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オープンデータの付加価値と民間の貢献について考える

JX通信社/WiseVine 藤井です。公共分野にデータを提供すること、公共分野から得られるデータを加工すること、に、日々強い関心を抱いています。

JX通信社では各種SNSや企業などの公表データ、自社ニュースアプリユーザーから得られたリスク情報を、自社サービス「FASTALERT」や、APIの形でご提供しています。APIには新型コロナウイルスに関連する情報も搭載しており、全国の罹患者数推移もリアルタイムでご提供しているのですが(Yahoo!やLINEの画面上で皆さんの目に触れているのは弊社の情報です)、このたび、ワクチン接種回数に関する情報も、ご提供を開始しました。

罹患者数やワクチンの接種回数なんて、厚生労働省がホームページで公開しているからそれでいいんじゃないの?と思われる方もおられるかもしれません。確かに最近はPDFだけでなくCSVやExcelで配布されるデータも増え、再利用可能なデータを作ることの重要性については認知が広がりつつあります。一方で、厚生労働省に報告がとりまとめられるには一定の時間がかかる上に、テレビで報道されている「本日東京の罹患者数は○○人」という速報テロップは、記者会見直後などに配信されているため、それに追従するためには、「リアルタイムで足し算を続ける」ことが必要になります。しかも過去のデータも訂正されているため、ずーーーっとその整合性を取る必要があります。こういう「誰がやってもたぶん同じ結果になるけれども、大変な労力を要する」作業を、できるだけ自動化して、メディアの皆さんに「人間にしかできない作業」に集中してもらおう、というのも、JX通信社の重要なミッションです。

オープンな情報でも、付加価値があれば産業になる

罹患者数、という数字は「事実」ですので、原理原則としては著作物性はありません。一方で、リアルタイムにAPIで現在数値が取り出せる、という機能に対しては、報道価値という経済的な対価があるわけです。

同じような例を考えてみると、例えば、「入札情報」は法律に基づいて公示されていますので、誰でもアクセスできる(はず)のですが、それを横断的に毎日自動検索して、通知してくれるサービスは、結構な値段で民間企業が提供しています。WiseVineも、自治体の予算資料という、誰でも本来閲覧できるデータを、横断検索可能な付加価値をつけて、販売しています。

デジタル庁の発足にあたって、様々なデータが今後とりまとめられ、再利用可能な形で市場に出ていくと思います。一方で、データがないない、形式がよくない、と不平不満を述べるより、産業として民間で巻き取っていけるものは巻き取っていきたい、それがこういったVUCAな時代における速度感ある公民連携のあるべき形なのではないか、と思うのです。

自分の仕事(地方自治、防災、AI)について知ってほしい思いで書いているので全部無料にしているのですが、まれに投げ銭してくださる方がいて、支払い下限に達しないのが悲しいので、よかったらコーヒー代おごってください。