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煌めき

拝啓


長いです。









本日、舞台が一本終演致しました。


時節柄、最後までやり遂げられる事はいまだに特別な事だと思っています。

今回は稽古から千秋楽に至るまで何度PCR検査をしたか分からないくらい、お客様にとって最も安全に観劇していただける様な措置が製作から講じられました。

その点に於いても、そして、この作品に僕を出演させて下さった事にも、感謝の念に堪えません。

ご来場、ご視聴下さった皆様にも心から感謝しております。スタンディングオベーションを頂いたことも、そして一緒に頑張って来た仲間達の涙もまた大きな感動となりました。

幸せな時間を本当にありがとうございました!!





お芝居を一生懸命やる、心身ともに準備を怠らない。これはいつもと変わらないのですが、

今回は色々と感じ、学ぶことがありました。




特に、楽日の公演。

共演者の、僕に魅せた芝居に、心が震えました。




彼はまだ舞台が2回目で、芝居の経験も圧倒的に少なく且つ器用なタイプでもなかったので人一倍稽古量を課されていた。


今作での彼の存在は僕にとって最重要人物。というか、彼とのシーンしかないくらい。心でする芝居であったため、技術的なことを伝えるよりもお互いの関係性を埋めることを意識していました。


教えるのではなく、なるべく寡黙に。舞台上でだけ伝える。どんなボールを投げてきても、全部俺がキャッチしてやる。そう思って稽古場から板の上に立っていました。

って言うと、どんだけお前偉いねん。って話ですが、今作での僕の役が「織田信長」だったので、おこがましくもそのスタンスで居させて頂きました。




「芝居」と言う形ないものを伝えるのはとても難しいです。

数多ある解の中で、彼に伝えた事があります。





相手から影響を受け

相手に影響を与える。







今日、彼に「芝居」を魅せられた時、様々な感情が溢れてきました。


これが、影響を与えられる、ことなんですね。

まさかこんな素敵なボールが飛んでくるなんて。

それを、僕なりのやり方で丁寧に返しました。



この1ヶ月で一番役とシンクロした瞬間でした。













経験値の差、というものは、埋まるものなんだなと。



僕は常々経験の豊富な俳優が、必ずしも魅力的に映るとは限らないと思っています。自分で芝居をやっていてもそうだし、人の芝居を見ていてもそう思います。



僕がまだお芝居初心者だった頃。

恐ろしいほど芝居が下手クソだった僕を気にかけて下さったお客様達がいました。

今の様に2.5次元という原作作品、キャラクターに既に沢山のファンがついているような時代ではありませんでした。

なのに何故自分のような役者を応援してくれるのかが不思議でした。周りにはもっともっと上手くて若い俳優達が沢山いたからです。





今は、その感覚が分かるような気がします。

『煌めき』

というものがあるんだと思います。






経験を積んでくると、その『煌めき』を持った者達と戦わねばなりません。

あんな下手クソがなんで評価されるんだ!

と言っている暇はない。





「煌めき」と戦えるのは


「年輪」「味」「円熟味」


であると思います。プラス、「人間性」かな。


これらは経験から打ち出されるもので、やはり経験というものは必要なんだと思います。

字面だけ見ると、くすんでる感ありますが、くすみではないです。


銅のようなイメージですかね。銅を磨くと、美しく光り輝く。新品の頃には無かった『煌めき』が生まれます。

そこにもまた『煌めき』ってあるんだと思います。






キャラクターの魅力を借りて演じさせて頂いておりますが

やはり、もっともっと内側を磨かねばなりませんね。




「作り手側」と言われる仕事。

舞台で言うと、演出、演出助手、舞台スタッフ、制作、プロデューサーという仕事がありますが、以前から「やらないの?」とは言われていました。

けど、なんかそれをやってしまうと自分の中のハングリーさや尖っている部分が無くなってしまいそうな気がして敬遠していました。


ですが。

舞台ではないのですが、今製作している映画『莉の対』からはものすごく沢山の事を学ばせて頂いております。

舞台に出演しているだけよりも、きっと俳優としての今の自分の成長にも繋がると思っています。




普段から僕を応援して下さっている方にとっては、田中が別のワールドで何かよく分からない事をしているという感覚になるのかもしれません。ですが、製作の一部始終の物語を発信していくつもりです。一緒になって楽しんでくれればと僕は思っています。皆さんを巻き込んでいけたら楽しいだろうなとも思っています。


そして、『莉の対』で出会ったキャストやスタッフの皆さんからは沢山の「財」を頂く事になると思っています。

俺の全部を賭けるつもりで応えていきたいと思っています。








なんか色々大袈裟ですね。

すみません。








これからも

驕らず感謝の気持ちを持って


そして


自信を持って芝居に取り組んでいこう。













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