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私が銀行を辞めた理由

こんばんわ。読んで頂きありがとうございます。

9割9分の人にとってどうでもいいかもしれませんが、自分の振り返りとして私が銀行を辞めた理由を何となくつづります。

銀行を辞めた理由は一言で言うと「耐えられなかった」からです。

銀行には5年半いました。最後にいた支店では約1年の在籍歴でしたが、毎日毎日苦しくて駅のホームに飛び込みたいと本気で思っていました。

何故そんなに苦しかったかというと最初に浮かぶのはお客さん(取引先)との関係でした。詳細は書けないのですが、一言でいうと銀行をATMとしか見ていないお客さんで、

「来週末に賞与支払いのために●億円必要になったから。準備していて。」

そんな感じで突然電話がかかってくる取引先でした。ご想像につくと思いますが、銀行というのはそんなに急にお金を貸せません。いろいろと内部の手続きがあります。「資金が必要なタイミングでは必ず前もって概算でもいいので教えてください。」と前からずっとお願いしていたにも関わらず、上記のようなことがあると、それからよーいドンで内部の手続きを始めないといけません。

5年半銀行にいましたが、基本的にお客さんのことは好きでしたし、どのお客さんにも誠実に向き合ってきたつもりです。それが全く通じず、ただ四桁の暗証番号を押せば自動的に口座にお金が振り込まれる。まさにATMのように、銀行もそんなもんだというスタンスで臨まれるお客さんでした。

他にも急に窓口に来店されて、数百枚の伝票(入金したり、口座間で移動させたり等等)を持ち込まれて、「じゃあ、1時間後に取りに来るから、やっていて。」

そんなことがずっと続いていました。銀行の甘えと言われればそれまでですが、数百枚の伝票を処理するのには数時間かかりますし、支店の事務をやる方々もそんな大量の伝票を持ってこられると大混乱します。当然、いろんな人に迷惑をかけ、謝り倒します。

「きつい、きつい、きつい。。。。」

社会人ってそんなもんでしょ。といわれればそれまでですが、きつかったです。そんな事ばかりが続くうちに、起きた時からずっと吐き気がし、午後過ぎまで続く。当然朝飯も昼ご飯も食べられない。帰り道に歩いていると突然涙が出てくる。朝、通勤途中で最寄り駅で1本、会社の近くの駅で1本、会社に行ってから1本、仕事をするまで少なくとも3本タバコを吸わないととても耐えられない。帰りの駅のキオスクでハイボールを買って帰りの道中から飲んでいないと精神が持たない。金曜日の夜には家に帰ってからひたすらテレビゲームを徹夜でし続け、土曜日の昼頃に画面を見るのが気持ち悪くなるまで現実逃避をする。。。

ある神奈川の駅の特急で、毎朝見かけるおばあさんがいました。会ったことはなかったのですが、上の取引先の社長に勝手に重ね合わせて、「この人を一発殴ったら自分はどれだけすっとするだろうか。」毎朝そんなことを考えていました。

病んでました。案の定、病院へ行くと鬱と診断されました。

鬱と診断されてからも仕事はしばらく続けました。というか続けざるを得なかったからです。銀行の人事異動というのは基本的に3年が1サイクルです。その時点で1年程度が経過していたのですが、「少なくともあと2年やるのは無理、絶対に持たない。」と思い転職活動を始めました。26の時でした。転職先がどうなるのか、そもそもあるのかわからないけど、今のままいくと確実に死ぬか、再起不能になると思ったので、迷いはありませんでした。

「会社に行くのが怖くて仕方ないんだ。」

泣いて、奥さんにそういったことを今でも覚えています。

これが私が転職した理由です。

例えば、別の部署に異動させてもらうという選択肢も確かにあります。ただし、少なくとも銀行において上記のような理由で異動した場合、もう絶対に昇進できません。別に出世欲があるタイプではないと思っていますが、ずっと銀行に飼い殺しになることを20代の半ばで選ぶことはできませんでした。(クビになることはないと思うので、その生き方を否定するわけではありませんし、そのような生き方を選ぶ人も確かにいました。)

銀行の最終出社日のことはあまり覚えていません。ただ、翌日以降に一気に体調が回復したことは覚えています。また、次の会社にいたときにも当然つらいときや大変な時はありましたが、それでも「銀行にいればよかった。転職しなければ良かった。」と思ったことは1度もありませんでした。

それだけ限界だったのだと思います。すべての人に転職を進める気は全くありません。私は私の人生を納得して生きていきたいと思っているだけです。

私の好きな漫画に井上雄彦先生の「バガボンド」という話があります。宮本武蔵を主人公に描いた話で、私の人生のバイブルの1つです。

「いいのよ、斬り合いなんて逃げたって。」

読んだことがある方は分かると思いますが、主人公の武蔵が70対1という圧倒的不利な殺し合いに行くか行かないかで迷っているシーンで言われる言葉です。ゲームじゃないので、70対1の戦いというのは死にに行くのも同然です。少年ジャンプの主人公はどんな逆境にも戦って生き延びます。その前向きな姿勢はすごいし、胸を打たれますが、現実ではあっけなく死んでしまうのが殆どだと思います。逆境に逃げず、戦う姿勢はもちろん大切だと思います。ありとあらゆるしんどいことから逃げ続けて成り立つほど人生が成り立つほど、世の中甘くはないとわかっています。

でも一方で、自分の人生を、生活を家族を守るために逃げる、そのことはそんなにだめでしょうか。自分の選択を肯定してくれる、そんなことばを都合よく探しているのもわかっています。でも、それでも、自分の人生を肯定なければ生きていけない。世の中勝者ばかりではありません。

読んで頂きありがとうございました。






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