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Death Cab for CutieとThe Postal Serviceを見てきた

マディソンスクエアガーデン。
ニューヨークのライブ会場なんて当然詳しくはないけれど、さすがにこの会場は知っている。
全然音楽詳しくない方も聞いたことあるだろうし、多目的アリーナなのでNBA等々でも有名である。

デスキャブを見にニューヨークに来たこともそもそも結構なフリーク具合だと自覚していて、相当レアだとは思っているけれど、自分がMSGにライブを見に来てるということもまた、別の角度で意外だった。
勿論、漠然と行ってみたいという憧れはあるものの、自分の好きなバンドがこの会場で演奏するというイメージがあまり無かった。
(実際のところはこの数週後にはThe Nationalも立ってるし、デスキャブないしはポスタルが本国では押しも押されぬ大スターだという事でもあるんだろうけど、でもデスキャブだぜ?とも思っていた。日本での人気の感覚的に。)

前の記事にも書いた通り、会場のOPEN直後に着けるようにしたいと考えていたのだけど、それはただ一つ、物販のためであった。
デスキャブは今ツアー、会場ごとに異なるデザインのポスターを枚数限定で物販で売っていたのである。
これがとにかく欲しかった。間違いなくあの場にいた人間であることの証明である。

無事に入場し、物販の列へ。
結構混んでいたけれど、後から後からドンドンと人が増えていたので、まだまだ早い方っぽかった。

元々日本に居る間に物販はチェックしていたのだけど、実際に現地に行くと、発表されてないやつがめちゃくちゃあった。
もうここまで来て倹約なんて考える意味もないので、欲しいと思ったものは片っ端から注文。
Tシャツ4枚(うち1枚はお土産)に、ピンズに帽子にお目当てのポスターと、こちらから見ても分かるくらいにスタッフさんが「まだ買うの?」と大分怪訝な顔をしていた。

物販。めちゃTシャツあった。
ポスター


買い物も済ませて、相当早く着いてしまったので、お手洗いへ。
ウンコをしてコンディショニングである。
なんか流せなくて泣いた。

いよいよ席に着き、妻と合流。
妻も妻で色々と買っていたが、さすがに私のものの多さにはちょっと引いていた。

いやしかし、マジで来ちゃったなMSG...、このツアーの発表でチケット取ってから数ヶ月、もう終わっちまうなぁなんて考えてたらライブがスタート。

MSG



まずはOAのWarpaint。
Warpaintが前座である。他会場ではIron & WineやBethsもいたりと、如何にこのツアーがスペシャルなものかという感じ。
Warpaint、ひたすらタイトな演奏ですごくクールだった。
音源まま、という演奏力の高さ。MSGは音も良かったので、相性もぴったりだった(まぁ内心はBethsが羨ましくもあったけど…早よ来日してけろ)


そして、いよいよ本編。
前のお客さんがデカかったので、ほとんどステージは見えませんでしたが、以下レポ。。。

先に出てきたのは事前に聞いていた通りデスキャブ。
当然再現セットなのでセトリはもうそのままという感じだけれど、
Lightnessの序盤の風の音?みたいなフィードバックのようなものもSEで流れていて、再現度の高さに感動した。やはりあの音あってのあの曲である。

The new year、Title and registration、Expo 86など、比較的ライブでも定番の曲は勿論、Death of an interior decoratorなどのレア曲が聞けるのがやはりとてもスペシャル。
この曲のイントロのドラムのギミックに初めて気づいて感動したこととか、今でもはっきり覚えている。授業中、ノートにリズムを書き出していた。

こういう再現セットのライブ、行くのは2回目くらいでやはり貴重な体験なのだけど、こんな企画はTransatlamticismがアルバムとして良い曲ぞろいで、かつ流れとして完璧だからこそ出来ることだし、もう10年近く自分のケータイの待ち受けにし続け、これを越えるアルバムに出会えることは無いのではというくらいの私的生涯ベスト名盤だと思っているので、体感がとにかく早く、すぐに終盤まで来てしまった。

A Lack of Color。
自分にとって本当に大切な弾き語りの曲。
大学進学で上京しての一人暮らし初日、入学式が終わってアパートに着き、緊張からヘロヘロの体で「本当に一人になったなあ、これから大丈夫かなあ」とか思いながら、この曲を聴き眠りについたことを今でも思い出せる。

そもそも進学前、高校生yeahマンだった私は超マセガキで、「一人暮らししたら夜に間接照明つけてこのアルバムにひたるぞ~」なんて思っていただろお前、なんてことを同時に思ったりもした。

デスキャブ、初めて聞いたのは高1で出会ったPlansで、それを知り合いの大学生バンドマンに教えたら「超いいねこのバンド」と褒めてもらえたこととか、今の自分のディグ精神の源泉でもある気がするし、本当に大切なバンド。

終盤少し盛り上がるところで込み上げすぎて、静かな曲なのに少し大きめな声で歌ってしまったのだけど、結構あちこちでそういう声が聞こえて、静か目な合唱になっていて本当に良かった。
部屋の片隅に1人、みたいなかつての俺のような人が何人も集まってこの空間にいて、緩やかな合唱を形成した事実、長年憧れたニューヨークというロケーションとかもういろんな条件が重なって本当に震えた。
素晴らしい時間だった。

終わりだよ


ポスタルに向けいったん中断。

食らいすぎてゲッソリとしながらトイレに向かった。
どうやら後攻のポスタル目当ての人の方がやはり多いようで、ここまで食らってる人はあまりいなそうな様子だった。
Give upは改めて、本当に売れたアルバムなんだなぁ〜と若干の悔しさというか寂しさを感じながら歩いていたら、珍しくものすごくうなだれている方を発見。少し太っていて、いわゆるナードという感じの人。
同志よ…と思いながらチラリとTシャツを見ると、謎の記号が大きくプリントされている
なんだろ?と思いながら、よく見るとその記号の下にゴシック体でデカデカと「ハンター試験」と書いてあった。
ハンター文字だった。まさかこの異国の地の洋楽ライブでHUNTER×HUNTERに出会うとは。
思わず、ナードの精神は国境を越えるということを実感。笑っちゃったけど凄く嬉しかった。きっと彼もA Lack of Colorを歌っていたことであろう。

休憩後はThe Postal Serviceの演奏。

これまた何度も何度も聞いたThe district sleeps alone tonightのシンセが鳴った瞬間の会場の待望感、凄かった。
音源のイントロのシンセそのままの音が鳴って、あの楽曲の静謐な夜の空気が滲み出てきた時の観客のリアクション。フワッとした喜びがめっちゃ伝播して波になっていくようななんかすごい空気だったな…。爆発みたいな感じでなく。
原曲聞いたことある人はなんとなくイメージつくはず。
そしてその分、曲後半の盛り上がりの大きさたるや…。
最初こそ静かだったけど、これ以降の盛り上がりはもうすごいもので、ビートが跳ねまくるところでの歓声とか、ほんとスケールが違う感じだった。
これ以降どの曲も、音源ままの完成度で演奏されてて、途中で鳴るような、メロディとは別の電子音とかもそのままだったように感じる。

ちょっとびっくりしたのがThis place is a prison
他の曲と違い、かなりダークな曲調で、さらに終盤にソリッドなドラムサウンドが出てくるのが特徴のこの曲。
なんとこのドラム、ベンが叩きながら歌ってました。めっちゃかっこよかった…!

Brand new colonyのEverything〜♪の合唱とかもとんでもなかった。確実に終わりに近づいてる寂しさ含め。
Natural Anthemのクールな演奏で予定通り締めた後、アンコールで弾き語りでsuch great hightsをもう一度やって、デスキャブ含む全メンバーが出てきて、カバー披露して終了。デペッシュモードとのこと。
カバーなのになんかめっちゃ盛り上がってたな…。

あの人気がありながら、現地の人にとってもポスタルの演奏は本当にレアなはずで、空気感からして凄まじかった体験。後ろ髪をひかれながら会場を後に。
あとはもう帰るだけかぁなんて感傷と共にニューヨーク旅行の最後の夜、スライスピザをテイクアウトしてホテルで食べて眠った。

ラストピザ


翌朝、ベーグルをテイクアウトして空港へ。
向かう途中でホームレスにたかられ、ケータイをひったくられかけるなどなかなかとんでもないトラブルに遭いながらなんとか飛行機に。
あの瞬間マジでとんでもない頭の回転したなぁ。アドレナリン出まくったけど、せっかくの旅行を台無しにしやがってヨォみたいな気持ちにもなりかけた。
今では笑い話だけども。

今でもニューヨークで食べたベーグルは結構思い出す。
たまに日本でベーグルを買って食べてみても決定的に違っていて、美味しくてもニューヨークのものには全然及ばない。し、Grimmのビールも全然出会えない。

めちゃ臭いし治安悪くて気抜けないし、とかあるけど、あの街の景色とか、やっぱ本当にアメリカ、ニューヨークだったし。そこにいたんだってことは今振り返っても鮮烈に焼き付いている。
実際に行ったからこその経験だらけだった。
また行けたら良いなぁ。

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