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相談支援チームによるオンライン同行訪問を始めました

最近、ウィル訪問看護ステーション内の相談支援チームが始めた「オンライン同行訪問」。そのメリットやデメリットなど少しずつ分かってきたことがあるのでnoteにまとめます。

オンライン同行訪問ってなに?

ウィル訪問看護ステーションのオンラインコミュニティに参加してくれている全国の訪問看護ステーションに対して、相談支援チームがチャットで相談にのる以外に、訪問の現場をテレビ電話でつないでもらいながらサポートする「オンライン同行訪問」を、まずは同じウィル訪問看護ステーションのグループ間で実験的に実施しました。
元々離れた場所の看護師とのチャットやビデオ会議での相談支援・コンサルテーションなどは日常的にも行っていたのですが、やはり”百聞は一見にしかず”では?ということで、もう一歩実践に踏み込んだサポートを目的に始めました。

相談支援チームは以下(参考記事こちら

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東京⇄沖縄の離れたチーム同士でもオンライン同行訪問は可能

初めはオンラインコミュニティ内のチャットでの相談がきっかけでした。以下の画像をご覧ください。

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上記に対し、相談支援チームの摂食・嚥下障害看護認定看護師の増田やSTの勝又がすぐ相談に乗ってくれました。

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あれこれやりとりしてましたが、「同行したほうが早いね!」となり、オンライン同行を実施することになりました。事前の準備をし、日程を合わせて実際にオンライン同行訪問をした様子がこちらです。

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※ご家族より許諾を得て掲載しています

実際オンライン同行訪問の効果と今後の課題

<オンライン同行訪問の効果>

・訪問先だからこそご家族もその場にいて、長期的な目標や、ケアの内容を検討・相談することができた。例:発達を促すための介入、具体的な訓練の方法。
・沖縄メンバーからも受け持ちとしての視点での提案があり、それがリハビリテーションとして妥当かどうかその場で検討することができた。
・直接介入しなくても、動画や映像から手技の伝達が可能なものもあった
・今回嚥下をみて欲しいという依頼であったが、まずは呼吸器からの離脱訓練を進めていく必要があると方向性が決まった。離脱訓練を行っていくことに並行して、味覚や口腔機能の発達を促す介入をケアに組み込んでいくことまで決めれた。また離脱訓練についても、医師に指示を仰ぎながら呼吸器の設定を変えていくことや、状態によってスピーチバルブを使用していくことなど多職種の協働の方向性まで定まった。
・味覚刺激訓練を行っていく上で、アレルギーや齲歯に注意するなど介入時のリスクマネジメントについて共有することができた。
・対象にあった社会資源の活用について伝えることができた。気切しているため、嚥下機能の評価は歯科でなく耳鼻科がいいことや、またフォーマルだけでなく、インフォーマルな資源の活用(ママ友)も使用するといいことなど。
・訪問先で一緒にやるからこそご家族もチームの一員としてみんなでプランを最適化することができた。

<オンライン同行訪問の今後の課題>

・口腔内の観察はスマホ、タブレットカメラでは難しいため遠隔から確実な評価は専用機材がないと難しい
・通信はポケットWifiを使用したが電波が安定せず画像が乱れてしまった。通信の安定を図ることは要検討
・カメラワークが意外と難しかった。どの場面をどうとって欲しいか、どの観察をしたいのか意図を伝えておくべきだった。
・普段の嚥下評価は視覚だけでなく触診もするため、評価が正しくできているか不確か。
・訓練の方法とか手技に関してその場で伝えるのは難しい面もあった。
・カメラを回す人、ケアする人、補佐する人と複数人必要だった。
・評価方法など共有しておくともっと精度が上がるはず。マニュアル的なものがあってもいいかもしれない。

大切にしたいことは、背中を押してもらえる安心感

今回のオンライン同行について、”嚥下評価”という意味で確実な評価を東京からはできませんでした。タブレット同士の通信では口腔内の詳しい観察は、現実に訪問するものとは違いました。ただし、そもそも相談支援チームの活動は「専門家が全て代わりに行う」のではなく、「現地のチームメンバーと本人・ご家族が前向きに一歩踏み出すため背中を押すこと」です。ベッドサイドケアの責任を持っているのはそのベッドサイドにいるナースやセラピストであり、これは揺るぎません。相談支援チームがその責任を全部肩代わりできるわけではありません。一方、本人家族とどのような方向性でケアを展開するか、その権限は現地・現場のメンバーにこそあり、相談支援チームにその権利はありません。本人家族を一番知ってくれている現地メンバーや受け持ちスタッフが居て初めて少しだけ専門領域に関して背中を押すことができます。今回はそれがある程度うまくいき、本人・家族・現地チームのダイナミクスを感じることが起こったのだと思います。

これがウィル訪問看護ステーションや、そのオンラインコミュニティが大切にする「安心・安全」の中身の一つであり、今回それを実感することができて、”やってみてよかったな〜!”と思った点でもありました。

ウィル訪問看護ステーションでは「全ての人に家に帰る選択肢」を提供するため、「知恵と知見はシェア」していくことを目指しています。
相談支援チームも参加するオンラインコミュニティはウィル訪問看護ステーション以外の訪問看護ステーションも参加してくださり、150名近くの看護師やセラピスト、専門家が参加し、多様性の中で皆で支え合いながら訪問看護を提供しています。
今はまだウィルグループ間でのオンライン同行訪問ですが、引き続き全国の訪問看護師が安心安全に看護に従事できる環境を目指します。

ウィル訪問看護ステーションでは、どこの事業所でも随時見学や相談等を受けつけていますので気軽にご連絡ください


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