニュアルに、
日本人には何割かジアゼパムを
うまく代謝出来ない人がいる
と書いていたことを思い出しました。
アシュトンマニュアルの
どこに書いていたか忘れたので
ネットを検索したら
このサイトを見つけました
おくすり遺伝子検査
http://www.e-b-s.co.jp/okusuri/
この中の一部を引用すると
---------- 引用開始 -------------------------
おくすりの代謝にかかわるとても大切な役割をはたしているものにCYP2C19という酵素があります。この酵素は、人によって大きく分けて、①高活性型(Rapid Metabolizer;RM)、②中活性型(Intermediate Metabolizer;IM)、そして③低活性型(Poor Metabolizer;PM)の3つのタイプが存在します。たとえば、図2のように、日本人が100人に集まったとき、RMの人は34人、IMの人が50人、PMの人が16人存在します。
~ 省略 ~
一方、神経症における不安、緊張、抑うつのおくすりにジアゼパムとうものがあります。ジアゼパムはCYP2C19により代謝され、活性を失います。CYP2C19がPMの方はジアゼパムの血液中に残りやすく、常用量でも、過剰摂取したときと同じような副作用が起こる可能性があります。
---------- 引用終了 --------------------------
確か、アシュトンマニュアルにも
同じようなことが書いていたように思います。
つまり、日本人の 16%の方は、
アシュトンマニュアルの推奨するジアゼパムに置換して
減薬すると過剰摂取の副作用が出るということになります。
つまり ジアゼパムでの減薬で 離脱症状と思っていたものが、
実は過剰摂取の副作用の場合があります。
ジアゼパム(セルシン等)で、どうしても減薬がうまくいかない方は、
他のベンゾに置換してみる選択もあるかもしれません。
もちろん、置換にもリスクがないわけではないので、
自己責任で行ってください。
減薬知識のある医師が主治医ならよく相談して行ってください。
抗生物質がベンゾを剥がす
昨日、ツイッターのDMで、 減薬中の抗生物質使用で体調を崩された方から相談があり、
「キノロン系の抗生物質がベンゾジアゼピンを剥がす」
というアシュトンマニュアルで見た知見を、DMで返信しました。
ちなみに、2017年に抗生物質関連の記事を書いていました。
http://furuhata7.blog68.fc2.com/blog-entry-855.html
上記の記事を書くきっかけとなったコメントがこれです。
http://furuhata7.blog68.fc2.com/blog-entry-854.html#comment538
このコメント主は、ブログに頻繁にコメントを残してくれた博識な方です。
コメントの内容は、 「抗生物質で尋常ではない事態」 が起きってしまった話です。
PCではこのコメントにジャンプ出来ますが、 スマホで閲覧している人のために コメントを貼ります。
-------- コメント引用 開始 -----------
今度は、フロモックス(セフェム系)の抗生物質1錠飲んだら30分後に気持ち悪くなり、呼吸困難、気持ち悪いになり、目眩もして、ひっくり返ってしまいました。 うなりながら1時間後、回復しましたが、翌日、朝から交感神経が働いてしまい、睡眠質も悪くなり、夜中に目が覚める回数が2倍に増えました。 (ベンゾ剥ぎ取れたのかは不明でしたが、睡眠質がガラリと変わり、交感神経が優位になり、入眠しずらくなったり和中に何度寝目が覚めたりして、離脱症状が確認できたので、少し剥ぎ取られたのかもしれません) 3日目には、11時に低体温症(34.7度)を発症(離脱症状)。ベンゾ投与後、36.7度まで上昇。 4日目、体温安定し、睡眠質は戻り、現在はほぼ元に戻りました。 現在、経過監視中ですが、まだ過鎮静(副作用)と離脱症状が混じって、地味に辛いです。 抗生物質はキロノン系はベンゾをはぎ取ることは知ってましたが、セフェム系も体質によっては注意が必要みたいです。 (セフェム系は剥ぎ取ると記述されていないけど)
-------- コメント引用 終了 -----------
という内容です。
減薬中の抗生物質で、
「呼吸困難」「目眩から倒れる」「低体温」
と尋常でない事態が発生してしまったのです。
ちなみに昨日、抗生物質の関連の話をツイートしました。
上記のように この時は、
あまり不安を煽るのも良くないと思い、
あまり深刻な書き方をしませんでした。<br><br>
しかし、人によっては、深刻な状態もありうるようで
昨日のこのツイートの対して、数人から、
辛い症状が出たとの返信がありました。
ですので、
「キノロン系の抗生物質はGABA受容体からベンゾを剥がす」
「故に、減薬中に更に減薬することになり、離脱症状が悪化する」
という知見を頭にいれておいて
他の抗生物質も警戒しつつ ご自身でその場面になった時、
よく考えて判断されるといいかと思います。
急減薬・一気断薬の場合の対処
医師の無知で急減薬や
一気断薬されたという方の話を聞きます。
本来あり得ないのですが、実際に存在します。
その後、
病院を変わって別のベンゾを処方されても
離脱症状が収束しないという
相談を受けることがあります。
こういう場合どうするのか?
唯一の対処は
「安定していた時のベンゾの処方に戻す」
これだけです。
急減薬、一気断薬される前が、
何も問題なかったことが前提ですが、
その時の状態に戻すのです。
ベンゾに依存すると、GABA受容体が減少し、
自律神経系の抑制機能のポテンシャルが低下します。
自律神経のブレーキが弱まっている状態になります。
それを、ベンゾで支えて、均衡を保っている状態です。
そこで、急減薬・一気断薬により、ベンゾという支えを取り去ると
弱くなった自律神経系の抑制機能では、
自律神経系を制御できなくなり、暴走します。
これが過興奮という状態であり、これこそが離脱症状です。
「安定していたベンゾの処方に戻す」
ということは、このベンゾの支えを取り戻すことです。
安定していた状態と
ベンゾと同じ薬が処方してもらえない場合は
「ジアゼパム換算が同量の別の種類のベンゾ」
でも かまいません。
計算は、吉田病院のジアゼパム換算表か、
私のブログにあるもの(吉田病院と数値は同じ)
を使ってください。
吉田病院のは、数値を入力したら、計算してくれるので楽です。
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