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凛と強く、深く愛《エッセイ》

女優の市原悦子さんが、私は大好きだ。
きっかけは「家政婦は見た」。
ほぼ毎日YouTubeで昔のを観返している。

あの方の様な女優さんは、今後二度と現れないと思う。
ドラマで魅せる顔。
「家政婦…」では、凛とし正義感を曲げずに強く生きる。
その中に垣間見える、悲しい過去の影。
家政婦という仕事をこなしながら、その家庭の秘密を暴く。コミカルな様で実はとてもドライでシビアだ。
その人間模様や人の醜悪を見事に描いている。

そして、家政婦役の市原悦子さんが、とても奥深い味を出している。
掴みどころが無いようで、飄々としていながらも、奥深い所では真実を突き止め、それを暴く。
それが自己の楽しみではなく、汚い現実から目を背けている者達に、しっかりと現実を見ろと言わんばかりに突き付ける。

それの根底にあるものは、とても深い愛なのだと思う。
薄情ではなく、むしろその逆だ。
あれ程の役を演じられるのは、市原悦子さんだけだと思う。

市原悦子さんがドラマ以外に出てるのを観たのは、黒柳徹子さんの番組。
おっとりした口調と、チャーミングな所作なのに、どこか揺るがぬ芯の強さを感じた。

軸を曲げない強さ、信念を持って生きている方、そう感じたのを覚えている。

訃報を聞いた時は、とてもショックだった。
あの優しい声も、愛らしいお姿も凛とした佇まいも二度と見られないのか…と。

自分の祖母を亡くした時と重なった。
それ程、魅力的な女性で女優さんだった。


「家政婦は見た」からのセリフ

『さよならなんかは言わないわ。ずっと一緒にいようね』

私の中で、女優市原悦子さんはずっと輝き続ける。
優しい大樹の様な大きな愛に、改めて感謝を。

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